GHS分類結果

名称:エチレングリコールモノ-ノルマル-ブチルエーテル【ブチルセロソルブ】
CAS番号:111-76-2

結果:
物質ID: 673
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点が61-62℃(Merck 13th, 2001)との記載により、60℃超 93℃以下である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に自己反応性および爆発性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が240℃(ホンメル(1991))との記載により、70℃を超えている。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内にフッ素または塩素を含まず、含まれている酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義により液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット LD50 = 1746 mg/kg(SIDS 1997)。[ラットのデータとして、1746 mg/kg、2410 mg/kg(以上雄)、1950 mg/kg(雌)が該当(SIDS 1997)したが、1950 mg/kg(雌)は純系動物のデータではなく、1966年と古いことを考慮して除外。残る雄の2試験から低い方の値 1746 mg/kgを採用]
1 急性毒性(経皮) 区分2 危険 H310: 皮膚に接触すると生命に危険 P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。
P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギ LD50 = 135 mg/kg(計算値)(SIDS 1997)。[ラットまたはウサギのデータとして、610 mg/kg、99 mg/kgおよび435 mg/kg(すべてウサギ)が該当(SIDS 1997)し計算値を求め、LD50 = 135 mg/kg]
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLC50(4h)は、雄: 2.4 mg/L(486 ppm)、雌: 2.2 mg/L(450 ppm)(SIDS(1997))に基づき区分2とした。LC50が飽和蒸気圧濃度(1158 ppm)の90%より低いので、気体の分類区分を適用した。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
分類対象とした5試験の結果('no irritating'、'slightly irritating'、'irritating'、'irritating'および'irritating')(SIDS(1997))から、4試験で刺激性がみられた。そのうちの1試験では6例中3例で痂皮と浮腫を伴う重度の紅斑の記述もある(SIDS(1997))。以上より区分2とした。なお、高濃度の本物質を含む床剥ぎ剤を使用した掃除人が、紅斑と接触性皮膚炎を起こしたとの報告もある(SIDS(1997))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた複数の試験で強い刺激性が認められている(SIDS(1997)、ECETOCTR48(1998))。一方、ヒトでは痛みを伴う刺激とともに時に角膜混濁も起こすが、その症状は一般に数日以内に回復すると記述されている(DFGOTvol.6(1986))。これらの情報に基づき区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - 2つのモルモットMaximization testでいずれも陰性(SIDS(1997))、さらにヒトのrepeated insult patch testでも皮膚感作性なし(SIDS(1997))との結果に基づき、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞in vivo変異原性試験(マウスおよびラットの骨髄細胞を用いた小核試験)で陰性結果(SIDS(1997)、CICAD 10(1998))が得られおり、ヒト疫学調査でも小核・姉妹染色分体交換の増加が認められていない(ATSDR(1998))。これらの結果に基づき区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - IARCでは3(2004年)、ACGIHではA3(2003年)、EPAではCBD(1996年)とそれぞれ分類されているが、機関により区分が異なるので評価年度が最新のIARCによる分類3に従い区分外とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
妊娠中のラットおよびウサギの主として器官形成期に暴露した試験において、着床数の減少、吸収胚の増加など発生に対する悪影響が認められ、同時に母動物において体重増加抑制、臓器重量の変化、血液パラメータの変化など一般毒性の発現も記述されている(SIDS(1997))ので区分2とした。なお、ヒトの疫学調査で口唇裂発生のリスクに言及されているが、本物質との関連性は確かでなない(PATTY(5th, 2001))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、血液、腎臓、肝臓)、区分3(気道刺激性) 危険
警告
H370: 臓器の障害(中枢神経系、血液、腎臓、肝臓)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物では赤血球への影響が特徴的である(SIDS(1997))が、ヒトではヘモグロビンや赤血球数の減少、ヘモグロビン尿など血液への影響のみならず、昏睡、眩暈、呼吸困難、代謝性アシドーシス、血尿、肝機能異常などの症状(SIDS(1997))と、時にはかなり重度で入院に至ったケース(SIDS(1997)、PATTY(5th, 2001))の報告もある。また、ICSC(2003)では中枢神経系、血液、腎臓、肝臓に対する影響が言及されている。これらのヒトの情報を総合して区分1(中枢神経系、血液、腎臓、肝臓)とした。一方、ヒト吸入試験(SIDS(1997))では「鼻および喉の刺激」、また別の症例報告(HSDB(2004))では「反復性の呼吸器への刺激および乾性咳」などの記述もあるので、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(血液) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで反復暴露後の血液パラメータの変化について報告(CaPSAR(1999)、HSDB(2004))はあるが、特に重大な毒性影響についての報告は見当たらない。動物試験では吸入暴露の場合に血液(赤血球)に毒性影響が認められている(SIAR 1997、ハザードデータ集99-17、IUCLID 2000)ので、ガイダンス値を参照して区分2(血液)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(グラスシュリンプ)の96時間LC50=5.4mg/L(CICAD10、1998)他から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:96%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.83(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

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厚生労働省モデルSDS

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