GHS分類結果

名称:塩化シアン
CAS番号:506-77-4

結果:
物質ID: 681
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分外 - - - - Not combustible(ICSC(2002))、不燃性気体(ホンメル(1991))
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告:UN No. 1589, Class 2.3, Subsidiary risk 8 に分類されている。
5 高圧ガス 液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 Critical temperature: 215℃(AIR LIQUIDE, Safety Data Sheet(31/07/2002))
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - ラットを含めげっ歯類のデータなく分類できない。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウス 致死濃度(3分暴露)=500 ppm(ACGIH(2001))。(そのまま換算すると4時間暴露値として <100 ppmとなる。)また、ヒトで48 ppm、30分暴露により致死の記述(ACGIH(2001))もある。これらの知見に基づき区分1とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHSの定義により気体。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHSの定義により気体。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトの皮膚に対する刺激性は蒸気の状態で認められ、液体(13℃以下)になると強くなり"will burn skin"と記述(HSDB(2003))されている。また、「液体に触れた場合:凍傷」と記載されている(ICSC(1999))。以上より区分1A-1Cとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ヒトでの試験において、"severe eye irritation"と記述され(ACGIH(2001))ている。さらに液体の状態(13℃以下)では刺激性が強くなり"will burn eyes"(HSDB(2003))、「凍傷、発赤、痛み」(ICSC(1999))と記述されているので、重篤な障害と判断して区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(呼吸器系、中枢神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(呼吸器系、中枢神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
低濃度での症状として"pulmonary irritant and lacrimator effects"(HSDB(2003))と記述されているが、一般に呼吸器系に対し肺水腫を含む急性あるいは遅延性の影響が認められ(HSDB(2003))、さらに嗜眠、錯乱、意識喪失など中枢を介した症状の記載(ICSC(1999))もあり、区分2(呼吸器系、中枢神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器系)、区分2(中枢神経系) 警告
危険
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器系)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(中枢神経系)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は細胞呼吸に影響し(ICSC(1999))、ヒトで気道や眼に対する刺激性のほか、毒性影響として肺のうっ血・浮腫(ACGIH(2001)、ICSC(1999))、眩暈、痙攣、意識喪失などの報告(ICSC(1999)、HSDB((2003))に基づき、区分1(呼吸器系)、区分2(中枢神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - GHSの定義による気体。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=0.029mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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