GHS分類結果

名称:ぎ酸メチル
CAS番号:107-31-3

結果:
物質ID: 703
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない物質。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
6 引火性液体 区分1 危険 H224: 極めて引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点-19℃(<23℃)、且つ沸点31.5℃(≦35℃)に基づき分類した。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない物質。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点449℃(ICSC(1997))の液体で常温では発火しない。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない物質。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素、塩素を含まない。酸素を含んでいるが、炭素原子以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット LD50 :475 mg/kg(RTECS(2004))に基づき区分4とした。 Priorty2に2件の報告があったが、低い方の値を採用した。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラット LD50:>4g/kg, ウサギ LD50>5g/kg(RTECS(2004))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット LC50:2116ppm/4h(RTECS(2004))に基づき区分3とした。(20℃における飽和蒸気濃度は6.2*10^(5)ppm)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データがない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ウサギの試験で刺激性なし(IUCLID(2000))の報告があるが、ヒトに刺激性(PATTY(5th, 2001))の記載に基づき区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ヒトで刺激性あり(PATTY(5th, 2001))、ウサギの試験で刺激性(IUCLID(2000))の記載があるが、回復性のデータがないため2A、2Bの区分ができない。表示が必要な場合は安全性の観点から2Aにすることを薦める。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - いずれもデータがないため分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - いずれもデータがないため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - エームズ試験:陰性(IUCLID(2000))の記載あるが、in vivoの報告がないため技術上の指針に基いて分類できないとした。
6 発がん性 分類できない - - - - データがなく、IARC等の評価機関の情報もないため分類できないとした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データがないため分類できないとした。【特記】ギ酸メチルは生体内で加水分解されやすく、生成したメタノールの生殖毒性をも参照すべきでしょうか。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経)、区分2(視覚器)、区分3(気道刺激性)、区分3(麻酔作用) 警告
危険
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
H370: 臓器の障害(中枢神経)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用)
H371: 臓器の障害のおそれ(視覚器)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
高濃度暴露は痙攣を起こす(PATTY(5th, 2001))、昏睡、中枢神経抑制作用あり(HSDB(2005))の記載より区分1(中枢神経)に、視力障害は盲目にもなり得る(HSDB(2005))(Priority 2)の記載より区分2(視覚器)に、粘膜刺激(PATTY(5th, 2001)),鼻の刺激(HSDB(2005))の記載より区分3(気道刺激性)に、麻酔作用あり(PATTY(5th, 2001))の記載より区分3(麻酔作用)に分類した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データがないため分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - 動粘性率は計算で求められたが(0.332mm2/s)、化学性肺炎の動物試験データがないため分類できないとした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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