GHS分類結果

名称:クレオソート油
CAS番号:8001-58-9

結果:
物質ID: 706
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - 国連輸送危険物クラス1に分類されていない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点が60-93℃なので「区分4」とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 国連輸送危険物クラス4.1に分類されていない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点330-500℃のデータがあり、常温では発火しないと考えられる。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体についての試験方法が未確定。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に実質的に不溶との情報(Merck(13th. 2001))があり、水との激しい反応はないと考えられる。
13 酸化性液体 区分外 - - - - 国連輸送危険物クラス5.1に分類されていない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
15 有機過酸化物 区分外 - - - - 国連輸送危険物クラス5.2に分類されていない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 試験データがない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの経口LD50データ5件(CICADS 62(2004))の平均値が1523mg/kgであったので、「区分4」とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットで15800mg/kgにおいて半数が致死したというデータがある(ATSDR(2002))ので「区分外」とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - 蒸気でのLC50が得られていない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ミストによる急性致死試験データが得られていない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
クレオソート原料石炭の産地によって結果に差があるが、米国産について中等度の刺激の報告があること(ATSDR(2002))から「区分2」とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギの眼に刺激ありの報告が1件あるが7日以内に回復している(CICADS 62(2004))ことから「区分2B」とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 呼吸器感作性に関するデータはない。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
皮膚感作性については、ヒトのアレルギー反応の報告がある。紫外光による光過敏症も述べられている(CICADS 62(2004))。これら情報から「区分1」とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウス体細胞 In vivo の試験(骨髄小核、内臓組織DNA付加)の結果が陽性(CICADS 62(2004)であるが、生殖細胞についての In vivo 試験結果がないので「区分2」とした。
6 発がん性 区分1B 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARC・2A、産衛学会・2A、EPA・B1、EU/Cat.2の判定結果から「区分1B」とした。
7 生殖毒性 区分1A 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
クレオソート暴露を受けた男性労働者の子孫に脳腫瘍および神経芽細胞腫の増加が示唆されている(CICADS 62(2004))ことから「区分1A」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットでの動物試験で麻酔作用が見られ(CICADS 62(2001))、,ヒトの気道刺激の情報(HSDB(2003))があるので、区分3とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肺、肝臓、腎臓、血液) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肺、肝臓、腎臓、血液) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット経口50mg/kg/day(15w)(ガイダンス値区分2の範囲)では重大な影響はない(CICADS 62(2004)。ミスト吸入の試験(ATSDR(2002))は区分2のガイダンス値範囲内で肺の組織球症、肝臓、腎臓の重量増(牡)、血液(赤血球、ヘモグロビンの減少、網状赤血球の増加)がみられるので「区分2(肺、肝臓、腎臓、血液)」とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - ヒトに関する有効な証拠は見当たらなかった。動粘性率では区分1、2に該当するが、主成分は多環芳香族化合物であり、ICSCに化学性肺炎の記載のある物質ではない。情報不足で「分類できない」とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間LC50=0.018mg/L(CICAD62、2004)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、急速分解性および生物蓄積性が不明であるため、区分1とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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