GHS分類結果

名称:軽油
CAS番号:64741-44-2

結果:
物質ID: 716
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - 国連分類クラス3(No.1202)に分類されている。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
国連分類クラス3、PG3に基づき区分3とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 国連分類クラス3(No.1202)に分類されている。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が177℃以上(>70℃)である。(EHC171(1996))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 国連分類クラス3(No.1202)に分類されている。
13 酸化性液体 区分外 - - - - 国連分類クラス3(No.1202)に分類されている。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
15 有機過酸化物 区分外 - - - - 国連分類クラス3(No.1202)に分類されている。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - 国連分類クラス3(No.1202)に分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラット経口LD50 > 5000 mg/kg bw((EHC(1996))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - ラット経皮LD50 > 2000, >5000 mg/kg(EHC(1996))により区分3より低毒性の区分となるが確定できないので、分類できないとした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - 常温で液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
軽油の吸入試験は蒸気とエアゾールの混合した状態で実施されているが、エアゾールが主と考えられるため、ラット吸入LC50値の低い方の値4.6 mg/L(IUCLID(2000))に基づき区分4とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギ皮膚刺激性試験でhighly irritatingであるが、非可逆的病変の記載が認められない(IUCLID(2000), EHC(1006))ことに基づき区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギ眼刺激性試験でslightly irritating(IUCLID(2000))の記載に基づき、区分2Bとした。この区分は人での症例報告(眼刺激性は24時間後に、充血は4日後には回復)でも裏付けられる。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。のため分類できない。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いた皮膚感作性試験で感作性は認められていない(IUCLID(2000), EHC(1996))ことに基づき区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウス優性致死試験で陰性、ラット骨髄細胞染色体異常試験で陰性(IUCLID(2000))に基づき区分外とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIHによる分類A3に基づき区分2とした。 【特記】EUはディーゼル燃料に対してカテゴリー3(技術指針に従えば区分2)、脱硫ガスオイルに対してカテゴリー2(技術指針に従えば区分1B)に分類している。これらは何れも軽油に対応する分類と考えられる。他方、IARCはDistillate(light)diesel fuelに対してグループ3と分類し、これは技術指針に従えば区分外となる。その結果、軽油に対する区分は1B、2、区分外に分布する。本分類では日本における軽油の性状も考慮して区分2とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットで交配前、受精、妊娠期間中の雌への投与、及び雄への投与によっても性機能および生殖能、仔の発生に有意の影響は認められていない(ACGIH(2003))ことに基づき区分外とした。この分類は、ラットの妊娠期間中に投与した他の試験でも発生毒性は認められていない(EHC(1996))ことからも支持される。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(腎臓)、区分3(気道刺激性、麻酔作用) 危険
警告
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H370: 臓器の障害(腎臓)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで軽油を大量に暴露した症例において進行性の乏尿、急性の尿細管壊死の報告(EHC(1996), ATSDR(1995))に基づき区分1(腎臓)、ヒトでケロシン経口摂取による嗜眠、昏睡の調査報告(ATSDR(1995))に基づき区分3(麻酔作用)とした。また、気道を刺激する(ICSC(2004))との記載に基づき区分3(気道刺激性)とした。 なお、吸引による肺障害は吸引呼吸器有害性の項目で分類した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(腎臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(腎臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで頻回暴露により急性の腎尿細管壊死(EHC(1996)、ATSDR(1995))や貧血、血小板減少症を伴う急性腎障害等が報告されている(EHC(1996))ので、区分1(腎臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1 危険 H304: 飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトで誤嚥による化学性肺炎が多数報告(ATSDR(1995))されていることに基づき区分1とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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