GHS分類結果

名称:コールタール
CAS番号:8007-45-2

結果:
物質ID: 722
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - 国連危険物輸送において、クラス1とされていない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - (GHS定義による)液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - (GHS定義による)液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - (GHS定義による)液体。
6 引火性液体 分類できない - - - - 起源により引火点が異なり、データを特定できない。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - (GHS定義による)液体。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 国連危険物輸送において、クラス4.1とされていない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 国連危険物輸送において、クラス4.2とされていない。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - (GHS定義による)液体。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 国連危険物輸送において、クラス4.2とされていない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 国連危険物輸送において、クラス4.3とされていない。
13 酸化性液体 区分外 - - - - 国連危険物輸送において、クラス5.1とされていない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - (GHS定義による)液体。
15 有機過酸化物 区分外 - - - - 有機過酸化物に基づく活性酸素があるという情報はない。過酸化水素は含んでいない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく、分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLD50:1700mg/kg(ATSDR(2002))から「区分4」とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50:約15800mg/kgから「区分外」とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - (GHS定義による)液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ヒト、ウサギ共にDraize試験でMildの判定なので「区分3」とした。労働者の疫学調査で慢性の皮膚障害も報告されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ヒトで影響が数ヶ月残るという情報(HSDB(2003))(21日以内に治癒しない)から区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 呼吸器感作性についての報告は入手できなかった。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
皮膚感作性については、ヒトでの報告がある。光過敏症を起こすことも認められている(IARC 35(1985))ので「区分1」とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトの試験例(IARC(vol.35, 1985))は、体内での代謝排泄物を用いた微生物変異原性試験であり、In vivo試験ではない。しかし体細胞の変異原性陽性結果があり(ATSDR(2002))、In vitro の陽性結果もあるので、「区分2」とした。
6 発がん性 区分1 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARC・1、ACGIH・A1、産衛学会・第1群など、既知のヒト発がん物質と評価されているので「区分1」とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 各経路の暴露で、母体に影響のある投与量で影響が見られるが、判定に十分なデータはない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系)、区分3(気道刺激性) 危険
警告
H370: 臓器の障害(神経系)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトの神経毒がある(PATTY(5th. 2001))との記述から「区分1(神経系)」とし、別の文献に気道刺激が述べられている(PATTY(5th. 2001))ので「区分3」(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(呼吸器系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(呼吸器系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
0.09mg/L(区分2のガイダンス値範囲)のエアゾール反復暴露によりマウスの呼吸器に悪影響がでたとの報告がある(IARC(vol.35(1985))ので「区分2」とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - 情報不足で分類できない。ICSCカードに挙げられた化学性肺炎原因物質(ベンゼン、エチルベンゼン、キシレン、スチレン、トルエン等)を含んでいるが(IARC 35(1985))、 コールタールとして吸引の害があるかの報告はない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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