GHS分類結果

名称:酢酸n-ペンチル【酢酸n-アミル】
CAS番号:628-63-7

結果:
物質ID: 732
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点は32℃(ホンメル(1991))との記載により、23℃以上60℃以下である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告:クラス3、容器等級IIIに分類されている。(UN No.: 1104)
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点は375℃(ホンメル(1991))との記載により、70℃を超えている。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内にフッ素または塩素を含まない。分子内の酸素は炭素と水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告:クラス3、容器等級IIIに分類されている。(UN No.: 1104)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラット♂:LD50 > 14000 mg/kg、ラット♀:LD50 > 12000 mg/kg(DFGOTvol.11(1996))。本物質の含量64.8%から推算すると、それぞれ9072 mg/kg以上、7776 mg/kg以上となり区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギ♂:LD50 ? 8300 mg/kg、♀:LD50 > 14000 mg/kg(DFGOTvol.11(1996))。本物質の含量64.8%から推算すると、それぞれ約5378 mg/kg、9072 mg/kg以上となり区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義により液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - 「ラットに3600-3700 ml/m3を 6時間暴露し10例中1例死亡」の記述(DFGOTvol.11,(1996))に基づき、LC50(6h)> 3600-3700 ml/m3、即ちLC50(4h)> 4352-4409 ml/m3を得る。気体の分類区分を適用するも分類を特定できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラット6例に5200 ppm = 27.7 mg/L 4時間暴露で死亡なし(DFGOTvol.11,(1996))。したがって、LC50 > 27.7 mg/L、および1例も死亡が認められなかったことから区分外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 異性体混合物を試験物質とした2件のウサギ皮膚刺激性試験において、それぞれ「僅かな刺激性」、「中等度の紅斑、軽度の浮腫、適用7日後に軽度の落屑」との観察結果(DFGOTvol.11(1996))に基づき区分3とした。なお、ヒトで異性体混合物を皮膚に反復適用した試験で「適用時に試験物質のかなりの割合の揮発による消失が考えられる」と記述されているが、197人の被験者に何ら刺激性が認められなかった事実はある(DFGOTvol.11(1996))が、(DFGOTvol.11(1996))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギの眼に対し角膜損傷を認めるも軽度で可逆的、また異性体混合物をウサギの眼に適用した結果も軽度(刺激性スケール10段階中2番目)であった(ACGIH(2001))。ヒトでも異性体混合物暴露後の眼に対する影響が報告されているが、長期間の暴露で順応している(ACGIH(2001))。以上より、刺激性は軽度と考えられるため区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - 本物質を60%含む異性体混合物を試験物質としたモルモットmaximization testの結果、"the sensitizing potential of the test substance is at most slight"と記述されている(DFGOTvol.11(1996))ので区分外とした。なお、ヒトで異性体混合物を皮膚に適用した試験で「適用時に試験物質の揮発によるかなりの消失が考えられる」と記述されているが、197人の被験者全てに感作性が検出されなかった事実がある(DFGOTvol.11(1996))。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データ不足ため分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 妊娠前(交配前)暴露による生殖機能または生殖能力に及ぼす影響の有無について不明のため「分類できない」とした。なお、ラットあるいはウサギの器官形成期投与による試験では、ラットに高用量投与で親動物の体重増加抑制とともに胎児重量低下、化骨化遅延などが認められているが、催奇形性その他の児の発生に対する悪影響は両動物種とも見出されていない(DFGOTvol.11(1996))。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトの吸入暴露試験において、直後に"nasal irritation"、"throat irritation"などの症状がみられ(DFGOTvol.11(1996))、高濃度では意識が低下することがあると記載されている(ICSC(2000))。また、ラットの吸入暴露では麻酔作用が観察されている(ACGIH(2000))。これらの事実に基づき区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
異性体混合物の職業暴露を受けた一部のヒトで視野狭窄が報告され(DFGOT vol.11(1996))、また、神経毒性を惹き起こすとの記載もある(PATTY(5th, 2001))。また、ウサギで反復暴露により組織学的に視神経の変性が認められている(DFGOTvol.11,(1996))。これらの知見に基づき区分1(神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - 動粘性率14 mm2/s以下であるが、化学性肺炎等を示す動物データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ブラインシュリンプ)の24時間LC50=53000μg/L(AQUIRE、2003)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(加水分解して酢酸およびペンタノールを生成)、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=2.3(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルラベル

職場のあんぜんサイトへ

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る