GHS分類結果

名称:酢酸イソペンチル【酢酸イソアミル】
CAS番号:123-92-2

結果:
物質ID: 734
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関する原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点は33℃(closed cup)(Merck(13th, 2001))または23℃(Chapman(2005))との記載により、23℃以上60℃以下である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告でクラス3、容器等級IIIに分類されている。(UN No.: 1104)
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点は360/379℃(Chapman(2005))との記載により、70℃を超えている。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内にフッ素または塩素を含まず、分子内の酸素は炭素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有しない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告でクラス3、容器等級IIIに分類されている。(UN No.: 1104)

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラット LD50 = 16600 mg/kg(RTECS(2004))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギ LD50 > 5000 mg/kg(RTECS(2004))に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義により液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 異性体混合物を試験物質としたウサギの皮膚刺激性試験において、「僅かな刺激性」との評価(DFGOTvol.11(1996))に基づき区分3とした。なお、ヒトで本物質を皮膚に反復適用した試験で 「適用時に揮発によりかなりの割合の試験物質の消失が考えられる」と記述されているが、197人の被験者に何ら刺激性が認められなかった事実はある(DFGOTvol.11(1996))が、(DFGOTvol.11(1996))。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
異性体混合物を試験物質としたウサギの眼刺激性試験の結果は軽度(刺激性スケール10段階中2番目)であり(ACGIH(2001))、ヒトでは本物質または異性体混合物の主に吸入暴露により、眼あるいは結膜に刺激性が報告されている(ACGIH(2001)、DFGOTvol.11(1996))。これらの事実に基づき区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - 本物質を5%含む異性体混合物を試験物質としたモルモットmaximization testの結果、"the sensitizing potential of the test substance is at most slight"と記述されている(DFGOTvol.11(1996))ので区分外とした。なお、ヒトで本物質を皮膚に適用した試験で「適用時に揮発により試験物質のかなりの消失が考えられる」と記述されているが、197人の被験者全てに感作性が検出されな
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質あるいは異性体混合物の吸入暴露により、ヒトでは鼻・咽頭・気管など主に上気道の症状が報告され(DFGOTvol.11(1996)、HSDB(2003))、特に気管に刺激が強いとの記述(DFGOTvol.11(1996))もあり、気道刺激性が示唆された。さらに、ラットで麻酔作用が観察され(ACGIH(2001))、ネコで軽度の中枢抑制(HSDB(2005))、イヌで傾眠(HSDB(2005))が報告されていることから、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
異性体混合物の職業暴露を受けた一部のヒトで視野狭窄が報告され(DFGOT vol.11(1996))、また、神経毒性を惹き起こすとの記載もある(PATTY(5th, 2001))。さらに、ウサギで反復暴露により組織学的に視神経の変性が認められている(DFGOTvol.11,(1996))。これらの知見に基づき区分1(神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - 動粘性率14 mm2/s以下であるが、化学性肺炎等を示す動物データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 甲殻類(オオミジンコ)の24時間EC50=205mg/L(AQUIRE、2003)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=2000mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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