GHS分類結果

名称:ジシクロペンタジエン
CAS番号:77-73-6

結果:
物質ID: 783
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - (GHS定義による)固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - (GHS定義による)固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - (GHS定義による)固体。
6 引火性液体 (工業品)区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気(工業品) P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点23℃〜60℃なので「区分3」。
7 可燃性固体 区分1 危険 H228: 可燃性固体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
引火点32℃
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性ならびに自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 (工業品)区分外 - - - - 発火点503℃という情報があり、常温では発火しないとみなせる。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点503℃というデータがあり、常温では発火しないと考えられる。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点33℃であり、規定の試験条件では液化するので、試験できない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属、半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 (工業品)分類対象外 - - - - 分子内に、酸素、フッ素、塩素を含まない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素、フッ素、塩素を含まない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-を含まない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - 金属腐食性はない(HSDB(2005))。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット経口LD50として、346.5-590mg/kgに分布する5件のデータ(ECETOC JACC 19(1991))を統計処理して、平均値373.6mg/kgを得たので「区分4」とした。
1 急性毒性(経皮) 区分5 - 警告 H313: 皮膚に接触すると有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ウサギ経皮LD50として、4380-6600mg/kgに分布する3件のデータ(ECETOC JACC 19(1991))を見出したが、最小データ4380mg/kgから「区分5」とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - (GHS定義による)固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット吸入LC50として、372-660ppmに分布する4件のデータ(ECETOC JACC 19(1991))を統計処理して、平均値422ppm(2.28mg/L)を得たので「区分2」とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ミストの吸入暴露に関する実験データがなく、分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギ皮膚への塗与試験で、Moderateの判定を得ている(ECETOC JACC 19(1991))ので「区分2」とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギの眼への投与実験結果は軽症であった(ECETOC JACC 19(1991))が、EUで R36 を当てており、SIDS(1998)も irritant to eyes としていることから「区分2B」とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 呼吸器感作性については情報がなく、分類できない。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - 皮膚感作性についてはモルモットで2件の実験結果があり、いずれも陰性である(DFGOT vol.6(1993), ECETOC JACC 19(1991))ことから「区分外」とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - In vivo の実験結果がないので、分類できない。In vitro の実験報告は5件あり、すべて陰性であった。
6 発がん性 分類できない - - - - 分類機関の判定がないので、分類できない。2件のラットでの試験報告では陰性と判定されている(DFGOT vol.6(1993), ECETOC JACC 19(1991))。
7 生殖毒性 区分外 - - - - 妊娠中の牝への混餌投与実験(ECETOC JACC 19(1991))、出産期間を含む牡・牝への胃内投与実験(厚生省報告(2006))、ならびに3世代混餌投与実験(ECETOC JACC 19(1991))で影響なし、とされているので「区分外」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器系、肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用) 危険
警告
H370: 臓器の障害(呼吸器系、肝臓、腎臓)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
区分1のガイダンス値に相当するラット吸入暴露で、呼吸器系、腎臓、肝臓への影響と四肢の麻痺が報告されており、ミンクへの経口投与で麻酔症状が見られている(DFGOT vol.6(1993))ので「区分1(呼吸器系、肝臓、腎臓)、区分3(麻酔作用)」とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(腎臓)、区分2(循環器、肝臓、肺) 警告
危険
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(循環器、肝臓、肺)
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(腎臓)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット吸入暴露では区分1のガイダンス値で腎臓への影響(ECETOC JACC 19(1991))、更に区分2のガイダンス値で肺への影響(ACGIH(2001))が報告されている。また区分2のガイダンス値のラット経口投与で循環器、肝臓への影響(厚生省報告(2006))が見られているので「区分1(腎臓)、区分2(循環器、肝臓、肺)」とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1 危険 H304: 飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動粘性率で該当する多環炭化水素であるが、工業用品は多くの単環物質(シクロペンタジエン)を含んでいる。「区分1」とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ヒメダカ)の96時間LC50=4.3mg/L(SIDS、2002)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(BCF=384(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分2とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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