GHS分類結果

名称:o-ジニトロベンゼン
CAS番号:528-29-0

結果:
物質ID: 790
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 区分外 - - - - ニトロ基を含むが国連分類クラス1に分類されていない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
7 可燃性固体 分類できない - - - - 可燃性の記載はあるが、国連の試験法によるデータはない。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 自己反応性に関わる原子団は含まない。爆発性に関わる原子団は含むが実験室の試験データがなく分類できない。(国連番号3221〜3241に含まれていず、輸送禁止物質でもない。タイプGと推定される。)
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 引火点が150℃の物質で常温では発火しない。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
14 酸化性固体 区分外 - - - - ハロゲン原子は含まない。酸素原子は窒素原子と結合しているが、国連分類クラス5.1には分類されていない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データがなく分類できない。(ベンゼンのジニトロ誘導体のLD50値は5-60mg/kgの記載がある。)
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがなく分類できない。(蒸気圧が低く、吸入暴露はミスト又は、粉塵となる。)
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ヒトの皮膚を刺激するかもしれない(HSDB(2005))の記載より区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ヒトに対して眼を刺激する(ICSC(J)(2002), HSDB(2005))の記載より区分2A-Bとした。(表示等で細区分を行う必要がある場合は、安全性の観点から、2Aとした方が望ましい。)
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - いずれもデータがなく分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - いずれもデータがなく分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitroのエームズ試験の報告があるが、in vivoの報告は無く分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - データがなく、IARC等の評価機関の報告も無く分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 精巣の損傷には関与しない(PATTY(5th, 2001)の記載があるがデータ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(血液)、区分3(気道刺激性) 警告
危険
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
H370: 臓器の障害(血液)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
暴露(経皮暴露も含む)するとメトヘモグロビン血症を起こし、頭痛、チアノーゼ、脱力、錯乱、動悸、吐き気、嘔吐、昏睡等を伴う(ACGIH(2001), PATTY(5th, 2001), HSDB(2005), SITTIG(47th, 2002))の記載より区分1(血液)に、気道を刺激する(ICSC(J)(2002))の記載より区分3(気道刺激性)に分類した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、血液、神経系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、血液、神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
反復暴露により肝臓障害、貧血、メトヘモグロビン血症を生じる(ACGIH(2001), ICSC(J)(2001), HSDB(2005))の記載より区分1(肝臓、血液)に、神経系に影響を与え視力障害を生じる(ACGIH(2001)、ICSC(J)(2001))、及び末梢神経の障害による手足等の感覚異常を生じる(HSDB(2005))の記載より区分1(神経系)に分類した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがなく分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=600μg/L(AQUIRE、2003)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=1.69(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(HSDB、2004))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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