GHS分類結果

名称:水酸化リチウム-水和物
CAS番号:1310-66-3

結果:
物質ID: 813
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - (GHS定義による)固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - (GHS定義による)固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - (GHS定義による)固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - (GHS定義による)固体。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性物質。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性および自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - (GHS定義による)固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性物質。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性物質。空気から吸湿して発熱するが、発火に至ることはない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に接触すると激しく反応するが、発生するのは溶解熱であり、引火性ガスは発生しない。(GESTIS(2006))
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - (GHS定義による)固体。
14 酸化性固体 区分外 - - - - 酸素を含むが、リチウムは1価において安定な金属であり、水酸化リチウムは一般に他物質に酸素を与えることはない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - ホンメルに「アルミニウムおよび亜鉛は腐食作用を受けるので、容器として適していない。その腐食作用は湿気または水が存在する場合著しく強まる。鋼、ステンレス鋼、ガラス、セラミックおよび多くの合成物質は容器として耐久性がある。」という記載がある。しかしアルミニウムに対する腐食速度データが見出されず、分類できない。区分1と推定される。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの経口LD50:210mg/kg(RTECS(2000))から「区分3」とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データがなく、分類できない。強腐食性物質であり、経皮吸収暴露の実験が行えない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - (GHS定義による)固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - 不揮発性の固体であり、蒸気の吸入暴露試験が行えない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットのLC50:0.96mg/L・4Hから「区分3」とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1B 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物試験のデータは見出せなかったが、ICSC(1998), HSFS(2004), GESTIS(2006)など各ハザードデータ集の記述に「皮膚に火傷を起こす」の表現があるので「区分1」とした。国連危険物輸送規則ではクラス8、容器等級IIとされており、輸送目的では区分1Bとなる。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
動物実験のデータは見出せなかったが、ICSC(1998), GESTIS(2006)などのハザードデータ集に「激しい火傷を起こす」との記述がある。皮膚腐食性でも区分1とされたので、「区分1」とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 情報がなく、分類できない。アルカリ金属水酸化物であり、体内では塩になる。感作性はないと考えられる。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 情報がなく、分類できない。アルカリ金属水酸化物であり、体内では塩になる。感作性はないと考えられる。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - 情報がなく、分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - 情報がなく、分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データがなく、分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(吸入:呼吸器系) 危険 H370: 臓器の障害(吸入:呼吸器系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ICSC(1998), HSFS(2004)などに気道刺激および肺水腫の記述があり、「吸入:呼吸器系」を採用した。これらはプライオリティー2の文献であるが、動物実験で区分1のガイダンス値内で特性が見られたとの記述があるので、「区分1」とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(吸入:呼吸器系)、区分2(経口:肝臓、造血系) 警告
危険
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(経口:肝臓、造血系)
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(吸入:呼吸器系)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
動物実験で、区分1のガイダンス値内で呼吸器系への影響が見られた(RTECS(2000))。また HSFS(2004)には咳、炎症、呼吸困難を伴う気管支炎が記載されているので「区分1(吸入:呼吸器系)」とした。また区分1のガイダンス値より極めて低い経口投与で肝臓・造血系への影響が述べられている(RTECS(2000))が、RTECSの単位入力ミスの疑いがあるので「区分2(経口:肝臓、造血系)」として採用した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - 情報がなく、分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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