GHS分類結果

名称:チオジ(パラ-フェニレン)-ジオキシ-ビス(チオホスホン酸)O,O,O',O'-テトラメチル【テメホス】
CAS番号:3383-96-8

結果:
物質ID: 826
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。ただし、本物質は30-31℃で液化し、引火点が43-93℃であるので、貯蔵条件によっては「区分3」または「区分4」の引火性液体に相当するので注意が必要である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - 可燃性とされている(ICSC(1995)等)が、データがないために分類できない。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 分子内に自己反応性に関連する原子団としてP-O結合を有するが、データがないために分類できない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 発火点データがないが、引火点を常温以上の温度で測定していること(HSDB(2005)、Gangolli(2nd, 1999))から常温における自然発火性はないと判断した。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質(融点140度以下の固体)に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水溶解度が測定されている(ICSC(1995)、Merck(13th, 2001)、Howard(1997))ことから、水中では安定であると判断できる。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
14 酸化性固体 分類できない - - - - りんと結合した酸素を含むが、データがないために分類できない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットLD50値の8データ(ACGIH(2001)、PDS No.8(1978))から計算で得られたLD50=2719mg/kgに基づき、区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 区分4 警告 H312: 皮膚に接触すると有害 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギLD50値の4データ(PATTY(5th, 2001)、PDS No.8(1978))から計算で得られたLD50=1082mg/kgに基づき、区分4とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - 粉塵によると思われる試験で、LC50>1.3mg/Lのデータしかなく、分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 動物において軽度の刺激性が見られたとの記載(PATTY(5th, 2001)、RTECS(2004))、およびヒトにおいて接触により刺激性があるとの記載(HSFS(2000))に基づき、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
動物でわずかの刺激性があるとの記載(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - 動物で皮膚感作性が見られなかったとの記載(PATTY(5th, 2001))に基づき、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分外 - - - - 親に一般毒性が見られる用量で親の繁殖能力、児の発生・発育に影響が見られないとの記載(ACGIH(2001)、PDS No.8(1978))に基づき、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットおよびマウスで経口投与により区分2のガイダンス値範囲の用量で、有機リン中毒特有の症状およびコリンエステラーゼ阻害が見られるとの記載(ACGIH(2001)、PATTY(5th, 2001))がある。ヒトにおいて、吸入および接触により重度の中毒が発症し、接触により頭痛、発汗、吐き気、おう吐、下痢、協調運動喪失および死亡が見られるとの記載(HSDB(2005)、SITTIG(47th, 2002))がある。以上の情報に基づき、区分2(神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット、マウス、イヌで区分1のガイダンス値範囲内の暴露で赤血球コリンエステラーゼ阻害があり、区分2のガイダンス値範囲内の暴露で典型的なコリン作用性の有機リン中毒症状が見られるとの記載がある(ACGIH(2001)、PATTY(5th, 2001)、PDS No.8(1978))。ヒトにおいて、呼吸障害、衰弱、腕と脚のチクチクする感じおよび協調運動不全が見られ、コリンエステラーゼ阻害剤の影響が蓄積する可能性があるとの記載がある(HSFS(2000)、SITTIG(47th, 2002))。以上の情報に基づき、区分1(神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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