GHS分類結果

名称:灯油
CAS番号:8008-20-6

結果:
物質ID: 852
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
6 引火性液体 分類できない[但し、区分3または区分4] 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
UNRTDGでは区分3相当のPGIIIに分類されているが、既知情報では引火点の範囲が広く分布しているため、実試料について引火点を測定しなければ判定できない。尚、判定基準は以下の通りである。 区分3 ; 23℃≦引火点.≦60℃ 区分4 ; 60℃<引火点≦93℃
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が220℃である(ICSC(J)(1998))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - UNRTDG クラス3に分類されている。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素、フッ素または塩素原子を含んでいない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - UNRTDG クラス3に分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - IARC 45(1989)のjet propulsion fuel(JP-5)のラットLD50値が>48000mg/kgとの記述、およびIUCLID(2000)のstraight run keroseneをラットに経口投与したGLP試験において5000mg/kgで死亡が認められなかったとの記述から、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - IUCLID(2000)のstraight run keroseneをウサギに経皮投与したGLP試験において2000mg/kgで死亡が認められなかったとの記述から、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - IUCLID(2000)のstraight run keroseneをラットに吸入暴露したGLP試験において5.28mg/Lで死亡が認められなかったとの記述から、区分外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
EHC(20, 1982)、ACGIH(7th, 2001)、PATTY(4th, 1994)およびIARC(45, 1989)のヒトで皮膚への接触により刺激性が認められたとの記述から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - PATTY(4th, 1994)の眼を刺激しないとの記述、ならびにIUCLID(2000)のウサギを用いたDraize test(GLP試験)で刺激性が認められなかったとの記述から、区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - IUCLID(2000)のモルモットを用いたBuehler test(GLP試験)で感作性が認められなかったとの記述はあるが、Priority1において明確に感作性を否定するデータがないことから、分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 【特記】体細胞を用いるin vivo変異原性試験であるラット骨髄細胞を用いる染色体異常試験で jet fuel Aについて陽性の結果がある(IARC 45, 1989)が、kerosineについては陰性の結果(ACGIH 7th, 2001、IARC 45, 1989、IUCLID, 2000)があり、マウス骨髄を用いた小核試験でもdiesel No.1について陰性の結果(ACGIH 7th, 2001)、さらに、げっ歯類を用いる優性致死試験でもkeroseneおよびjet fuelについて陰性の結果(ACGIH 7th, 2001)があることから、区分外とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
【特記】IARC 45(1989)でJet fuel(kerosene, 8008-20-6)およびDistillate(light)fuel oilsがグループ3に分類されているが、ACGIH(2001)ではkerosene/Jet fuelsがA3に分類されていることから、最近の評価であるACGIHの分類に基づき、区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ACGIH(7th, 2001)、IARC(45, 1989)およびNTP(TR 310, 1986)の妊娠ラットへの投与試験で生殖毒性が認められなかったとの記述はあるが、親動物への影響についての記述がないため、投与量(蒸気圧から計算できる飽和濃度未満)が適切であるか否かの判断ができないことから、分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(7th, 2001)、PATTY(4th, 1994)およびIARC 45(1989)のヒト暴露例で中枢神経抑制やめまいなどが認められたとの記述、ならびにACGIH(7th, 2001)のマウスを用いた吸入暴露試験で気道刺激性が認められたとの記述から、麻酔作用および気道刺激性を示すと考え、区分3とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1 危険 H304: 飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(7th, 2001)およびEHC 20(1982)にヒトで誤嚥により化学性肺炎をおこすとの記述があることから、区分1とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

職場のあんぜんサイトへ


GHS関連情報トップページに戻る