GHS分類結果

名称:1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン【トリクロロトリフルオロエタン】【CFC-113】
CAS番号:76-13-1

結果:
物質ID: 855
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 引火点なし(Lange(14th, 1992))および、不燃性(溶剤ポケットブック(1994))ないし難燃性である。(ホンメル(1991)Card No.199)
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 不燃性ないし難燃性である。(溶剤ポケットブック(1994)、ホンメル(1991)Card No.199)
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性ないし難燃性である。(溶剤ポケットブック(1994)、ホンメル(1991)Card No.199)
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素を含んでいない。フッ素および塩素を含むが、いずれも炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - 「金属を侵すことはない」との情報(溶剤ポケットブック(1994))により。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50値:43g/kg(ACGIH, 7th(2001)、産衛学会勧告(1993)、DFGOT vol.3(1999)、CERIハザードデータ集,(1999)、RTECS(2005)、IUCID(2000))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギの致死量は11000mg/kgまたはそれを上回るとのデータ(ACGIH(2991)、CERIハザードデータ集(1999)、およびRTECS(2005)に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外 - - - - ラットLC50値(4時間暴露):52000ppm(産衛学会勧告(1993)、CERIハザードデータ集(1999))、52500ppm(EHC 113(1990))、68000ppm(産衛学会勧告(1993)、CERIハザードデータ集(1999))の3データについて統計計算した値397.68mg/L(統計計算値が計算に用いたデータの最低値よりも小さいため最低値のデータを採用:52000ppm)から、ミストをほとんど含まない蒸気暴露によるLC50値と判断され、ppm濃度による基準値を適用して、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 ウサギでのドレイズ法(24時間暴露)による皮膚刺激性試験では軽度の刺激性が認められた(CERIハザードデータ集、1999)との記述に基づき区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験で、刺激性の判定基準に達していない(DFGOT vol.3, 1999)および刺激性は見られない(CERIハザードデータ集(1999))ことから、区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットでのMaximization法では陰性であった(CERIハザードデータ集、1999)が、他に明確に皮膚感作性を否定する記述が無いことから、データ不足のため分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 生殖細胞を用いるin vivo経世代変異原性試験であるマウスを用いた優性致死試験で陰性である(EHC 113(1990), ACGIH(7th, 2001), DFGOT vol.3(1999), CERIハザードデータ集(1999))との記述のほか、in vivo試験の報告がないことから、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - ACGIHではA4に分類している(ACGIH 7th, 2001)ことから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットの胎児器官形成期に吸入暴露した試験では、母動物に一般毒性が現れる用量においても、胚・胎児毒性ならびに催奇形性は認められなかった(EHC 113(1990), ACGIH(7th, 2001), CERIハザードデータ集(1999))との記述、およびラットでの吸入暴露による一世代繁殖試験では、標準的な繁殖性に関する指標において異常が認められなかった(EHC 113(1990), ACGIH(7th, 2001), CERIハザードデータ集(1999))との記述から、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ボランティアまたは事故等によるヒトの暴露例では、一過性の精神運動能力の低下、傾眠、めまい、記憶障害などの麻酔作用に随伴する症状、気道刺激性が認められた(EHC 113(1990), DFGOT vol.3(1999))との記述、およびラット、モルモット、イヌでの吸入暴露により気道刺激性および麻酔作用が認められた(ACGIH(7th, 2001), DFGOT vol.3(1999), CERIハザードデータ集(1999))との記述から、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系、肝臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(中枢神経系、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトでの職業的長期暴露作業者に神経心理学的症状、精神作業テストにおける能力低下および肝臓に脂肪浸潤を伴う肝機能障害が認められた(産衛学会勧告(1994)、CERIハザードデータ集(1999))との記述により、区分1(中枢神経系、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=4290μg/L(環境省リスク評価第3巻、2004)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(BCF=86(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:2%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分2とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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