GHS分類結果

名称:1,2,4-トリクロロベンゼン
CAS番号:120-82-1

結果:
物質ID: 860
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - 引火点>93℃
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が500℃以上である。(Ullmanns(E)(5th, 1995)A6: p328-333)
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 区分外 - - - - 分子内に酸素またはフッ素を含んでいない。塩素を含むが、この塩素は炭素、 水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - UNRTDG クラス6.1に分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値:756mg/kg(DFGOT vol.3, 1992、ACGIH 7th, 2001、EHC 128, 1991、EU-RAR, 2003)、880mg/kg(DFGOT vol.3, 1992、ACGIH 7th, 2001)、930mg/kg(DFGOT vol.3, 1992、EU-RAR, 2003)、1019mg/kg(DFGOT vol.3, 1992、ACGIH 7th, 2001、EU-RAR, 2003)に基づき、計算を適用した。計算値は806.2mg/kgであったことから、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットLD50値:6139mg/kg(DFGOT vol.3, 1992、ACGIH 7th, 2001、EHC 128, 1991、EU-RAR, 2003)、11415mg/kg(DFGOT vol.3, 1992、ACGIH 7th, 2001、EU-RAR, 2003)、approximately 5000mg/kg(EU-RAR, 2003)および>5000mg/kg(EU-RAR, 2003)に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - EU-RAR(2003)にラットでは418ppm(換算値3.1mg/L)の4時間暴露で死亡が認められなかったとの記述があるが、他にデータはなく区分が特定できないことから、データ不足のため分類できないとした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 EU-RAR(2003)のOECDガイドラインに従った動物実験においてごく軽度な刺激性が認められたとの記述から、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - EU-RAR(2003)のOECDガイドラインに従った動物実験において角膜および虹彩に影響が認められなかったとの記述、ならびにEHC 128(1991)、DFGOT vol.3(1992)、EU-RAR(2003)のウサギの眼に適用した試験において角膜に影響が認められなかったとの記述から、刺激性の判定基準には適応しないと判断し、区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - EU-RAR(2003)のモルモットを用いたmaximization testにおいて陽性率が10%以下であったとの記述から、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞を用いるin vivo変異原性試験であるマウス赤血球を用いた小核試験で陰性の結果(EHC 128, 1991、DFGOT vol.14, 2000、EU-RAR, 2003)があることから、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - EPAでDに分類されている(IRIS, 2005)ことから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - EHC 128(1991)、DFGOT(vol.3, 1992)、PATTY(4th, 1994)、EU-RAR(2003)、IRIS(2005)のラットを用いた妊娠中経口投与試験およびラットを用いた多世代繁殖性試験において親動物に一般毒性が認められる用量でも明確な生殖毒性が認められなかったとの記述から、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EU-RAR(2003)、ACGIH(7th, 2001)、DFGOT(vol.3, 1992)のヒトへの影響として喉を刺激するとの記述、ならびにDFGOT(vol.3, 1992)のラットを用いた経口投与試験において麻酔作用が認められたとの記述から、区分3(気道刺激性、麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓、甲状腺、腎臓、副腎) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓、甲状腺、腎臓、副腎) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EHC 128(1991)、DFGOT(vol.3, 1992)、EU-RAR(2003)のラットを用いた混餌経口投与試験において肝臓および甲状腺への影響が区分2のガイダンス値範囲の用量で認められたとの記述、PATTY(4th, 1994)、EU-RAR(2003)のラットを用いた混餌経口投与試験で肝臓および腎臓への影響が区分2のガイダンス値範囲の用量で認められたとの記述、ならびにIRIS(2005)のラットを用いた強制経口投与試験において副腎への影響が区分2のガイダンス値範囲の用量で認められたとの記述から、区分2(肝臓、甲状腺、腎臓、副腎)とした。なお、ACGIH(7th, 2001)にはヒトへの影響として高濃度暴露で肝毒性をおこす可能性があるとの記述があるが、具体的な症例は示されておらず、区分1への分類を正当化することが十分には確信できないことから、区分2とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(ミシッドシュリンプ)の96時間EC50=0.45mg/L(EU-RAR、2003)他から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、急速分解性がなく(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))、生物蓄積性がある(BCF=1320(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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