GHS分類結果

名称:トリメチルベンゼン
CAS番号:25551-13-7

結果:
物質ID: 868
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
23℃≦引火点≦60℃
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が450-550℃である。(ICSC(J)(2002))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素、フッ素または塩素原子を含んでいない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットLD50:8970mg/kg(RTECS(2005))、8970mg/kg(HSDB(2005))に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ACGIH(7th, 2001)に皮膚一次刺激性(動物種は不明)があるとの記述や、RTECS(2005)にウサギに対し中等度刺激性との記述があり、HSDB(2005)、HSFS(2003)及びSITTIG(4th 2002)にはヒトへの影響として、具体的な症例報告などは示されていないが皮膚刺激性があるとの記述があることから、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
RTECS(2005)にウサギに対し軽度の刺激性があるとの記述があり、ICSC(J)(2002)にはヒトへの影響として、具体的な症例報告などは示されていないが、眼に発赤、痛みを起こすとの記述や、HSFS(2003)およびSITTIG(4th 2002)にも眼刺激性があるとの記述があることから、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(7th, 2001)に「経皮吸収による全身性中毒の可能性は低いと考えられた」との記述がある。ヒトへの影響として、ICSC(J)(2002)に吸入暴露或いは経口摂取で錯乱、咳、めまい、し眠、頭痛、咽頭痛、嘔吐、気道刺激との記述があり、また中枢神経系に影響を与えることがあるとの記述がある。HSDB(2005)に「摂取により軽度の毒性」、HSFS(2003)及びSITTIG(4th 2002)に「吸入暴露により、めまい、頭のふらつき、意識を失う可能性がある」との記述がある。更にまた、SITTIG(4th 2002)に「吸入暴露により、気道を刺激する他、ICSC(J)(2002)の記述と同様の症状を示す可能性がある」 との記述がある。以上のことより、気道刺激性、麻酔作用があると判断され、いずれも区分3とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(皮膚、呼吸器、血液、中枢神経系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(皮膚、呼吸器、血液、中枢神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ICSC(J)(2002)、SITTIG(4th,2002)のヒトへの反復皮膚暴露により皮膚の脱脂によるひび割れを起こすとの記述、ICSC(J)(2002)、SITTIG(4th,2002)、HSFS(2003)の反復吸入暴露により、肺刺激または慢性気管支炎、血液凝固への影響、頭痛、神経過敏等の中枢神経系への影響があるとの記述により、皮膚、呼吸器、血液、中枢神経系が標的臓器と判断され、いずれも区分2とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1 危険 H304: 飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
トリメチルベンゼンは炭化水素である。Lange(14th, 1992)に、3つの異性体のうち、1,2,4-トリメチルベンゼン及び1,3,5-トリメチルベンゼンの粘性率はそれぞれ0.730mPas(30℃)、1.154mPas(20℃)であるとの記述がある。これらの粘性率データおよび3異性体の密度がいずれも0.9より小さいことから、トリメチルベンゼン(3異性体混合物)の40℃での動粘性率は20.5mm2/sを十分に下回ると判断される。 また、ICSC(J)(2002)に[液体を飲み込むと、誤嚥により化学性肺炎を起す危険がある]との記述があり、1,2,3-トリメチルベンゼン及び1,3,5-トリメチルベンゼンが例示されている。更にまたSITTIG(4th、2002)にも、[液体が肺に入ると、気管支炎または化学性肺炎を起す]との記述があり、これらの記述に基づき、区分1とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(グラスシュリンプ)の96時間LC50=5400μg/L(AQUIRE、2003)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(1,3,5-トリメチルベンゼンのBCF=328(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(1,3,5-トリメチルベンゼンのBODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ)から類推)ことから、区分2とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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