GHS分類結果

名称:2-ブタノール
CAS番号:78-92-2

結果:
物質ID: 913
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
23℃≦引火点≦60℃
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が390℃である(ホンメル(1991)Card No.54)。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - UNRTDG クラス3に分類されている。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内の酸素原子が炭素、水素以外の原子と化学結合していない。またフッ素および塩素原子を含んでいない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - UNRTDG クラス3に分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットLD50値=6500mg/kg(EHC 65(1987)、ACGIH(2002)、DFGOT vol.19(2003)、PATTY(4th, 1994)、産衛学会勧告(1993))および2200mg/kg(DFGOT vol.19(2003))に基づき、小さい方の値を採用して区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - DFGOT vol.19(2003)のウサギを用いた経皮投与試験で2000mg/kgで死亡が認められなかったとの記述から、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - EHC 65(1987)、ACGIH(2002)、DFGOT vol.19(2003)およびPATTY(4th, 1994)のウサギを用いた試験で皮膚刺激性はないとの記述、およびヒト暴露例で皮膚刺激性を示す報告がないことから、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
DFGOT vol.19(2003)のウサギ試験で結膜、虹彩および角膜に障害が認められ、1匹では7日目でも症状が回復しなかったとの記述から、区分2Aとした。 なお、PATTY(4th, 1994)および産衛学会勧告(1993)のヒトで高濃度蒸気の暴露により眼に刺激があるとの記述がある。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - DFGOT vol.19(2003)にモルモットを用いたMaximization testで感作性は認められなかったとの記述がある。一方、PATTY(4th, 1994)にはヒトで皮膚感作性を示すごく小数の症例報告があると記載されているが、ACGIH(2002)およびDFGOT vol.19(2003)では、皮膚パッチテストで2-ブタノールに陽性を示す例は、一級または二級アルコール類などにも感作性を示し、交差感作性による陽性反応であることが示唆されることから、2-ブタノール自体に皮膚感作性があるとは結論できないと記述されており、分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivoでの変異原性および遺伝毒性試験データはなく、in vitro変異原性試験ではいずれも陰性のため分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(2002)、DFGOT vol.19(2003)およびPATTY(4th, 1994)のラットでの飲水投与による2世代繁殖試験では生殖能には影響なく、最小限の影響(出生児の発育遅延)のみが認められた。一方、ラットの妊娠期間に吸入暴露した試験では、母獣毒性がみられる用量で生存仔の減少および吸収胚の増加が認められたとの記述から、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(2002)、DFGOT vol.19(2003)、PATTY(4th, 1994)および産衛学会勧告のヒトで高濃度暴露によって鼻や喉を刺激するとの記述から、気道刺激性があると考えられ、EHC 65(1987)ではヒトおよびマウスで、DFGOT vol.19(2003)およびPATTY(4th, 1994)ではラットおよびマウスでの吸入暴露により麻酔作用が認められており、ともに区分3とした。また、DFGOT vol.19(2003)のマウスでの高濃度吸入暴露により中枢神経系抑制症状が認められたが、高濃度における麻酔作用と判断した。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データなし。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 甲殻類(オオミジンコ)の24時間EC50=2300mg/L(EHC65、1987)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=1.81×105mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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