GHS分類結果

名称:フルフラール
CAS番号:98-01-1

結果:
物質ID: 924
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
6 引火性液体 分類できない[但し、区分3または区分4] 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
区分3と区分4の境界値である、60℃とのデータがある。よって、実試料について引火点を測定しなければ判定できない。尚、判定基準は以下の通りである。 区分3;23℃≦引火点≦60℃ 区分4;60℃<引火点≦93℃
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が315℃である。(ICSC(J)(1998))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内にフッ素または塩素を含んでいない。酸素を含むが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - UNRTDG クラス6.1 副次危険3に分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値:122-158mg/kg(CICAD 21, 2000)、about 125mg/kg(DFGOT vol.9, 1998)、50-149mg/kg(EU-RAR, 2004)、149mg/kg(PATTY 4th, 1994)、50-100mg/kg(PATTY 4th, 1994、産衛学会勧告, 1993)に基づき、計算を適用した。計算値は86.1mg/kgであったことから、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ウサギLD50値:>310mg/kg(EU-RAR, 2004)およびbetween 500 and 1000mg/kg(PATTY 4th, 1994)に基づき、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLC50(1時間)値:189ppm(4時間換算値0.371mg/kg)(CICAD 21, 2000、DFGOT vol.9, 1998)、1037ppm(4時間換算値2.033mg/L)(CICAD 21, 2000)、995ppm(4時間換算値1.95mg/L)(DFGOT vol.9, 1998)、4.075mg/L(4時間換算値2.038mg/L)(EU-RAR, 2004)、およびLC50(4時間)値:235ppm(換算値0.922mg/L)(CICAD 21, 2000、DFGOT vol.9, 1998、EU-RAR, 2004)、0.6mg/L(EU-RAR, 2004)に基づき、計算を適用した。計算値は0.8005mg/L(換算値204ppm)であった。蒸気圧からミストをほとんど含まない蒸気と判断し、ppm濃度基準値により区分2とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
CICAD 21(2000)およびEU-RAR(2004)にウサギの皮膚への12時間適用で刺激性は認められなかったとの記述があるが、EU-RAR(2004)のウサギの皮膚への24時間適用で刺激性が認められたとの記述、ならびにIARC 63(1995)、産衛学会勧告(1993)、PATTY(4th, 1994)のヒトへの影響として皮膚を刺激するとの記述から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
EU-RAR(2004)およびCICADS 21(2000)のウサギの眼に角膜混濁などの刺激性が認められたが、眼の変化は9日後に回復したとの記述から、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - EU-RAR(2004)のモルモットを用いたBuehler testおよびMaximization testにおいて感作性は認められなかったとの記述、DFGOT(vol.18, 2002)のヒトを対象としたMaximization testにおいて感作性は認められなかったとの記述、ならびにEU-RAR(2004)において皮膚感作性はないと結論づけられていることから、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞を用いるin vivo変異原性試験であるマウス骨髄細胞を用いた染色体異常試験において陰性の結果(DFGOT vol.9, 1998、EU-RAR, 2004、IARC 63, 1995、NTP TR382, 1990)があることから、区分外とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCでグループ3(IARC 63, 1995)に分類されているが、ACGIHではA3(ACGIH 7th, 2001)、EUでは2003年にカテゴリー3(EU-RAR, 2004)に分類されていることから、最近の評価文書であるEUに従い、区分2とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - EU-RAR(2004)のラットを用いた妊娠中経口投与試験において親動物に一般毒性が認められる用量でも明確な生殖毒性が認められなかったとの記述、ラットおよびマウスでの2年間の経口投与毒性および発がん性試験、ハムスターでの13週間吸入暴露試験などのいずれの試験においても雌雄の生殖器官に影響が認められなかったとの記述から、区分外とした。なお、EUのCMRワーキンググループは、フルフラールは生殖毒性物質には分類すべきでないと評価している(EU-RAR(2004)。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器、肝臓) 危険 H370: 臓器の障害(呼吸器、肝臓) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CICAD 21(2000)、ACGIH(7th, 2001)、DFGOT(vol.9, 1998)、EU-RAR(2004)、PATTY(4th, 1994)、産衛学会勧告(1993)のヒト暴露例で気道刺激症状が認められたとの記述、ならびにCICAD 21(2000)およびIARC 63(1995)のラットを用いた吸入暴露試験で肺水腫が区分1のガイダンス値範囲の暴露で認められたとの記述、DFGOT(vol.9, 1998)およびEU-RAR(2004)のラットを用いた経口投与試験において肝臓への影響が区分1のガイダンス値範囲の投与量で認められたとの記述から、区分1(呼吸器、肝臓)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(呼吸器)、区分2(肝臓) 警告
危険
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓)
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(呼吸器)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CICAD 21(2000)、DFGOT(vol.9, 1998)、IARC 63(1995)のラットを用いた吸入暴露試験において肺への影響が区分1のガイダンス値範囲で認められたとの記述から、区分1(呼吸器)とした。また、CICAD 21(2000)、DFGOT(vol.9, 1998)、EU-RAR(2004)、IARC 63(1995)、IRIS(2005)、NTP TR382(1990)のラットを用いた経口投与試験において肝臓への影響が区分2のガイダンス値範囲の用量で認められたとの記述から、区分2(肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=16mg/L(CICAD21、2000)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:93.5%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.41(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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