GHS分類結果

名称:ヘキサクロロエタン
CAS番号:67-72-1

結果:
物質ID: 936
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性である。(ICSC(J)(1993)ほか)
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性である。(ICSC(J)(1993)ほか)
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性である。(ICSC(J)(1993)ほか)
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素またはフッ素を含んでいない。塩素を含むが、この塩素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 鉄を侵す可能性が示唆されているが(ICSC(J)(1993))、固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットLD50値:4460mg/kg(ACGIH 7th, 2001、PATTY 4th, 1994、ATSDR, 1997、NTP TR361, 1989)、7080mg/kg(PATTY 4th, 1994、ATSDR, 1997、NTP TR361, 1989)、5900mg/kg(PATTY 4th, 1994、NTP TR361, 1989)、4489mg/kg(ATSDR, 1997)および6000mg/kg(NTP TR361, 1989)に基づき、計算を適用した。計算値は4767mg/kgであったことから、区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギLD50値:32000mg/kgまたは>32000mg/kg(ACGIH 7th, 2001、PATTY 4th, 1994、NTP TR361, 1989、ATSDR, 1997)に基づき、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - IARC 73(1999)およびATSDR(1997)のラットを用いた試験において5900ppmの8時間暴露(4時間換算値114mg/L)により6例中2例が死亡したとの記述から、LC50値は示されていないが、致死濃度が区分4の上限の20倍を超えていることから、区分外と判断した。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 PATTY(4th, 1994)、NTP TR361(1989)、ATSDR(1997)にはウサギの皮膚に適用した試験において刺激性はみとめられなかったとの記述があるが、IARC 73(1999)およびATSDR(1997)のヒトの反復暴露例に軽度な皮膚刺激性が認められたとの記述から、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
PATTY(4th, 1994)、NTP TR361(1989)、ATSDR(1997)のウサギの眼に適用した試験において72時間後には回復する眼刺激性が認められたとの記述から、眼刺激性は軽度であると判断し、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - ACGIH(7th, 2001)、PATTY(4th, 1994)、NTP TR361(1989)、ATSDR(1997)のモルモットを用いた皮膚感作性試験において感作性は認められなかったとの記述から、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - 体細胞を用いるin vivo遺伝毒性試験であるラットおよびマウスの体細胞DNAとの結合試験において陽性の結果(IARC 73, 1999)があるが、in vitro変異原性試験で陽性の結果がないことから、分類できないとした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EPAで1994年にC(IRIS, 2006)に分類されているが、IARCではグループ2B(IARC 73, 1999)、ACGIHではA3(ACGIH 7th, 2001)、NTPではR(NTP RoC 11th, 2005)に分類されていることから、最近の評価文書であるACGIHに従い、区分2とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ACGIH(7th, 2001)、PATTY(4th, 1994)、IARC 73(1999)、IRIS(2006)、ATSDR(1997)、NTP TR361(1989)のラットを用いた妊娠中経口投与および吸入暴露試験において母動物に一般毒性が認められる用量でも明確な生殖毒性が認められなかったとの記述から、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(腎臓、神経系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(腎臓、神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ACGIH(7th, 2001)、PATTY(4th, 1994)、IARC 73(1999)、NTP TR361(1989)、IRIS(2006)、ATSDR(1997)のラットを用いた経口投与試験において雌雄とも腎臓への影響が区分2のガイダンス値範囲の投与量で認められたとの記述、ならびにACGIH(7th, 2001)、IARC 73(1999)、NTP TR361(1989)、IRIS(2006)、ATSDR(1997)のイヌを用いた吸入暴露試験において神経系への影響が区分2のガイダンス値範囲の濃度で認められたとの記述から、区分2(腎臓、神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=0.97mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いものの(BCF=8.5(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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