GHS分類結果

名称:ヘキサクロロベンゼン
CAS番号:118-74-1

結果:
物質ID: 938
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - UNRTDG クラス6.1に分類されている。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - UNRTDG クラス6.1に分類されている。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - UNRTDG クラス6.1に分類されている。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素またはフッ素を含んでいない。塩素を含むが、この塩素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 試験温度である55℃において、気体状または固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットLD50値:3500mg/kg(EHC 195, 1997、ACGIH 7th, 2001、DFGOT vol.16, 2001、PATTY 4th, 1994、IARC 79, 2001、ATSDR, 2002)および10000mg/kg(環境省リスク評価第1巻, 2002、EHC 195, 1997、ACGIH 7th, 2001、IARC 79, 2001)に基づき、小さい方の値を採用して区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - EHC 195(1997)およびDFGOT(vol.16, 2001)に実験動物の皮膚刺激性は低いとの記述があるが、動物種、適用時間などが不明であることから、データ不足のため分類できないとした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - 使用動物種は不明であるが、EHC 195(1997)およびDFGOT(vol.16, 2001)の実験動物において眼刺激性はないとの記述から、区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 生殖細胞を用いるin vivo経世代変異原性試験であるラットを用いた優性致死試験において陰性の結果(IRIS, 2005、ATSDR, 2002、EHC 195, 1997、ACGIH 7th, 2001、DFGOT vol.16, 2001、PATTY 4th, 1994、IARC 79, 2001)があることから、区分外とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EUでカテゴリー2(EU-ANNEX I, 2005)に分類されているが、IARCでグループ2B(IARC 79, 2001)、ACGIHでA3(ACGIH 7th, 2001)、EPAで1996年にB2(IRIS, 2005)、NTPでR(NTP RoC 11th, 2005)に分類されていることから、区分2とした。
7 生殖毒性 区分1A 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
環境省リスク評価第1巻(2002)、ACGIH(7th, 2001)、EHC 195(1997)、ATSDR(2002)、DFGOT(vol.16, 2001)、PATTY(4th, 1994)、IARC 79(2001)のラットまたはマウスを用いた経口投与繁殖性試験および妊娠中経口投与試験において子動物の出生後の著しい死亡率増加が認められたとの記述、ならびにIARC 79(2001)およびEHC 195(1997)のヒト暴露例の母乳を飲んだ新生児が死亡しているとの記述があり、専門家の判断にもとづき、区分1Aとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肝臓、皮膚、甲状腺、骨、腎臓、内分泌系)、区分2(免疫系、神経系) 危険
警告
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肝臓、皮膚、甲状腺、骨、腎臓、内分泌系)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(免疫系、神経系)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
環境省リスク評価第1巻(2002)、ACGIH(7th, 2001)、EHC 195(1997)、ATSDR(2002)、DFGOT(vol.16, 2001)、PATTY(4th, 1994)、IARC 79(2001)のヒトの経口摂取による事故暴露例において肝障害、皮膚ポルフィリン症、関節炎、甲状腺肥大などの肝臓、皮膚、骨または甲状腺への影響が認められたとの記述、IRIS(2005)、ATSDR(2002)、DFGOT(vol.16, 2001)、EHC 195(1997)のラットを用いた経口投与試験において腎臓および副腎への影響が区分1のガイダンス値範囲の投与量で認められたとの記述、ACGIH(7th, 2001)、EHC 195(1997)、ATSDR(2002)、IARC 79(2001)、PATTY(4th, 1994)のラットまたはマウスを用いた経口投与試験において振戦などの神経系への影響および免疫抑制が区分2のガイダンス値範囲で認められたとの記述から、区分1(肝臓、皮膚、甲状腺、骨、腎臓、内分泌系)、区分2(免疫系、神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の24時間EC50<30μg/L(IUCLID、2000)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、急速分解性がなく(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))、生物蓄積性がある(BCF=30000(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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