GHS分類結果

名称:n-ヘキサン
CAS番号:110-54-3

結果:
物質ID: 941
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点<23℃、沸点>35℃ UNRTDG クラス3 PGIIに分類されている。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が225℃である(ICSC(J)(2000))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - UNRTDG クラス3に分類されている。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内に酸素、フッ素または塩素原子を含んでいない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含んでいない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - UNRTDG クラス3に分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラット経口LD50値=25000mg/kg(環境省リスク評価第1巻(2002))、28700mg/kg(EHC 122(1993)、DFGOT vol.14(2000)、PATTY(4th, 1994)、ATSDR(1999))、32400mg/kg(EHC 122(1993)、DFGOT vol.14(2000)、ATSDR(1999))および15800mg/kg(EHC 122(1993)、DFGOT vol.14(2000)、ATSDR(1999))に基づき計算値を適用して区分した。LD50値計算値=19634mg/kg
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - PATTY(4th, 1994)に5mL/kg(換算値3297mg/kg)でウサギに死亡がみられたとの記述があるがLD50値の情報はなく、データ不足のため分類できなかった。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分外 - - - - 蒸気圧から蒸気と判断し、ラット吸入LC50(1時間)値=77000ppm(4時間換算値:38500ppm[135.46mg/L])(EHC 122(1993)、DFGOT vol.14(2000))、LC50(4時間)値=74000ppm(換算値:260.36mg/L)(EHC 122(1993)、DFGOT vol.14(2000))および48000ppm[換算値:168.88mg/L](環境省リスク評価第1巻(2002))に基づき計算を適用したが、計算値がこれらのデータの最低値よりも小さいため最低値(38500ppm[135.46mg/L])を採用し、この値に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
環境省リスク評価第1巻(2002)、EHC 122(1993)、DFGOT vol.14(2000)、PATTY(4th, 1994)およびATSDR(1999)のヒト暴露例で皮膚刺激性がみられたとの記述から、区分2とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
環境省リスク評価第1巻(2002)のヒト暴露例で眼への刺激性が認められるとの記述、およびDFGOT vol.14(2000)のウサギで軽度な刺激性が認められたとの記述から、区分2A-2Bとした。刺激の程度および回復性は不明であり細区分はできなかった。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - EHC 122(1993)およびDFGOT vol.4(1992)にヒト25例を対象としたMaximization testで感作性が認められなかったとする記述はあるが、本報告のみでは感作性がないことの確かな証拠とするには不充分であると判断し、分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - げっ歯類を用いる優性致死試験で陰性の結果(EHC 122(1993)、DFGOT vol.4(1992)、ATSDR(1999))、ほ乳類赤血球を用いる小核試験で陰性の結果(ATSDR(1999))、ほ乳類骨髄細胞を用いる染色体異常試験で陰性(DFGOT vol.4(1992))であり、区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - 技術上の指針に示された機関において評価されていないため分類できない。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EHC 122(1993)、DFGOT vol.4(1992)、IRIS(Access on July 2005)およびATSDR(1999)にラットへの吸入暴露により精子形成阻害を伴う精巣の組織傷害が認められるとの記述があり、精巣に影響が認められる1000ppm暴露では、筋萎縮(DFGOT vol.4(1992))や体重減少(ATSDR(1999))も示されていることから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EHC 122(1993)、ACGIH(7th, 2001)、DFGOT vol.4(1992)およびPATTY(4th, 1994)のヒトで急性吸入毒性としてめまいや中枢神経系抑制などがみられるとの記述があるが、この影響は麻酔作用によると判断した。また、ACGIH(7th, 2001)およびPATTY(4th, 1994)のヒトで吸入暴露により気道刺激性がみられたとの記述、およびPATTY(4th, 1994)の麻酔作用があるとの記述から、区分3とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(中枢神経系、末梢神経系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(中枢神経系、末梢神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
環境省リスク評価第1巻(2002)、EHC 122(1993)、ACGIH(7th, 2001)、DFGOT vol.14(2000)、PATTY(4th, 1994)、IRIS(2005)、産衛学会勧告(1993)、ATSDR(1999)のヒト慢性暴露例で多発性神経障害(感覚神経および運動神経の障害)が認められるとの記述から、標的臓器は中枢神経系および末梢神経系と判断され、区分1とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分1 危険 H304: 飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
炭化水素であって、かつ40℃での動粘性率が20.5mm2/s以下であることから、区分1とした。DFGOT vol.4(1992)にはラットでAspirationにより化学性肺炎が認められたとの記述もある。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間LC50=3.88mg/L(EHC122、1991)から、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 急速分解性があり(BODによる分解度:100%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=3.9(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。


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参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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