GHS分類結果

名称:メチルイソブチルケトン
CAS番号:108-10-1

結果:
物質ID: 974
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS分類による液体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS分類による液体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS分類による液体。
6 引火性液体 区分2 危険 H225: 引火性の高い液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点<23℃、沸点>35℃ UNRTDG クラス3、PGIIに分類されている。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHS分類による液体。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性ならびに自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が460℃である。(ICSC(J)(1990))
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHS分類による液体。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - UNRTDG クラス3に分類されている。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に金属または半金属を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 分子内にフッ素または塩素を含んでいない。酸素を含むが、この酸素は炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHS分類による液体。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-結合を含んでいない。
16 金属腐食性物質 区分外 - - - - UNRTDG クラス3に分類されている。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分5 - 警告 H303: 飲み込むと有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ラットLD50値=2080mg/kg(CERIハザードデータ集(2000)、EHC 117(1990)、ACGIH(7th, 2001)、DFGOT vol.13(1999)、PATTY(4th 1994))、4600mg/kg(CERIハザードデータ集(2000)、EHC 117(1990)、DFGOT vol.13(1999))、4570mg/kg(EHC 117(1990))、4500mg/kg(ACGIH(7th, 2001))、4540mg/kg(PATTY(4th 1994))、3200mg/kg(PATTY(4th 1994))に基づき、計算を適用した。計算値は2919mg/kgであったことから、区分5とした。
1 急性毒性(経皮) 区分5 - 警告 H313: 皮膚に接触すると有害のおそれ P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 ウサギLD50値=3000mg/kg(CERIハザードデータ集(2000))に基づき、区分5とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS分類による液体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLC50(4時間)値=8.2mg/Lおよび16.4mg/L(CERIハザードデータ集(2000)、EHC 117(1990)、DFGOT vol.13(1999))に基づき、小さい方の値を採用した。また、蒸気圧からミストがほとんど混在していない蒸気と判断できることから、ppm濃度基準値で分類した。換算値は換算係数から2000ppmとなり、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - CERIハザードデータ集(2000)、EHC 117(1990)、DFGOT vol.13(1999)およびPATTY(4th 1994)には、ウサギおよびモルモットを用いた試験で、OECDガイドラインより過酷な試験条件下で軽度またはごく軽度の刺激性が認められたとの記述があるが、PATTY(4th 1994)の23研究所合同でのウサギを用いた比較試験でOECDガイドラインより過酷な試験条件(6倍の適用時間、閉塞適用)下でも概ね刺激性はないと評価されていることから区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分外 - - - - CERIハザードデータ集(2000)、EHC 117(1990)、ACGIH(7th, 2001)、PATTY(4th 1994)にヒトでの蒸気暴露例で刺激性がみられたとの記述があるが、液滴が入った場合についての症例報告はない。一方、ECETOC TR 48(1992)に記載されているウサギを用いたDraize試験では刺激性の判定基準に適合する眼の変化は認められておらず、みられた変化も7日以内に回復していること、およびPATTY(4th 1994)の24研究所合同でのウサギを用いた統一標準試験法による施設間比較試験では、75%の18施設で刺激性はないと評価されていることから区分外とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - DFGOT vol.13(1999)のモルモットを用いたMagnusson-Kligman maximization test(OECD guideline 406に従った試験)で感作性は認められなかったとの記述から、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞を用いるin vivo変異原性試験であるほ乳類赤血球を用いる小核試験で陰性の結果(CERIハザードデータ集(2000)、EHC 117(1990)、IRIS(2003))があることから、区分外とした。
6 発がん性 区分外 - - - - EPA(2005)でI(inadequate for an assessment of human carcinogenic potential)に分類されていることから、区分外とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - DFGOT vol.13(1999)の2世代繁殖試験で繁殖性および次世代の発達に影響が認められたなかったとの記述、およびCERIハザードデータ集(2000)、EHC 117(1990)、ACGIH(7th, 2001)、DFGOT vol.13(1999)、PATTY(4th 1994)およびIRIS(2003)のいずれにおいても、妊娠ラットおよびマウスを用いた吸入毒性試験の母獣毒性の認められる用量で胎児に体重減少や骨化遅延がみられたが、催奇形性は認められなかったと記述されていること、ならびにヒト暴露例での生殖毒性報告がないことから、区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性、麻酔作用) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(気道刺激性、麻酔作用)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERIハザードデータ集(2000)、EHC 117(1990)、ACGIH(7th, 2001)、DFGOT vol.13(1999)、PATTY(4th 1994)、IRIS(2003)のヒト暴露例で気道・粘膜刺激性および頭痛・めまい・吐き気などの麻酔作用に伴う中枢神経症状が認められているとの記述、ならびにEHC 117(1990)、PATTY(4th 1994)、DFGOT vol.13(1999)およびIRIS(2003)の動物実験で麻酔作用が認められたとの記述から、気道刺激性と麻酔作用があると考えられ、区分3とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(全身毒性) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(全身毒性) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
産衛学会勧告(1993)p237、EHC 117(1990)、DFGOT vol.13(1999)、CERIハザードデータ集(2000)のヒトでの反復暴露では脱力感、頭痛、眼の灼熱感、胃痛、悪心嘔吐、咽頭痛などの標的臓器を特定できない種ーの症状が認められたとの記述から全身毒性があると判断し、区分1とした。
10 吸引性呼吸器有害性 区分2 警告 H305: 飲み込んで気道に侵入すると有害のおそれ P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P331: 無理に吐かせないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
3以上13を超えない炭素原子で構成された一級のノルマルアルコール;13を越えない炭素原子で構成されたイソブチルアルコールおよびケトンに相当することから、区分2とした。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50=170mg/L(CERIハザードデータ集、2000)から、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度=19000mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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