GHS分類結果

名称:硫化水素
CAS番号:7783-06-4

結果:
物質ID: 998
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 区分1 危険 H220: 極めて可燃性又は引火性の高いガス P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P377: 漏洩ガス火災の場合:漏洩が安全に停止されない限り消火しないこと。
P381: 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
P403: 換気の良い場所で保管すること。
空気との混合物が13%以下で引火性がある。 UNRTDG クラス2.3 副次危険2.1に分類されている。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 区分外 - - - - UNRTDG クラス2.3 副次危険2.1に分類されている。
5 高圧ガス 液化ガス 警告 H280: 高圧ガス:熱すると爆発のおそれ P410+P403: 日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。 -50℃を超える温度で部分的に液体である。(臨界温度が-50℃超)
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
11 自己発熱性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - GHSの定義におけるガスである。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 各種金属への腐食性に関する情報があるが(HSDB(2006))、気体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類対象外 - - - - GHS定義によるガスである。
1 急性毒性(経皮) 分類対象外 - - - - GHS定義によるガスである。
1 急性毒性(吸入:ガス) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットでのLC50(4時間):444ppm(産衛学会勧告(2001)、ACGIH(2001))および700mg/m3(換算値:503ppm)(CICAD(2003))より小さい方の値444ppmに基づき、区分2とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類対象外 - - - - GHS定義によるガスである。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類対象外 - - - - GHS定義によるガスである。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ヒトの眼に高濃度の硫化水素ガスを直接接触させることにより、角結膜炎、角膜の点状びらん、催涙、羞明などの刺激症状が認められるとの記述(CICAD, 2003)、および気中濃度16-32 mg/m3(10.5-21.0 ppm)の硫化水素ガスに暴露後数時間に眼に対する刺激性が認められたとの記述(EHC, 1981)から、眼に対して強度の刺激性があると判断し、区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - In vitroの細菌を用いる復帰突然変異試験で、1菌株に弱い陽性データがあるが、その他の指標に関するデータはないため、分類できない。
6 発がん性 区分外 - - - - EPAの分類ではI(発がん性評価に適切なデータはない。)と評価していることから、区分外とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットの器官形成期・周産期吸入暴露試験では分娩時間の延長が認められたが、胎児への影響はなかったこと(CICAD, 2003)、また、ラットの交配前、妊娠及び授乳期吸入暴露試験では、親動物の雄の精巣に精細管の変性が認められたが、繁殖能に影響しなかったこと(CICAD, 2003)から、いずれも最小限な影響であると判断された。また、ヒトでの職業的暴露により自然流産の増加が認められたが、二酸化硫黄、二硫化炭素などにも暴露しており、通年にわたって4ug/m3を上回る硫化水素に暴露した集団の自然流産の増加は充分に有意でないこと(CICAD, 2003)から、生殖毒性について分類するにはデータが不充分であり、分類できないとした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系、心臓血管系、呼吸器系) 危険 H370: 臓器の障害(中枢神経系、心臓血管系、呼吸器系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトでの単回吸入暴露により、吐き気、頭痛、譫妄、平衡感覚障害、記憶力低下、神経行動変化、嗅覚麻痺、意識消失、振戦、痙攣などの症状および不整脈、血圧上昇が認められるとの記述(CICAD, 2003)、意識消失および呼吸麻痺により死亡するとの記述(IRIS, 2006)があり、ラットでの単回吸入暴露により、区分1のガイダンス値範囲の用量で条件回避反応の低下、気道粘膜の組織傷害が認められたとの記述、マウスでの単回吸入暴露により鼻粘膜に軽度の刺激性が認められたとの記述(CICAD, 2003)から、区分1(中枢神経系、心臓血管系、呼吸器系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類対象外 - - - - GHS定義によるガスである。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=0.0071mg/L(ECETOC TR91、2003)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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