GHS分類結果

名称:ジニトロフェノール
CAS番号:25550-58-7

結果:
物質ID: 1048
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 等級1.1 危険 H201: 爆発物:大量爆発危険性 P370+P380: 火災の場合:区域から退避させること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P230: ...にて湿らせておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P250: 粉砕/衝撃/.../摩擦のような取扱いをしないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P372: 火災の場合に爆発する危険性あり。
P374: 適当な距離から注意して消火すること。
P401: ...に保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質固有の国連番号(0076)によりUNRTDGが1.1D(6.1)に分類されており、等級1.1とした。 【注】本物質の国連番号としては0076、1320、1599が該当するが(含水量の差による)、物理化学的危険性の各項目の分類は乾燥品に最も近い国連番号0076に従って行った。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 可燃性であるが(Sax, 11th, 2004)、本物質固有の国連番号(0076)によりUNRTDGが1.1D(6.1)に分類されており、可燃性固体を示す4.1が付されていないため、区分外とした。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 火薬類に分類されている。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 本物質固有の国連番号(0076)によりUNRTDGが1.1D(6.1)に分類されており、自然発火性を示す4.2が付されていないため、区分外とした。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 本物質固有の国連番号(0076)によりUNRTDGが1.1D(6.1)に分類されており、自己発熱性を示す4.2が付されていないため、区分外とした。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
14 酸化性固体 区分外 - - - - 本物質固有の国連番号(0076)によりUNRTDGが1.1D(6.1)に分類されており、酸化性を示す5.1が付されていないため、区分外とした。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2 危険 H300: 飲み込むと生命に危険 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトの経口致死用量として3〜46mg/kg(ATSDR, 1995)、1〜3g(体重60kgと想定して17〜50mg/kg)(HSDB, 2003)との記載があることから、区分2とした。なお、動物のLD50値のデータは見つからなかったが、ラットのLDLo=30mg/kg(RTECS, 2006)との知見がある。 【注】ジニトロフェノールには異性体が6個あるが、本IDの健康に対する有害性についてはCAS No.25550-58-7(異性体混合物)として調査および分類を実施した。2,4-ジニトロフェノール(ID No.0419、CAS No.51-28-5)の分類結果も参照のこと。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。なお、HSDB(2003)には粉塵の吸入毒性が高いとの記載があり、ATSDR(1995)には40mg/m3におけるヒトの死亡報告がある(慢性暴露の可能性がある)。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - HSFS(2003)にヒトの皮膚を刺激するとの記載があるが、裏付けとなるデータが見つからず、データ不足のため分類できない。なお、2,4-ジニトロフェノール(ID No.0419、CAS No.51-28-5)のGHS分類は区分2とされている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - HSFS(2003)にヒトの眼を刺激するとの記載があるが、裏付けとなるデータが見つからず、データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - PATTY(5th, 2001)、HSDB(2003)、HSFS(2003)にヒトの皮膚感作性を示唆する記載があるが、データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - 異性体混合物としてのデータが見つからず、分類できない。なお、ATSDR(1995)に2,4-ジニトロフェノールの体細胞in vivo変異原性試験(マウス骨髄細胞の染色体異常試験)で陽性報告、2,3-;2,5-; 3,4-ジニトロフェノールのAmes試験で陽性報告がある。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 分類できない - - - - SITTIG(4th, 2002)にヒトの胎児への影響を示唆する記載があるが、データ不足のため分類できない。なお、2,4-ジニトロフェノールについてはATSDR(1995)にラットで死産の発生率が増加したとの報告がある。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(全身毒性、神経系、血液系、眼)、区分2(腎臓、肝臓)、区分3(気道刺激性) 危険
警告
H370: 臓器の障害(全身毒性、神経系、血液系、眼)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
H371: 臓器の障害のおそれ(腎臓、肝臓)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 1文書のATSDR(1995)にヒトにおける全身毒性(細胞レベルでの代謝亢進による酸素消費増加、呼吸・脈拍の増加、体温上昇など)、神経系、血液系(白血球の減少)、眼(白内障)への影響の記載があり(それぞれPATTY(5th, 2001)、HSDB(2003)、HSFS(2003)にも同様の記載がある)、区分1(全身毒性、神経系、血液系、眼)とした。また、Priority 2文書のHSDB(2003)およびHSFS(2003)にヒトにおける腎臓、肝臓への影響および気道刺激性の記載があり、区分2(腎臓、肝臓)、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(全身毒性、神経系、血液系、眼、腎臓、肝臓) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(全身毒性、神経系、血液系、眼、腎臓、肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 1文書のATSDR(1995)にヒトにおける全身毒性(細胞レベルでの代謝亢進による酸素消費増加、呼吸・脈拍の増加、体温上昇など)、神経系、血液系(白血球の減少)、眼(白内障)への影響、PATTY(5th, 2001)にヒトにおける4個の異性体(2,3-; 2,5-; 3,4-; 3,5-ジニトロフェノール)の腎臓および肝臓への影響の記載があり、区分1(全身毒性、神経系、血液系、眼、腎臓、肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

厚生労働省モデルSDS

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