GHS分類結果

名称:亜ヒ酸ナトリウム
CAS番号:7784-46-5

結果:
物質ID: 1088
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(BGIA, GESTIS-database on hazardous substances(Accessed in 2006))。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(BGIA, GESTIS-database on hazardous substances(Accessed in 2006))。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(BGIA, GESTIS-database on hazardous substances(Accessed in 2006))。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定。(文献に「水によく溶ける」との記載がある。)
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
14 酸化性固体 区分外 - - - - 物質固有の国連番号(2027)によりUNRTDGが6.1、IIに分類されており、5.1が付されていないため、区分外とした。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分2 危険 H300: 飲み込むと生命に危険 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値42mg/kg(EHC 224, 2001)に基づき、区分2とした。
1 急性毒性(経皮) 区分2 危険 H310: 皮膚に接触すると生命に危険 P302+P350: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で優しく洗うこと。
P262: 眼、皮膚、衣類につけないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットLD50値150mg/kg(RTECS, 2004)に基づき、区分2とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
Priority 2相当のChemical Safety Data Sheets Vol.4a/The Royal Society of Chemistry(1991)の記述”皮膚に刺激性を示す”から区分2とした。また、SITTIG(47th, 2002)には”皮膚、眼、粘膜に刺激性を示す可能性がある”との記述がある。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
Priority 2のSITTIG(4th, 2002)およびPriority 2相当のChemical Safety Data Sheets Vol.4a/The Royal Society of Chemistry(1991)のヒトにおける類似記述”皮膚、眼、粘膜に刺激性を示す(可能性がある)”ことから、区分2とした。区分2Aあるいは区分2Bの細区分は困難である。 【表示】細区分を行う必要がある場合には、安全性の観点から、2Aとするのが望ましい。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - Priority 1のEHC 224(2001)のヒトにおける記述”無機ヒ素の皮膚感作性の発現はまれである”ならびにモルモットのmaximization test で陰性であったことから、区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
EHC 224(2001)の記述から、in vivoマウス骨髄において小核/染色体異常を誘発する複数の知見があるが、マウス優性致死試験で陰性であることから、区分2とした。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARC Suppl. 7(1987)、ACGHI-TLV(2004)、MAK/BAT(2004)の既存分類のすべてがヒト発がん性物質(as arsenic and arsenic cmpds)に分類しているため、区分1Aとした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 1のEHC 224(2001)のヒトに関する記述”生殖への影響が示唆される”および動物での知見”母体毒性が認められる用量での胎児毒性および催奇形性”、ならびにPriority 1相当のCatalog of teratogenic agents(2004)のヒトにおける記述”無機ヒ素はヒトの催奇形性物質ではないとの結論を支持”から、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(消化器系、心血管系、神経系、血液系、腎臓)、区分3(気道刺激性) 警告
危険
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
H370: 臓器の障害(消化器系、心血管系、神経系、血液系、腎臓)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒ素および無機ヒ素化合物に対するEHC 224(2001)のヒトに関する記述”胃腸器官の症状、心血管系および神経系機能の障害、骨髄抑制、血液系の変化、腎症”およびPIM(Poisons Information Monographs)G042(WHO/IPCS, 1996)の同様の記述、ならびにPIM(Poisons Information Monographs)G042(WHO/IPCS, 1996)およびHSG(Health and Safety Guides)70(WHO/IPCS, 1992)の記述”気道刺激性” より、区分1(消化器系、心血管系、神経系、血液系、腎臓)および区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(消化器系、神経系、血液系、心血管系、腎臓、肝臓、皮膚) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(消化器系、神経系、血液系、心血管系、腎臓、肝臓、皮膚) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒ素および無機ヒ素化合物に関するEHC 224(2001)およびPIM(Poisons Information Monographs)G042(WHO/IPCS, 1996)のヒトにおける記述”無機ヒ素の長期経口摂取で、胃腸管障害、神経障害、血液系への影響、心血管系、腎臓、肝臓の異常が見られた。標的臓器は胃腸管、心臓、脳および腎臓である。皮膚、骨髄および末梢神経系も影響を受ける”から区分1(消化器系、神経系、血液系、心血管系、腎臓、肝臓、皮膚)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(セネデスムス)の96時間EC50=78.7μg/L(AQUIRE、2003)から、区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分1、金属化合物であり水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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