名称:塩酸アニリン
CAS番号:142-04-1
物質ID: | 1114 |
分類実施者: | GHS関係省庁連絡会議 |
分類実施年度: | 平成18年度 |
使用マニュアル: | GHS分類マニュアル(H18.2.10版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 可燃性であるが、物質固有の国連番号(1548)によりUNRTDGが6.1、IIIに分類されており、4.1が付されていないため、区分外とした。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 物質固有の国連番号(1548)によりUNRTDGが6.1、IIIに分類されており、4.2が付されていないため、区分外とした。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 物質固有の国連番号(1548)によりUNRTDGが6.1、IIIに分類されており、4.2が付されていないため、区分外とした。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体。 |
14 | 酸化性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 物質固有の国連番号(1548)によりUNRTDGが6.1、IIIに分類されており、5.1が付されていないため、区分外とした。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50=840 mg/kg(RTECS(2004))から区分4とした。 【注意】塩酸アニリンではなくアニリンの情報がある場合もあるので、以下の健康に対する有害性に関する項目については、アニリン(ID_No. 0007, CAS_No. 62-53-3)も参照のこと。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ヒトに対して刺激性があるとする記述(ICSC(J)(2001)、HSFS(2003))および、ウサギに対するStandard Draize Testの結果(Moderate, RTECS(2004))から区分2とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A-2B | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ヒトの眼に対して刺激性を示すとする記述、およびウサギを用いた塩酸アニリンのStandard Draize Testの結果(Moderate, RTECS(2004))から区分2A-2Bとした。なお、EUリスク警句ではR41(目の重度損傷)であり区分1に該当するが、これはアニリンへの評価を元に分類されたものであり、塩酸アニリンについての情報は限られているため分類根拠とはしなかった。 【表示】細区分を行う必要がある場合は、安全性の観点から2Aとした方が望ましい。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | 皮膚感作性を示唆する記述(反復または長期の接触により、皮膚が感作されることがある、ICSC(J)(2001))があるが、GHSの分類基準を満たすデータがなく、データ不足であるため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分2 | 警告 | H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットおよびマウス骨髄細胞を用いたin vivo染色体異常試験ではいずれも陰性(IARC 27(1982), EU-RAR(2004))であるが、ラットおよびマウス骨髄細胞を用いたin vivo小核試験では陽性の結果が認められる(EU-RAR(2004))。以上の結果から技術上の指針のフローに基づいて分類すると区分2と分類できる。さらに、アニリン(一部アニリン塩酸塩の結果も使用)に対するEU-RAR(2004)の評価ではCategory 3、リスク警句R68であり、これはGHS分類の区分2に相当することからも区分2が妥当であると判断した。 | |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
IARCでは、アニリンおよび塩酸アニリンとしてGHS区分外に相当するGroup 3に分類されている(IARC 27(1982); IARC Suppl. 7(1987))が、最近のEUの評価ではアニリンとしてGHS区分2に相当するcategory 3に分類されている(EU-RAR(2004))ことから、区分2とした。なお、NTPの発がん性試験(NTP TR130(1978))は塩酸アニリンで実施され、マウス陰性、ラット陽性の結果が得られており、IARC、EUともに評価に用いている。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | 妊娠雌ラットへの投与により、塩酸アニリンの母獣への血液毒性に由来する影響が胎仔に生じるとの報告(EU-RAR(2004), Catalog of Teratogenic Agents, 11th ed.(2004))があるが、受胎能に関するデータはなく、データ不足のため分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分2(血液)、区分3(気道刺激性) | 警告 |
H371: 臓器の障害のおそれ(血液) H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
Priority2(ICSC(J)(2001)、HSFS(2003))において、ヒトに対して「気道を刺激する、血液に影響を与えメトヘモグロビンを生成することがある」との記述があることから、区分2(血液)および区分3(気道刺激性)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(血液、脾臓、精巣) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液、脾臓、精巣) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
Priority2において、区分2に分類されるガイダンス値の範囲で、雄ラットの脾臓、精巣および血液に影響が見られる(RTECS(2004))ことに加え、ヒトの血液に影響を与えるとの記述がある(ICSC(J)(2001))ことから、区分2(血液、脾臓、精巣)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足のため分類できない。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |