GHS分類結果

名称:酒石酸アンチモニルカリウム
CAS番号:28300-74-5

結果:
物質ID: 1127
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 物質固有の国連番号(1551)によりUNRTDGが6.1、IIIに分類されており、4.1が付されていないため、区分外とした。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 物質固有の国連番号(1551)によりUNRTDGが6.1、IIIに分類されており、4.2が付されていないため、区分外とした。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 物質固有の国連番号(1551)によりUNRTDGが6.1、IIIに分類されており、4.2が付されていないため、区分外とした。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定。(水溶解度の数値が得られている。)
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
14 酸化性固体 区分外 - - - - 物質固有の国連番号(1551)によりUNRTDGが6.1、IIIに分類されており、5.1が付されていないため、区分外とした。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
RTECS(2004)のラットのLD50=115mg/kgから、区分3とした。 【注】酒石酸アンチモニルカリウムの無水物(CAS No.11071-15-1)の健康有害性のデータがほとんど見つからなかったため、三水和物(CAS No.28300-74-5)として調査および分類を実施した。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 HSFS(2004)およびSITTIG(4th, 2002)では皮膚刺激性があるとされおり、HSDB(2005)にも軟膏中の本物質が使用初期に軽度刺激性を示す(長期使用では発疹を生じる)との記載があることから、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - HSFS(2004)およびSITTIG(4th, 2002)では眼刺激性があるとされているが、裏付けとなるデータが見つからず、データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
体細胞in vivo変異原性試験に相当するラットでの染色体異常誘発(RTECS, 2004)、および本物質を投与された患者のリンパ球に染色体異常がみられたことから(HSDB, 2005)、区分2とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
産衛学会勧告(2005)でアンチモン化合物として2Bに分類されており、区分2とした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(呼吸器系) 危険 H370: 臓器の障害(呼吸器系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 1文書のACGIH-TLV(2005)ではアンチモン化合物として気道刺激性、肺への影響があるとしており、Priority 2文書のSITTIG(4th, 2002)にも気道刺激性、高濃度暴露における肺水腫の記載があることから、区分1(呼吸器系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(肺、心血管系)、区分2(肝臓) 警告
危険
H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(肺、心血管系)
H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓)
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 1文書のACGIH-TLV(2005)ではアンチモン化合物として肺および心血管系への影響があるとしており、Priority 2文書のHSDB(2005)、HSFS(2004)、SITTIG(4th, 2002)にもヒトの肺および心臓への影響の記載があることから、区分1(肺、心血管系)とした。また、Priority 2文書のHSFS(2004)、SITTIG(4th, 2002)にヒトの肝臓への影響の記載があり、区分2(肝臓)とした。(HSDB(2005)、RTECS(2004)のウサギおよびラットの試験でも肝臓への影響が認められ、毒性がみられた用量はガイダンス値との比較では区分2の範囲内であった。)
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分3 - - H402: 水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=12000μg/L(AQUIRE、2003)から、区分3とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分3 - - H412: 長期継続的影響によって水生生物に有害 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性が区分3、金属化合物であり水中での挙動および生物蓄積性が不明であるため、区分3とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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