GHS分類結果

名称:酢酸トリフェニルスズ
CAS番号:900-95-8

結果:
物質ID: 1270
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
7 可燃性固体 分類できない - - - - 可燃性であるが(PM(13th, 2003)に引火点が185±5℃との記載がある)、試験データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 用途が農薬であり、常温の空気と接触しても自然発火しない。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 融点140℃以下の固体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水に対して安定。(文献に「水に不溶」との記載がある。)
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
14 酸化性固体 分類できない - - - - データなし。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット経口LD50値140mg/kg, 298mg/kg(JMPR 827, 1991)のうち値の低い140mg/kgを採用し、区分3とした。
1 急性毒性(経皮) 区分3 危険 H311: 皮膚に接触すると有毒 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット経皮LD50値450mg/kg(PIM(Poisons Information Monograph)589, 1994; RTECS, 2004; HSDB, 2003)より、区分3とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分1 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット吸入LC50値(雄:0.044mg/L/4H, 雌:0.069mg/L/4H)より(JMPR 827, 1991)、値の小さい雄のデータ(雄:0.044mg/L/4H)を採用し、区分1とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギの皮膚に対し刺激性を示さない(CICAD 13, 1999; JMPR 827, 1991)ことから、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ウサギの眼に対し強い傷害を示し回復しなかった(CICAD 13, 1999; JMPR 827, 1991)ことから、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモット皮膚感作性試験(Buehler法)において陽性としている(CICAD 13, 1999)ことから、区分1とした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - ラットおよびマウス優性致死試験での陰性(JMPR 827, 1991;PIM(Poisons Information Monograph)589, 1994)、ならびにCICAD 13(1999)において一連のトリフェニルスズ化合物の評価の結果「トリフェニルスズは遺伝毒性を示さない」と結論していることから、区分外とした。なお、Ames試験では陰性とされている(JMPR 827, 1991)。また、最近、in vivoマウス末梢血小核試験およびin vitro小核試験における陽性が報告(RTECS、2004)されているが、いずれも反応の程度は弱いことから、ヒトに対するハザードの重みは高くないものと判断した。
6 発がん性 区分外 - - - - マウスを用いた発がん性試験において発がん性は認められず(PIM(Poisons Information Monograph)589、1994)、また、トリフェニルスズ化合物に発がん性はないとしていること(CICAD 13, 1999)、加えて、ACGIHにおいて有機スズ化合物はA4(ヒト発がん物質とは分類されない)とされていること(ACGIH-TLV, 2005)から、区分外とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットあるいはウサギにおいて、母体毒性を示す用量で、生殖あるいは発生に対する影響(胚吸収増加、着床数および生存胎児数の減少、水尿管症、臍帯ヘルニア など)がみられている(JMPR 827, 1991; PIM(Poisons Information Monograph)589, 1994)こと、トリフェニルスズ化合物は実験動物において生殖および発生への影響が見られるとしている(CICAD 13, 1999)ことから、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性) 警告
危険
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
H370: 臓器の障害(中枢神経系)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトにおいて頭痛、吐き気など中枢神経系に対する影響がみられている(CICAD 13, 1999)こと、また、本物質自身のデータはないが、有機スズ化合物として気道刺激性(ATSDR, 2005; ACGIH 7th, 2001)の可能性が記載されていることから、区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(免疫系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(免疫系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
モルモットにおいて、破傷風トキソイドに対する免疫反応の抑制が、区分1のガイダンス濃度範囲でみられ(CICAD 13, 1999)、また、トリフェニルスズ化合物は免疫系に影響を及ぼし、機能を損なう可能性がある(CICAD 13, 1999)としていることから、区分1(免疫系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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