GHS分類結果

名称:トリブチルスズフルオリド
CAS番号:1983-10-4

結果:
物質ID: 1277
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - トリブチルスズの一種であり、トリブチルスズ類はかつては船体や漁具の防汚剤として使われたことから、常温の空気と接触しても自然発火しないと考えられ、区分外とした。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - トリブチルスズの一種であり、トリブチルスズ類はかつては船体や漁具の防汚剤として使われたことから、水に対して安定と考えられ、区分外とした。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
14 酸化性固体 分類できない - - - - データなし。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウス最小致死量が320 mg/kg(RTECS, 2004)であることから、LD50は区分4の範囲(300-2000 mg/kg)にあると推察され、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット吸入LC50値0.4ppm/4H(=0.00504 mg/L)(ACGIH 7th, 2001)より、区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分3 - 警告 H316: 軽度の皮膚刺激 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 本物質は軽度(minimal)の皮膚刺激性を示す(ATSDR, 2005)との記載、また、トリブチルスズ化合物あるいは有機スズ化合物は皮膚刺激性を示すとの知見(DFGOT 1, 1991; PATTY 5th, 2001; ATSDR, 2005)から、区分3とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A-2B 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
本物質は、ウサギ眼に強い刺激性を示すこと(ATSDR, 2005)、また、有機スズ化合物は眼刺激性を示すとの知見(ACGIH 7th, 2001; PATTY 5th, 2001; ATSDR, 2005)から、区分2A-2Bとした。なお、細区分は困難である。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitro染色体異常試験での陰性知見はあるものの(ATSDR, 2005)、in vivoデータがなく、データ不足で分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - 本物質については、経皮暴露による不完全な試験での陰性知見が得られており(ATSDR, 2005)、また、有機スズ化合物はACGIHにおいてA4(ヒト発がん性物質に分類できない)に分類されているものの、一方で、ある種の有機スズ化合物は動物にがんを誘発するとの知見もあり(ATSDR, 2005)、データ不足で分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - 有機スズ化合物は動物の生殖器官に影響を与える可能性との記載(ATSDR, 2005)、あるいはDFGにおいてトリブチルスズ化合物は区分C(MAK/BAT値以内であれば、ヒトの胚・胎児に与えない物質)に分類(MAK/BAT,2005)されているものの、本物質自身のデータがなく、データ不足で分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性) 危険
警告
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性)
H370: 臓器の障害(中枢神経系)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質自身のデータはないが、有機スズ化合物としてヒトの中枢神経系(ATSDR, 2005; ACGIH 7th, 2001; PATTY 5th, 2001)への影響ならびに気道刺激性(ATSDR, 2005; ACGIH 7th, 2001)の可能性が記載されていることから、区分1(中枢神経系)、区分3(気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(免疫系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(免疫系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質自身のデータはないが、有機スズ化合物としてヒトの免疫系への影響が示唆されている(ATSDR, 2005; ACGIH 7th, 2001; PATTY 5th, 2001)ことから、区分1(免疫系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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