GHS分類結果

名称:発煙硫酸
CAS番号:8014-95-7

結果:
物質ID: 1323
分類実施者: GHS関係省庁連絡会議
分類実施年度: 平成18年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。 【注】本物質は三酸化硫黄の含有量によって性状が変化し、液体の場合が多いものの、三酸化硫黄の含有量によっては常温でも固化することがあるため、本物質の性状は液体または固体とした。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体または固体。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体または固体。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体または固体。
6 引火性液体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 2002)。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 2002)。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団、あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 2002)。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 2002)。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC(J), 2002)。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。なお、水や湿気と激しく反応し熱と硫酸を生成するが、硫酸は不燃性である。
13 酸化性液体 区分外 - - - - 本物質固有の国連番号(1831)によりUNRTDGが8(6.1)、Iに分類されており、酸化性を示す5.1が付されていないため、区分外とした。なお、ICSC(J)(2005)には「強力な酸化剤」との記載がある。
14 酸化性固体 区分外 - - - - 本物質固有の国連番号(1831)によりUNRTDGが8(6.1)、Iに分類されており、酸化性を示す5.1が付されていないため、区分外とした。なお、ICSC(J)(2005)には「強力な酸化剤」との記載がある。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 本物質固有の国連番号(1831)によりUNRTDGが8(6.1)、Iに分類されているが、皮膚腐食性との識別ができず、金属腐食性につながる情報も見つからなかったため、分類できない。なお、ICSC(J)(2005)には本物質の水溶液は金属腐食性を示すとの記載がある。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体または固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット吸入LC50 = 347ppm/1H(= 86.7ppm/4H = 0.63 mg/L/4H、分子量を178.14として、ミストと推察)(RTECS(1995))より、区分3とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分1A-1C 危険 H314: 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 P301+P330+P331: 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトの皮膚に対して腐食性を示すとの記述がある(ICSC(J)(2002))こと、ならびに本物質を顔に吹き付けられた労働者が皮膚熱傷を生じた事例がある(HSDB(2003))ことから、区分1A-1Cとした。なお、本情報からの細区分は困難である。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ヒトの眼に対して腐食性を示すとの記述がある(ICSC(J)(2002))こと、ならびに皮膚腐食/刺激性で区分1に分類されていることから、区分1とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - データなし。
6 発がん性 区分1A 危険 H350: 発がんのおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質のような硫酸を含む無機強酸ミストとして、IARCの分類が1(IARC 54(1992))、NTPの分類がK(NTP Roc(11th, 2005))、ACGIHの分類がA2(ACGIH(7th, 2004))であることから、分類の指針に従い最新の評価文書に基づき区分1Aとした。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データなし。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(吸入:呼吸器系、経口:消化器) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(吸入:呼吸器系、経口:消化器) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 2の文書中、本物質の吸入により肺に肺水腫等の重篤な影響が出るとの記述(ICSC(J)(2002), HSDB(2003))、気道に対して腐食性を示すとの記述(ICSC(J)(2002))、また、経口摂取により食道粘膜の腐食、胃出血等を生じるとの記述(ICSC(J)(2002), HSDB(2003))があることから、区分2(吸入:呼吸器系、経口:消化器)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肺、歯) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肺、歯) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Priority 2の文書中、本物質の反復または長期のエーロゾルへの暴露によりヒトの肺ならびに歯が冒されることがあるとの記述(ICSC(J)(2002))から、区分2(肺、歯)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データがなく分類できない。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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