GHS分類結果

名称:1,3-diphenylguanidine
CAS番号:102-06-7

結果:
物質ID: 9
分類実施者: 経済産業省
分類実施年度: 平成19年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 - - - - - -
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) - - - - - -
3 エアゾール - - - - - -
4 支燃性/酸化性ガス - - - - - -
5 高圧ガス - - - - - -
6 引火性液体 - - - - - -
7 可燃性固体 - - - - - -
8 自己反応性化学品 - - - - - -
9 自然発火性液体 - - - - - -
10 自然発火性固体 - - - - - -
11 自己発熱性化学品 - - - - - -
12 水反応可燃性化学品 - - - - - -
13 酸化性液体 - - - - - -
14 酸化性固体 - - - - - -
15 有機過酸化物 - - - - - -
16 金属腐食性物質 - - - - - -

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50値107 mg/kg(厚労省報告(Access on Mar. 2008))から区分3とした。EU-Annex IはR22であり、区分3〜4に相当する。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データ不足のため分類できない。ウサギを用いたGLP準拠による経皮投与試験において、投与量が 2,000 mg/kg でも死亡は認められない(IUCLID(2000))。従って、区分4までには該当しないが、区分5の適否が判断できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義の固体であるため、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ヒトで皮膚刺激性なし(HSDB(2005))、また、ウサギを用いる24時間閉塞Draizeテストにおいて、Primary irritation index:0(最大8.0)であり、刺激性は観察されない(IUCLID(2000)、SIDS-DRAFT(2002))ことから区分外とした。ウサギのデータは制限付き信頼性(reliable with restriction)と記載(SIDS-DRAFT(2002))されている。EU-Annex IはR38であり、区分2に相当する。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ヒトで眼刺激性有(HSDB(2005))、軽度(mildly)の眼刺激性有(ICSC(2000))、ウサギを用いる試験のPrimary irritation index:20-48(最大110)及びウサギを用いるDraizeテストで刺激性有(48時間で回復)(IUCLID(2000))との記述から区分2Bとした。EU-Annex IはR36であり、区分2に相当する。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 日本接触皮膚炎学会でリストアップされており(日本接触皮膚炎学会HP(2008))、IUCLID(2000)、HSDB(2005)に、ヒト貼付試験で2人(49人中)に陽性を示すデータ、ゴム接触皮膚炎患者で散発的に陽性が認められるデータが記載されている。なお、日本接触皮膚炎学会HP(2008)によれば、ヒト貼付試験で陽性反応例は認められているが、原因化学物質として確認された事例はまだ報告されていない。SIDS-DRAFT(2002)には、IUCLID(2000)、HSDB(2005)に記載のヒトデータ等が記載され、また、モルモットのOECDガイドラインによるmaximizationテストで陰性の結果(信頼性:valid without restriction)が記載されており、ヒトの陽性反応は本物質の直接反応ではなく交差反応と推論されると結論している。最近の文献(Contact Dermatitis, 54, 61-62, 2006)には、本物質を含む手術用手袋使用者においてヒト貼付試験で5人中4人が陽性となったが、被験者が少なく、結論は出せないと纏めている。以上のことから分類できないとした。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウス末梢血を用いる小核試験で明確な陽性反応が得られていない(雄:陰性、雌:判断不可)(NTP DB(Access on Jan. 2008))こと、in vitro試験の細菌を用いる復帰突然変異試験で弱陽性(NTP DB(Access on Jan. 2008))あるいは陰性(厚労省報告(Access on Mar. 2008))、培養細胞を用いる染色体異常試験で陰性(厚労省報告(Access on Mar. 2008))であることから、証拠の重みに基づき区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - マウスを用いた32週間経口投与試験において腫瘍は見られない(IUCLID(2000))が、試験期間が短く、また、IARC他の既存分類はないため、分類できないとした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
妊娠ラットを用いた強制経口投与(妊娠6〜15日)による生殖毒性試験において、母体毒性(体重減少、体重増加抑制)が見られる用量で、胎児毒性(胎児体重減少、着床後胚損失数の増加)が見られること(SIDS-DRAFT(2002)、IUCLID(2000)、HSDB(2005))から区分2とした。EU-Annex IはCat. 3; R62であり、GHS区分2に相当する。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ラットを用いる経口投与試験において、肝臓の暗色化が記載(SIDS-DRAFT(2002))されているが、GHS国連文書 3.8.2.1.8に記載の(a)(それだけでは「重大な」毒性を示すものではない臨床所見)に該当し、GHS分類を支持しない影響と考えられる。従って、データ不足のため分類できないとした。なお、SIDS-DRAFT(2002)に記載のラットのデータは制限付き信頼性(reliable with restriction)とされている。EU-Annex IはXi; R36/37/38であり、気道刺激性に相当する。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットを用いる90日間反復経口投与試験において、32 mg/kg/dayの投与量で体重増加抑制、飼料消費の減少がみられ、また、マウスを用いる90日間反復経口投与試験において、114 mg/kg/dayの投与量で体重増加抑制がみられるが、臓器、血液学・臨床症状、尿検査等への影響はみられない(SIDS-DRAFT(2002))。体重増加抑制と飼料摂取量の減少はGHS国連文書 3.9.2.8 に記載の(a)(それだけでは「重大な」毒性を示すものではない体重増加量、摂餌量のわずかな変化)に該当し、GHS分類を支持しない影響と考えられる。よってデータ不足から分類できないとした。なお、上記のラット、マウスのデータは制限なく信頼性有(valid without restriction)と記載(SIDS-DRAFT(2002))されている。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) - - - - - -
11 水生環境有害性(長期間) - - - - - -


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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