GHS分類結果

名称:チタン(粉末)
CAS番号:7440-32-6

結果:
物質ID: 07-D27
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成19年度
使用マニュアル: GHS分類マニュアル(H18.2.10版)
技術上の指針(H17.12.6版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
7 可燃性固体 区分1 危険 H228: 可燃性固体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
機械的に製造された粒径53ミクロン未満の粉末又は化学的に製造された粒径840ミクロン未満の粉末は、水で湿性としたものであってもUN1352 クラス4.1IIであり、区分1となる。乾性のものはより燃焼性がよいので、すべて区分1とした。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性および自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
10 自然発火性固体 区分1または区分外 危険 H250: 空気に触れると自然発火 P335+P334: 固着していない粒子を皮膚から払いのけ、冷たい水に浸すこと/湿った包帯で覆うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P222: 空気に接触させないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P422: 内容物を...中で保管すること。
乾燥した粉末は試験の結果で、UN2546 クラス4.2 I、II、IIIに分けられる。 等級Iのものは区分1。等級II、IIIのものは区分外。 (水で湿性としたものUN1352は区分外)
11 自己発熱性化学品 区分1または区分2 危険 H251: 自己発熱:火災のおそれ P235+P410: 涼しいところに置き、日光を避けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P407: 積荷/パレット間に隙間をあけること。
P413: ...kg以上の大量品は、...℃以下の温度で保管すること。
P420: 他の物質から離して保管すること。
乾燥した粉末は試験の結果で、UN2546 クラス4.2 I、II、IIIに分けられる。 等級I、IIのものは区分1。等級IIIのものは区分2 (水で湿性としたものUN1352は区分外)
12 水反応可燃性化学品 区分外 - - - - 水で湿性化できるので、水に対して安定であると判断し、区分外とした。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、ハロゲンを含まない無機物質である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 無機物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - 本物質に関するデータはなく分類できない。 なお、二酸化チタンの国の分類では、ラットでのLD50:>10000mg/kg(IUCLID, 2000)に基づき区分外に分類されている。 また、EHC24(1982)に、ラットでのチタン酸カルシウムなどのチタン化合物(トウモロコシ油に懸濁)の経口投与LD50は12g/kgを上回った、との記述がある。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - 本物質に関するデータはなく分類できない。 なお、二酸化チタンの国の分類では、ウサギでの概算のLD50:>10000mg/kg(IUCLID, 2000)に基づき区分外に分類されている。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - 本物質に関するデータはなく分類できない。 なお、二酸化チタンの国の分類では、ラットでのLC:>6.82mg/L(ダスト、4時間)(IUCLID, 2000)に基づき区分外に分類されている。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - 本物質に関するデータはなく分類できない。 なお、二酸化チタンの国の分類では、ウサギでは皮膚刺激性はほとんど認められない(IUCLID, 2000)ことから、区分外に分類されている。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - 本物質に関するデータはなく分類できない。 なお、二酸化チタンの国の分類では、ウサギでは軽度の眼刺激性が認められた(IUCLID, 2000)ことから、区分2Bに分類されている。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - 本物質に関するデータはなく分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 本物質に関するデータはなく分類できない。なお、二酸化チタンの国の分類では、ヒトでのパッチテストで陰性であるとの記述(IUCLID, 2000)に基づき、区分外に分類されている。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - HSDB(2003)に、純チタンおよび2種のチタン合金の生体適合性を評価するため、モルモットの背部皮下に12週間埋め込み、牛血清またはリンゲル液を8週間浸した試験では表面に明らかな変化はなかった。検体を浸漬した液を用いた遺伝子突然変異試験(ネズミチフス菌TA98、同TA100、大腸菌WP2uvrA)および不定期DNA合成試験ではいずれも陰性であり、これらの試験では変異原性は陰性であるとの記述はあるが、他に適切な試験データはなく、分類できない。 なお、二酸化チタンの国の分類では、マウス小核試験で陰性、及びマウス染色体異常試験で陰性の記載がある(NTP DB, 2005)ことから、区分外に分類されている。
6 発がん性 分類できない - - - - チタンの発がん性については、いずれの評価機関においても評価されていないため、分類できない。 なお、二酸化チタンはIARCでグループ3、ACGIHでA4に分類しており、いずれもヒトに対する発がん性について分類できないと評価しており(IARC V47, 1989, ACGIH-TLV, 2005)、国の分類では区分外に分類されている。 チタン粉末(at least 200mesh)を雌雄各25匹のラットに1回6mgをトリオクタノインに懸濁して毎月1回6か月間筋肉内投与した試験で、2例に線維肉腫、3例(雄のみ)にリンパ肉腫が認められたと報告されている。(EHC 24, 1982) 生理食塩水にチタン酸鉛を懸濁した液をモルモットの気管内に3か月に1回の頻度で6回投与した試験、マウスの生涯に亘ってチタノシュウ酸カリウム水溶液を5mgTi/Lの濃度で飲水投与した試験ではいずれも発がん性はなかった。(EHC 24, 1982) 一方、チタノセンをトリオクタノインに懸濁して1か月に1回の頻度で合計200mg筋肉内投与した試験では、投与局所筋肉に線維肉腫が認められたほか、肝細胞癌、脾臓に悪性リンパ腫が認められた。二酸化チタンでは50匹中の3匹のみに線維肉腫が3箇所認められた。(EHC 24, 1982) 以上のデータから、概してチタンは、発がん性の可能性の低いグループに属する金属であるとみなされている。(EHC 24, 1982)
7 生殖毒性 分類できない - - - - 本物質に関するデータはなく分類できない。 なお、EHC24(1982)にチタノシュウ酸カリウム水溶液(5mgTi/L)を飲水投与した三世代繁殖試験では、チタン投与群でF3世代の生存仔数の著しい減少、雄/雌比の低下が認められ、F1、F2、F3世代とも胎児の矮小化傾向が認められた、との記述がある。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - 本物質に関するデータはなく、分類できない。 なお、二酸化チタンの国の分類では、ヒュームは気道を刺激するとの記述(HSDB, 2005)に基づき、区分3(気道刺激性)に分類されている。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - 本物質に関するデータはなく、分類できない。 なお、二酸化チタンの国の分類では、20年以上職業暴露した作業者のごくわずかであるが、肺機能に変化を伴わないがX線検査でじん肺症変化が明らかになったとの記述(DFGOT vol.2, 1991)に基づき、区分1(肺、吸入)に分類されている。 EHC24(1982)に、二酸化チタンの急性および亜急性投与試験では肺には有害性を示さないとの記述、および二酸化チタンをモルモット、ウサギ、ネコ、イヌに390日間混餌投与した試験では、有害作用はなかった、との記述がある。また、マウスの生涯に亘ってチタノシュウ酸カリウム水溶液を5mgTi/Lの濃度で飲水投与した試験では、影響はなかったとの記述がある。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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