名称:塩化パラフィン(炭素数が10から13までのもの及びその混合物に限る。)
CAS番号:85535-84-8
物質ID: | 1-072 |
分類実施者: | 経済産業省、環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | IUCLID(2000)による引火点は、Cl含量49%以上で、166℃(密閉式)以上であり区分外に該当する。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素および酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットを用いた経口投与試験において、投与量10,000 mg/kg(炭素数C10-13/塩素化率(41-50%、51-60%、又は61-70%))で死亡がなく、また、投与量13,600 mg/kg(炭素数C12/塩素化率60%)で死亡がないこと(EU-RAR(1999))から区分外とした。なお、EU-RAR(1999)に、症状およびその程度は、塩素化率には無関係であると記述されている。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値13,500 mg/kg(炭素数C12/塩素化率59%)(EU-RAR(1999))から区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義上の液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分外 | - | - | - | - | ラットを用いた吸入暴露試験において、「炭素数C12/塩素化率59%では1時間暴露量3.3 mg/Lで死亡がなく、炭素数C10-C13/塩素化率50%では1時間暴露量48 mg/Lで死亡がない」(EU-RAR(1999))と記述されている。25℃の飽和蒸気圧濃度は0.000037-0.00014 mg/L(炭素数C10-C13/塩素化率50%)であるので、ミスト基準を適用する。4時間換算LC50値はそれぞれ>0.83 mg/Lと>12 mg/Lとなると推定されるので、区分外とした。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギについて、紅斑・僅かな浮腫が見られるが7日目までに症状は消失した(炭素数C10-13/塩素化率70%)との情報がある(EU-RAR(1999))。本データにおいて、3匹中2匹の紅斑のスコア値は1(最大4)、3匹中2匹の浮腫のスコア値は1(最大4、適用24時間後まで)である。この他、ヒトについては、軽微な紅斑・乾燥肌が認められたが対照群と同程度の影響(炭素数C10-13/塩素化率50%, 63%)、または症状なし(炭素数C12/塩素化率59%)との情報があり、また、ウサギについては、刺激性がない(炭素数C10-13/塩素化率59%)との情報がある(EU-RAR(1999))。以上から区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギにおいて軽微な発赤(炭素数C12/塩素化率59%)、発赤・結膜浮腫を生じ24時間継続(炭素数C10-13/塩素化率63%、添加物或は安定剤を含む)、軽微な充血・結膜の発赤(炭素数C10-13/塩素化率40%, 52%、添加物或は安定剤を含む)等のデータからEU-RAR(1999)は、“mild”な刺激性と纏めているので区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。EU-RAR(1999)に、「ヒトや動物での情報はないが、工業的に重要な物質で幅広く使用されているにもかかわらず、呼吸器感作性を示す報告はないことから呼吸器感作性はない」と結論付けられている。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | ヒトの皮膚貼布でアレルギー反応なし(炭素数C12/塩素化率59%)、切削冷却剤製造労働者で陽性反応なし(炭素数、塩素化率不明)等の情報(EU-RAR(1999))からはヒトでの結論は出せない。一方、モルモットで皮膚反応なし(炭素数C10-13/塩素化率50%、安定剤を含む)、感作性なし(炭素数C10-13/塩素化率56%、安定剤を含む)等のデータからEU-RAR(1999)は、感作性の可能性はないと纏めているので区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | 生殖細胞in vivo経世代変異原性試験(ラットを用いた優性致死試験)で生存胚、死亡胚、初期吸収胚及び着床前胚損失数や位置に変化はなく(炭素数C10-12/塩素化率58%)、また、体細胞in vivo変異原性試験(ラット骨髄細胞を用いる染色体異常試験)で染色体異常の頻度増加はない(炭素数C10-12/塩素化率58%)(EU-RAR(1999))ことから区分外とした。in vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性(炭素数C12/塩素化率57%, 60%、炭素数C10-13/塩素化率50%)、チャイニーズハムスター培養細胞を用いる遺伝子突然変異試験で陰性(炭素数C10-13/塩素化率56%)(EU-RAR(1999))であった。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
IARC のグループ2B(IARC 48(1990))、EU分類は Cat. 3; R40(EU-Annex I)に分類されていることから、区分2とした。なお、本物質のCAS番号(85535-84-8)には合致しないが、“Chlorinated Paraffins(C12, 60% Chlorine)”(CAS 108171-26-2)はNTPの分類はR(NTP RoC 11th, 2005)、塩素化パラフィン類は日本産業衛生学会では2B(産衛学会勧告(2007))に分類されており、いずれもGHS区分2相当である。 | |
7 | 生殖毒性 | 区分外 | - | - | - | - | EU-RAR(1999)によれば、ラットの14日間反復経口投与試験において投与量3,000 mg/kgで卵巣重量減少が見られる(炭素数C10-12/塩素化率58%)一方、ラットの13週間経口投与試験においては投与量5,000 mg/kgで雌雄動物の受胎能力への影響は見られていない(炭素数C12/塩素化率60%)。また、EU-RAR(1999)に記述されている1群25匹の妊娠ラットを用いた経口投与による発生毒性試験(炭素数C10-13/塩素化率58%)において、妊娠ラットの死亡(25匹中8匹)、衰弱、流涎、活動低下が見られる2,000 mg/kg/dayで、着床後胚損失数増加、母体あたり生存胎児数の減少が見られている。産総研詳細リスク評価書5(2005)に、「認められた生殖毒性は母体毒性による二次的影響と考えられ、また、投与量500 mg/kg/dayでは発生への影響は見られていない」旨記述されている。従って、区分外とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(麻酔作用) | 警告 | H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた経口投与試験において不活発、運動失調が見られる(炭素数C12/塩素化率60%)(EU-RAR(1999))との記述から区分3(麻酔作用)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分外 | - | - | - | - | EU-RAR(1999)によれば、ラットを用いる90日間経口投与試験において、100 mg/kg で肝臓・腎臓重量増加、雄に軽微な腎炎(炭素数C10-12/塩素化率58%)が見られている。しかし、「肝臓重量増加はペルオキシソーム増生を反映したもので、ヒトはこの感受性が高くないのでヒト健康に対してあてはまらない」、「腎臓影響は毒性学的に重要か疑わしい」、「ラットでその他の影響が発現する投与量は100 mg/kgより大きい」とEU-RAR(1999)に記述されている。専門家判断に基づきEU-RAR(1999)の記述を採用し、区分外とした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)による24時間EC50 = 0.3mg/L(EU-RAR, 2000)であることから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性がなく(EU-RAR, 2000)ことから区分1とした。 |
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