名称:3,4-ジクロロアニリン
CAS番号:95-76-1
物質ID: | 1-156-2) |
分類実施者: | 経済産業省、環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火温度269℃(ICSC,2000))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 試験温度の140℃において、液体または気体となる物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素、酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、塩素は炭素とのみ結合している。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた経口投与試験のLD50値570 mg/kg(雄、OECD TG401)、880 mg/kg(雄)、530 mg/kg(雌)(EU-RAR(2006))の記述から、いずれも区分4に該当する値なので、区分4とした。 なお、EU分類はT; 23/24/25(EU-Annex I)である。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
EU-RAR(2006)にラットを用いた経皮投与試験のLD50値>1,000 mg/kgと、ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値631 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
EU-RAR(2006)に、ラットを用いた4時間エアロゾル吸入暴露試験のLC50値として>0.631 mg/L(OECD TG403)と、3.3 mg/Lの記述があり、確定値の3.3 mg/Lから、区分4とした。 なお、EU分類はT; 23/24/25(EU-Annex I)である。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いたDraize試験(OECD TG404、GLP)で「slightly irritating、紅斑grade1、2日以内に回復」(EU-RAR(2006)、IUCLID(2000))の記述と、ウサギの24時間皮膚刺激性試験で「not irritating」(IUCLID(2000))の記述があることから区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
EU-RAR(2006)に、ウサギの眼刺激性試験で「moderate irritation、14日以内に回復」の記述と、ウサギの眼のDraize試験(OECD TG405)で「mild。24、48、72時間後の平均スコア:結膜発赤1.7/2/2、結膜浮腫0.7/0.7/1.3、虹彩に対する刺激1/0.7/0.3、角膜混濁1.3/1/0。これらの回復性については記述されていない」との記述がある。どちらの試験も「14日間で回復しない角膜血管新生」がみられており、「眼に重大な損傷を起こす」との記述があるが、21日後の回復性が不明のため、区分2Aとした。 なお、これらの試験結果に基づき、EU分類はXi; R41(EU-Annex I)である。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分1 | 警告 | H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトデータはないが、20匹のモルモットを用いたMaximization試験(OECD TG406、GLP)で「75%に陽性がみられた」(EU-RAR(2006)、IUCLID(2000))との記述より、区分1とした。 なお、この試験結果に基づき、EU分類はR43(EU-Annex I)である。また、ドイツMAKリストはSh(ACGIH-TLV/BEI(2006))である。 | |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | 体細胞in vivo変異原性試験(マウス骨髄細胞を用いた小核試験)で「陰性」(EU-RAR(2006))の記述より、区分外とした。また、in vitro変異原性試験として、ネズミチフス菌を用いた復帰突然変異試験で「陰性」(NTP DB(Access on January 2009))、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験で「陰性」(EU-RAR(2006))の記述がある。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データもないので分類できない。 なお、EU-RAR(2006)に、「2・5-ジクロロアニリン、2-クロロアニリン、3-クロロアニリンについて発がん性のデータは得られていないが、4-クロロアニリンはラットとマウスで発がん性がある。4-クロロアニリンと構造類似の本物質でも、発がん性の懸念が生じる」旨の記述がある。また、4-クロロアニリンについては、IARCでグループ2B(IARC 57(1993))、EU分類でCat. 2; R45(EU-Annex I)である。 |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | EU-RAR(2006)に、妊娠6-15日のラットを用いた経口投与出生前発生毒性試験(OECD TG414)で「母動物の体重増加抑制と摂餌量の減少がみられる用量(125 mg/kg)で、胚吸収と着床後胚損失がみられたが、統計学的に有意でなく、明確な催奇形性は確認されなかった」旨の記述と、雄ラットに2週間吸入暴露した試験で「0.2 mg/Lまでの暴露で、精巣の絶対重量、相対重量の変化、精巣及び精巣上皮の組織病理学的変化がない」旨の記述があるが、生殖能力や生殖機能に関するデータがないので分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(血液系) | 危険 | H370: 臓器の障害(血液系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
PATTY(5th, 2001)に、ヒトと動物への急性症状として、「チアノーゼ、倦怠感、呼吸困難、筋力低下」の記述があり、EU-RAR(2006)に「他のクロロアニリン類同様、初期毒性作用はメトヘモグロビン形成である。メトヘモグロビン血症による急性症状として、チアノーゼ、倦怠感、呼吸困難、筋力低下を示す」との記述がある。また、動物について、ラットを用いた吸入暴露試験で「嗜眠、歩行異常、失調性歩行、メトヘモグロビン値上昇」(EU-RAR(2006))が区分1から区分2の範囲内でみられる。以上より、区分1(血液系)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分2(血液系) | 警告 | H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(血液系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットを用いた6ヶ月間経口投与試験で、「20 mg/kg投与群で、筋肉の協調運動障害、血中メトヘモグロビン値、赤血球数、LDHの上昇、肝臓機能障害(BSP値上昇)、腎臓損傷(BUN値上昇)」(IUCLID(2000))の記述がある。また、「3・4-、2・4-、2・5-ジクロロアニリンはメトヘモグロビン形成物質である」(EU-RAR(2006))との記述があることから、区分2(血液系)とした。なお、「肝機能障害、腎臓損傷」については、詳細不明のため、標的臓器から除外した。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.23 mg/L(EU-RAR, 2006)から区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(難分解性;2週間標準法でBODによる分解度:0%(既存点検, 1979))ことから、区分1とした。 |
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