GHS分類結果

名称:2,4-ジクロロトルエン
CAS番号:95-73-8

結果:
物質ID: 1-165
分類実施者: 経済産業省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
HSDB(2003)による引火点は93℃(開放式)であり、区分4に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点>450℃(Merck KGaA data from March 2009)。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および酸素を含まず、塩素を含む有機化合物であるが、この塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットを用いた経口投与試験のLD50値2,790 mg/kg(SIDS(1995))は、国連GHS急性毒性区分5に該当するが、国内では不採用区分につき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義上の液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットを用いた4時間吸入暴露試験のLC50値は>2,669 mg/L(SIDS(1995))である。この値は飽和蒸気圧濃度3.9 mg/L(25℃)より大きいため、ミスト基準を適用し、区分外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - GESTIS(Access on October 2008)には、Xi; R38と分類されている。これは、GHS区分2-3に相当するが、データが不十分なので分類できない。異性体混合物のジエチルトルエンには刺激性の可能性あり(HSDB(2003))との記述がある。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - 類似体の4-Chlorotolueneには強い刺激性(HSDB(2003))との記述があるが、本物質としてデータ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitro変異原性試験(ネズミチフス菌を用いる復帰変異試験、チャイニーズハムスター培養細胞を用いる染色体異常試験)で「ともに陰性」(厚労省報告(Access on September 2008))との記述があるが、in vivo試験のデータがないので分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - 主要な国際評価機関による評価がなされておらず、データもないので分類できない。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた反復投与毒性試験と生殖/発生毒性スクリーニング試験を組み合わせた試験(OECD TG 422)において、母動物への毒性影響(肝臓、腎臓)が見られた投与量(500mg/kg)で、受胎率の低下、児動物の体重の低値が認められた(厚労省報告(Access on September 2008))との記述から、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットの単回経口投与試験について、剖検及び病理組織学的検査では、「雌雄ともに被験物質投与による影響は認められなかったが、自発運動の減少、よろめき歩行が見られた」(厚労省報告(Access on September 2008))との記述と、雄ラットの単回強制経口投与試験において、「平伏、振戦、減衰、運動失調、努力性呼吸、鼻腔周辺の血液塊、尿の染み等が見られた」(HSDB(2003))との記述がある。さらにヒトの事故事例として、2007年厚労省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei10/12.html)には、「ドラム缶へ薬剤を充填する作業において、自動計量器が適切に作動せず、充填ノズルとドラム缶の注入口の隙間から2,4-ジクロロトルエンが漏れ出したため、漏れた2,4-ジクロロトルエンをウエスで拭きとったところ、同ウエスの2,4-ジクロロトルエン蒸気を吸入し、中毒となった。」との記述がある。以上より区分3(麻酔作用)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓、腎臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓、腎臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた46日間反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD TG 422)で、「小葉中心性肝細胞腫脹、尿細管上皮の萎縮及び再生、尿細管の拡張などがみられた。」(厚労省報告(Access on September 2008))旨の記述がある。これらの影響は区分2のガイダンス値の範囲内でみられたので、区分2(肝臓、腎臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(メダカ)の96時間LC50 = 2.7mg/L(SIDS, 1995)から区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(難分解、BODによる分解度:0%(既存点検, 1995)ことから、区分2とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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