名称:デシルアルコール(1-デカノール)
CAS番号:112-30-1
物質ID: | 1-257-2) |
分類実施者: | 経済産業省、環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
6 | 引火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | ICSC(2005)による引火点は108℃(密閉式)であり、区分外に該当する。 |
7 | 可燃性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 区分外 | - | - | - | - | 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点255℃(ICSC.2005))。 |
10 | 自然発火性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | 液体である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットを用いた経口投与試験のLD50値4,720 mg/kg(環境省リスク評価第6巻(2008))、12,800 mg/kg(IUCLID(2000))から、低い値4,720 mg/kgは国連GHS急性毒性区分5に該当するが、国内では不採用区分につき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値3,560 mg/kg(IUCLID(2000))は国連GHS急性毒性区分5に該当するが、国内では不採用区分につき、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義上の液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分4 | 警告 | H332: 吸入すると有害 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 |
本物質の飽和蒸気圧濃度(20℃)は0.06 mg/Lである。マウスを用いた2時間吸入暴露試験のLC50値4 mg/L(環境省リスク評価第6巻(2008)、IUCLID(2000))は、飽和蒸気圧濃度より大きい値であるためミスト基準を適用する。4時間換算LC50値は2 mg/Lなので、区分4とした。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | 動物については、ウサギを用いた24時間皮膚刺激性試験で、「irritating」(IUCLID(2000))との記述があるが、4時間より厳しい条件であるため使用できない。ヒトについては、皮膚刺激性試験で、「irritating」(IUCLID(2000))の記述があるが、3日間の連続投与試験であるため採用できない。以上より、データ不充分のため分類できない。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2 | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ウサギを用いた眼刺激性試験で、「角膜損傷を引き起こす」(PATTY(5th, 2001))旨の記述がある。また、HSDB(2006)に、ウサギを用いた試験において「眼に対する損傷の程度は10段階中の2である(10が最も強い損傷)」旨、記述されている。以上から区分2とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データがないので分類できない。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | ヒトについては、Maximization試験で「not sensitizing」(IUCLID(2000))との記述があるが、List2の情報源であり、他にデータがないため分類できない。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | 体細胞in vivo変異原性試験(ラット骨髄細胞を用いた変異原性試験)で「3.4%の細胞で異常が観察された」(IUCLID(2000))旨の記述があるが、結論は明記されておらず、一次文献(Tsitol. Genet. 22(1988))を調査したが、判定についての記述はない。また、in vitro変異原性試験(ネズミチフス菌を用いた復帰突然変異試験)で「陰性」(IUCLID(2000))の記述があるので分類できない。 |
6 | 発がん性 | 分類できない | - | - | - | - | 主要な国際的評価機関による評価がなされていないため分類できない。 なお、「7,12‐ジメチルベンゾ[a]アントラセンをイニシエーターとした雌マウスの60週間経皮投与試験で、本物質のプロモーター活性はweakからmoderate」(PATTY(5th, 2001))である旨の記述があり、このデータについてIUCLID(2000)は「皮膚がんが観察され、皮膚乳頭腫のプロモーターである」と評価している。 |
7 | 生殖毒性 | 区分2 | 警告 | H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
妊娠1-19日の雌ラットに飽和蒸気を吸入暴露した試験で、「母ラットの体重、吸収胚、胎仔の体重、性比、外表、骨格、内臓等への投与に関連した影響はみられなかった」(環境省リスク評価 第6巻(2008)、JECFA(2006)、PATTY(5th, 2001)、IUCLID(2000)、HSDB(2006))旨の記述がある。一方、妊娠1-15日の雌ラットに40%溶液を経口投与した試験で、「胎児毒性が報告されている」(JECFA(2006)、PATTY(5th, 2001))とあり、一次文献(Sov. J. Dev. Biol. 22(1990))を調査したところ、「発育障害には水頭症、水腎症、骨化の抑制が含まれる」旨記述されているが、母動物に関する記述がなかったので、区分2とした。 | |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分3(気道刺激性) | 警告 | H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
「経口摂取では腹痛、喉や胸部の灼熱感、吐き気、嘔吐、吸入すると咳、咽頭痛を生じる」(環境省リスク評価 第6巻(2008))及び「Respiratory Irritations」(HSDB(2006))との記述から、区分3(気道刺激性)とした。 なお、「高濃度の場合、中枢神経系に影響を与えることがある」(環境省リスク評価第6巻(2008))との記述があるが、ICSC1490(2005)からの引用で濃度が不明であるため、採用しない。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ラットやウサギを用いた2ヶ月間吸入暴露試験で、「200 mg/m3以上の群で血清のコリンエステラーゼ活性の低下、600 mg/m3 群で限局的な刺激症状がみられた」(環境省リスク評価第6巻(2008)、HSDB(2006))旨の記述があり、いずれも区分2のガイダンス値の範囲内であるが、データ不充分のため分類できない。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 区分1 | 危険 | H304: 飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P331: 無理に吐かせないこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
「ラットに0.2 mLを誤嚥させたところ、9匹中9匹が死亡した」(PATTY(5th, 2001))、「気管に入ると危険であり、少量(0.2 mL)では、炭化水素溶媒のような挙動を示す」(HSDB(2006))旨の記述がある。また、20℃での動粘性率を計算すると16.6 mm2/s(20℃)であり、40℃では20.5 mm2/s以下になると予想される。以上より区分1とした。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
藻類(Pseudokirchneriella subcapitata)の72時間EC50 = 0.56mg/L(環境省生態影響試験, 1999)から区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性に関するデータがなく、生物蓄積性がある(LogKow = 4.57(PHYSPROP Database, 2008))と推定されることから区分1とした。 |
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