GHS分類結果

名称:2,3,5,6-テトラクロロ-パラ-ベンゾキノン
CAS番号:118-75-2

結果:
物質ID: 1-264
分類実施者: 経済産業省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 不燃性(ICSC,1997)。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点>400 ℃(Merck KGaA data from March 2009)。
11 自己発熱性化学品 区分外 - - - - 不燃性(ICSC,1997)。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素を含まず、酸素、塩素を含む有機化合物であるが、この酸素、塩素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットを用いた経口投与試験のLD50値6,951 mg/kg(HSDB(2002))、4,000-7,100 mg/kg(BUA 85(1993))、4,000 mg/kg(RTECS(2008))から、低値4,000 mg/kgを採用した。このLD50値は国連GHS急性毒性区分5に該当するが、国内では不採用区分につき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分4 警告 H332: 吸入すると有害 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
本物質は飽和蒸気圧濃度0.000067 mg/L(25℃)の固体である。ラットを用いた4時間吸入暴露試験でLC50値2,485 mg/L(RTECS(2008))との記述がある。粉塵基準を適用し区分4とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - 「皮膚を刺激する可能性あり」(HSDB(2002))との記述と、「皮膚への刺激反応は弱い」(BUA 85(1993))との記述があるが、データが不足しているので分類できない。EU分類はXi; R36/38(EU-Annex I)である。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分1 危険 H318: 重篤な眼の損傷 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
ヒト影響の項目で「粘膜を刺激する可能性あり」(HSDB(2002))、ウサギの眼に乾燥粉末を適用した試験で「角膜壊死を引き起こした」(HSDB(2002))との記述、「眼に対して、強い刺激性と不可逆的損傷を引き起こす」(BUA 85(1993))との記述があることから、区分1とした。EU分類はXi; R36/38(EU-Annex I)である。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞を用いるin vivo変異原性試験(マウス赤血球を用いる小核試験)で「陰性」(BUA 85(1993))との記述から、区分外とした。 なお、ネズミチフス菌復帰変異試験(NTP DB(Access on September 2008))で「陽性と示した種もあった」との記述がある。
6 発がん性 分類できない - - - - 主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データが不十分であるため分類できない。 なお、マウスを用いた経口投与試験で、「不確かな発がん性」(HSDB(2002))との記述と、マウスを用いた18ヶ月間経口投与試験で「雄の肝臓と肺に腫瘍が見られたが、発生例は少なかった」(BUA 85(1993))との記述がある。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性) 警告 H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H335: 呼吸器への刺激のおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
実験動物について、「下痢または、中枢神経抑制を引き起こす可能性」(HSDB(2002))との記述と、ラットを用いた経口投与試験で「水下痢、けいれん、中枢神経抑制」(BUA 85(1993))との記述がある。また、ラットを用いたの致死量を求める吸入暴露試験で、「傾眠、気管と気管支の構造または機能変化」(RTECS(2008))との記述と、「気道を刺激する」(ICSC(1997))との記述がある。以上より区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(中枢神経系、消化器系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(中枢神経系、消化器系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについては、List2の情報源であるHSDB(2002)に、「下痢、中枢神経系抑制、昏睡」との記述がある。実験動物については、ラットを用いた28日間強制経口投与試験(OECD TG 407、GLP)において「雄で血中総ビリルビン量の増加」、「雄で軟便、下痢、雌雄の前胃および盲腸を主とする腸に粘膜上皮の過形成、びらん等の変化」(CHRIP(Access on October 2008))との記述があり、消化器系への影響は800 mg/kg(90日換算値:249 mg/kg)で見られた症状であるが、ヒトでも下痢が認められていることから、区分2(中枢神経系、消化器系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(コイ科)による96時間LC50 = 4.6mg/L(BUA 85, 1992)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、急速分解性に関するデータがないことから区分2とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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