GHS分類結果

名称:1-ドデカノール
CAS番号:112-53-8

結果:
物質ID: 1-273
分類実施者: 経済産業省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点275℃(Lide,88th,2007))。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 試験温度の140℃において、液体または気体となる物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットを用いた経口投与試験のLD50値>12.8 mL/kg(10,600 mg/kg)、>36 mL/kg(29,880 mg/kg)(以上、SIDS(1992))、>10,600 mg/kg、>12,800 mg/kg(以上、PATTY(5th, 2001))であるが、いずれも区分4の基準値を超えているため区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - モルモットを用いた経皮投与試験のLD50値10 mL/kg(8,309 mg/kg)(SIDS(1992))から区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ラットを用いた1時間、6時間、18時間吸入暴露試験において、いずれの暴露時間でも1.05 mg/Lで死亡が確認されなかった(SIDS(1992))との記述がある。25℃における飽和蒸気圧濃度0.0086mg/Lの液体なので、ミスト基準を適用すると、4時間LC50値の換算値は >0.2625 mg/Lと考えられる。区分を特定できないため、分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ヒトに対する4時間皮膚刺激性/腐食性試験(OECD TG 404、GLP)で、「not irritating」(IUCLID(2000))であることから区分外とした。 なお、ウサギを用いたDraize試験で「highly irritating」(IUCLID(2000))との記述があるが、一次文献(J. Soc. Cosmet. Chem. 28(1977))を調査したところ、24時間試験であり、「刺激性の程度は、ウサギ、モルモット、マウス、ヒトの順で低下する」と記述されている。また、ウサギとマウスを用いた24時間皮膚刺激性試験で、「slight to moderate irritation」(PATTY(5th, 2001))との記述がある。いずれも24時間試験であるため採用できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
本物質をそれぞれ68.9%、63.3%含む市販ラウリルアルコールA、Bに対する、ウサギを用いた眼刺激性試験で「mild irritation(主に結膜において)」(SIDS(1992))であり、14日後にはすべて回復したことから、区分2Bとした。 なお、市販ラウリルアルコールA、Bの成分は、いずれも高級アルコールで、以下の通りである。 A:C10が0.3%、C12が68.9%、C14が25.1%、C16が5.1%、C18が0.3%、0.3%が未特定。 B:C10が0.1%、C12が63.3%、C14が24.1%、C16が8.3%、C18が0.4%、3.8%が未特定。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - ヒト(ボランティア、25人)に対するMaximization試験で「not sensitizing」(IUCLID(2000))のデータがあるが、List2の情報源であり、データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞in vivo変異原性試験(マウス骨髄細胞を用いた小核試験)で陰性(SIDS(1992))であることから区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - 主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データもないので分類できない。 なお、「マウスを用いた腹腔内注入試験では、肺腫瘍の統計的な増加はみられなかった。反復局所使用により軽い発がん補助効果がみられたが、処理群と非処理群との差異は小さく結論には疑問がある」(SIDS(1992))との記述がある。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットを用いた反復投与毒性試験と生殖/発生毒性スクリーニング試験を組み合わせた試験(OECD TG 422、GLP)で、「親毒性としては、妊娠率がわずかに減少したが、統計的に有意ではなく、妊娠期間に変化はなく、生殖器官の異常も観察されなかった。発生毒性としては、出生率や児の体重、死亡率、性分布に変化はなく、剖検においても異常は認められなかった」(SIDS(1992))との記述があるが、簡易試験であるため、分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(肺) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(肺) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた吸入暴露試験で、「肺刺激の兆候、軽度の呼吸困難、肺の中の軽度の出血」(SIDS(1992))を生じる旨の記述があり、いずれも区分2のガイダンス値の範囲内でみられているため、区分2(肺)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットを用いた反復投与毒性試験と生殖/発生毒性スクリーニング試験を組み合わせた試験(OECD TG 422、GLP)で、「病理学的な影響は認められなかったが、白血球数の減少、血漿遊離型コレステロールの減少がみられた」(SIDS(1992))旨、記述されている。血液への影響は区分2の範囲外で認められるため、分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
藻類(セネデスムス)の96時間EC50 = 0.97mg/L(SIDS, 1998)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であるが、生物蓄積性がある(LogKow = 5.13、PHYSPROP Database, 2008)と推定されることから区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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