GHS分類結果

名称:ターシャリ-ドデカンチオール
CAS番号:25103-58-6

結果:
物質ID: 1-274
分類実施者: 経済産業省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IUCLID(2000)による引火点(密閉式)は82℃及び95℃があるが、82℃を採用し区分4とした。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 常温の空気と接触しても自然発火しない(発火点350℃(Merck KGaA data from March 2009))。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットを用いた経口投与試験のLD50値7,600 mg/kg(PATTY(5th, 2001))から区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値>10,200 mg/kg(PATTY(5th, 2001))、12,600 mg/kg(IUCLID(2000))から区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義上の液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - ラットを用いた4時間吸入暴露試験で、「2.1 mg/Lで死亡が確認されなかった」(PATTY(5th, 2001))旨の記述からLC50値は>2.1 mg/Lと考えられる。本物質の飽和蒸気圧濃度(20℃)0.27 mg/Lより、粉塵基準を適用すると、区分を特定できないので分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - ウサギを用いた皮膚刺激性試験で「severe irritation」(PATTY(5th, 2001))との記述があるが、試験時間が不明であり、一次文献の入手も不可である。IUCLID(2000)では、ウサギを用いた皮膚刺激性試験で、「moderate」と「slightly irritating」の結果が記述されている。「moderate」(IUCLID(2000))の評価の試験は24時間試験であり、4時間での刺激性の程度が不明なので採用できない。また、「slightly irritating」(IUCLID(2000))の評価の試験はDraize試験であり、PII=1.0と記述されているが、試験物質の濃度が不明である。いずれも試験条件の詳細が不明であり、評価結果も分かれているため、分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギを用いた眼刺激性試験で、「眼への滴下24時間後に、虹彩炎や軽い結膜炎を引き起こすが、48時間で回復する」(PATTY(5th, 2001))旨の記述があり、また、IUCLID(2000)では、ウサギを用いた2例の眼刺激性試験について、それぞれ「mild」、「slightly irritating」と評価している。以上より、区分2Bとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 動物については、モルモットを用いたBuehler試験で「not sensitizing」(IUCLID(2000))との記述がある一方、「本物質はsensitizingとみなせる」(IUCLID(2000))旨の記述がある。ヒトについては、「暴露された作業者にアレルギー性皮膚炎がみられた」(IUCLID(2000))旨の記述がある。いずれもList2の情報であり、ヒトと動物で評価が分かれているので分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitro変異原性試験(マウスリンフォーマ試験)で「陰性」(IUCLID(2000))、in vitro遺伝毒性試験(CHO細胞を用いた姉妹染色分体交換試験))で「陰性」(IUCLID(2000))の記述があるが、in vivo試験のデータがないので分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - 主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データもないので分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - ラットを用いた14日間吸入暴露試験で、「催奇形性のNOAELは最高用量の88.6 ppm(0.37 mg/L)である」(IUCLID(2000))旨の記述がある。また、マウスを用いた10日間吸入暴露試験(GLP)でも、「催奇形性のNOAELは88.6 ppm(0.37 mg/L)である」(IUCLID(2000))旨の記述がある。しかし、一次文献の入手が困難であり詳細は不明である。また、生殖機能に対する影響についてのデータがないので分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(中枢神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(中枢神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験で、「臨床症状として、自発運動の抑制、立毛、かなりの体重減少がみられたが、剖検においては病理学的変化はみとめられなかった」(PATTY(5th, 2001))旨、記述されている。また、ラットを用いた4時間吸入暴露試験において、区分2のガイダンス値の範囲内で「けいれん、過呼吸が暴露3分後にみられ、出血性鼻炎や流涎が観察された」(PATTY(5th, 2001))旨の記述がある。以上より、区分2(中枢神経系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(肝臓) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(肝臓) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた28日間吸入暴露試験において、区分2のガイダンス値の範囲内の暴露量で、「雄のラットで炭化水素性腎症(hydrocarbon nephropathy)に関連した軽度の尿細管変性等が発現した」(IUCLID(2000))旨の記述がある。また、マウスを用いた28日間吸入暴露試験において、「肝臓重量が暴露量に依存して増加し、区分2のガイダンス値の範囲内の暴露量で、雌雄ともに肝臓腫大、退色、肝細胞肥大が確認された」(IUCLID(2000))旨の記述がある。腎臓の症状は雄ラットに特異的な影響といえるので採用しない。以上より、区分2(肝臓)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないため分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の48時間EC50 = 0.075mg/L(環境庁生態影響試験, 1999)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性に関するデータがないため区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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