GHS分類結果

名称:1,2-エポキシ-3-(トリルオキシ)プロパン
CAS番号:26447-14-3

結果:
物質ID: 2-014
分類実施者: 経済産業省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 液体である。
6 引火性液体 区分外 - - - - IUCLID(2000)による引火点は約125℃(密閉式)であり、区分外に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
8 自己反応性化学品 分類できない - - - - 歪のあるエポキシ環を含むが、データがなく分類できない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットを用いた経口投与試験のLD50値5,800 mg/kg(PATTY(5th,2001))、4,300 mg/kg(IUCLID(2000))、5,140 mg/kg(HSDB(2006))の記述があり、最小値4,300 mg/kgは国連GHS急性毒性区分5に該当するが、国内では不採用区分につき、区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットを用いた経皮投与試験のLD50値>2,150 mg/kg(PATTY(5th,2001)、IUCLID(2000))、ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値>2,000 mg/kg(IUCLID(2000))の記述より、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義上の液体であるので、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットを用いた4時間吸入暴露試験のLC50値 1,220 ppm(PATTY(5th,2001)(換算値:8.19 mg/L)の記述があり、本物質の飽和蒸気圧濃度0.38 mg/L(25℃)より、ミスト基準を適用し、区分外とした。 なお、List2の情報源に、ラットを用いたエアロゾル吸入暴露試験のLC50値4.8-8.5 mg/L(IUCLID(2000))の記述がある。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いた試験で、「Draizeスコア5.2/8、moderate skin irritant」(PATTY(5th,2001))の記述より、区分2とした。 なお、EU分類はXi; R38(EU-Annex I)である。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験について、PATTY(5th,2001)に「slightly irritating、急速に回復」との記述があるが、IUCLID(2000)には「moderately irritating、Draize Index7.3」との記述があり、本物質は皮膚刺激性物質であることから、国連GHS改訂2版の図3.3.1に従って、区分2とした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒトについて、職業性接触皮膚炎を有する実験技術者のパッチテストで2/4人が「陽性」(HSDB(2006))の記述と、職業暴露による皮膚掻痒感、咽頭狭窄等の病歴のあるヒトのパッチテストで「咽頭のヒリヒリ感、嗄声を伴う蕁麻疹反応」(HSDB(2006))の記述がある。動物については、モルモットを用いた試験で「potent skin sensitizer」(PATTY(5th, 2001))の記述がある。以上より、区分1とした。 なお、EU分類はR43(EU-Annex I)である。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - PATTY(5th,2001)に、「暴露されたヒトの末梢血リンパ球に生物学的に有意な染色体異常の増加がみられない」旨の記述があるが、引用文献(Mutat. Res. 203(1988))を調査したところ、エポキシ樹脂工場での職業暴露についての試験結果であり、「バックグラウンド値が高く、弱い遺伝毒性物質の細胞遺伝学的影響の検出には感度が不十分である」旨の記述があるため、分類には採用しない。他にin vivoデータがないため分類できない。 なお、EU分類はCat.3、R68(EU-Annex I)である。
6 発がん性 分類できない - - - - 主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データもないので分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - HSDB(2006)に「吸入暴露試験で、生殖腺と胎児への影響が一般毒性レベルより低い濃度(2.55 mg/m3)でみられた」旨の記述があるが、引用文献(Indirect Food Additives and Polymers: Migration and Toxicology(2000))からもそれ以上の情報は得られず、データ不足のため分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ラット、マウス、モルモットを用いた急性毒性試験で「中枢神経系阻害、筋無力症、肝臓損傷、尿細管上皮の壊死」(HSDB(2006))の記述があるが、投与期間や用量が不明のため、分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分2 - - H401: 水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ニジマス)の96時間LC50 = 2.8-5.6mg/L(HSDB, 2006; IUCLID, 2000)であることから、区分2とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分2 - H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分2であり、急速分解性に関するデータがないことから区分2とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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