GHS分類結果

名称:2-(チオシアナートメチルチオ)-1,3-ベンゾチアゾール
CAS番号:21564-17-0

結果:
物質ID: 2-057
分類実施者: 経済産業省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 液体である。
6 引火性液体 区分4 - 警告 H227: 可燃性液体 P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
Merck(14th,2006)による引火点は66℃(開放式)であり、区分4に該当する。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データがなく分類できない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50値750 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書(2008))、1,590 mg/kg(HSDB(2003))のうち低値750 mg/kgから区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値>2,000 mg/kg(CERI・NITE有害性評価書(2008))から区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義上の液体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
25℃における飽和蒸気圧濃度は0.00041 ppm(4×10-6 mg/L)である。ラットを用いた4時間吸入暴露試験のLC50値0.1 mg/L(CERI・NITE有害性評価書(2008))は飽和蒸気圧濃度より大きいので、粉塵・ミスト基準を適用し、区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分2 警告 H315: 皮膚刺激 P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ウサギを用いた皮膚刺激試験で、「強度の皮膚刺激性」(CERI・NITE有害性評価書(2008))と記述されている。さらに、引用文献U.S.EPA 739-R-05-003(2006)を確認したところ、「72時間後のスコアは7.42で、severeな紅斑と浮腫が観察された」旨、記述されていた。非可逆性についての記述がないので、区分2とした。 なお、EU分類はXi; R36/38である(EU-Annex I)。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた眼刺激試験で「Moderate」(RTECS(2008))と記述されている。さらに、他の項での引用文献であるU.S.EPA 739-R-05-003(2006)を確認したところ、「ウサギを用いた眼刺激試験のスコア34/110から、corrosive」と判定し、「結膜蒼白、結膜浮腫、角膜混濁の症状が7日で回復しなかった」旨、記述されていた。以上より、区分2Aとした。 なお、EU分類はXi; R36/38(EU-Annex I)であり、区分2に相当する。一方、ICSC(J)(1997)では「眼に対して腐食性を示す」と記述されている。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 区分1 警告 H317: アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。
P333+P313: 皮膚刺激又は発疹が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P272: 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERI・NITE有害性評価書(2008)に、「モルモットを用いたMaximization 試験で強度の感作性あり」との記述がある。さらに、引用文献のU.S.EPA 739-R-05-003(2006)を確認したところ、「ヒトの皮膚感作性物質である」旨の記述がある。よって区分1とした。 なお、EU分類はXi; R43(EU-Annex I)であり、区分1に相当する。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - 体細胞in vivo変異原性試験(ラット骨髄細胞を用いる染色体異常試験、マウスを用いた小核試験)で「陰性」(CERI・NITE有害性評価書(2008))との記述から区分外とした。
6 発がん性 分類できない - - - - 「EPAで1995年にグループCと分類されているが、他の国際機関では評価されていない」(CERI・NITE有害性評価書(2008))との記述がある。引用文献(A review of the environmental impact and toxic effects of TCMTB.(1991))を精査すると、「ラット及びマウスを用いた104週間混餌投与試験で発がん性は認められなかった」と記述されている。また、この評価を記述したEPAの報告(U.S.EPA 739-R-05-003(2006))では、「ラットを用いた104週間混餌投与試験で発がん性は認められなかった」と記述されているので、区分外と考えられるが、EPAの最終的な結論ではないので、現時点では分類できない。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた生殖毒性試験において、「母動物に体重増加抑制など毒性の発現が認められた用量で、胎児に癒合/波状肋骨など異常の増加が見られた」(CERI・NITE有害性評価書(2008))との記述があるので、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - CERI・NITE有害性評価書(2008)に、「ラットにおけるTCMTB経口投与で見られた主な症状は動作緩慢、不規則歩行であり、生存例では投与後3-7日後に回復した」との記述があるが、投与量などの詳細については不明であるため、分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(胃) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(胃) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
CERI・NITE有害性評価書(2008)において、ラットを用いた13週間混餌投与試験で、「胃の扁平上皮細胞過形成」との記述、ラットを用いた90日間混餌投与試験で、「前胃粘膜に炎症、浮腫、扁平上皮細胞の壊死を伴う変性、及び潰瘍」との記述、イヌを用いた52週間混餌投与試験で、「白血球及び単球の減少」との記述がある。イヌを用いた52週間混餌投与試験については、引用文献(A review of the environmental impact and toxic effects of TCMTB.(1991))を精査すると、「有意な影響はない」旨の記述があり、白血球及び単球の減少に関する記述はなかった。胃への影響は区分2のガイダンス値の範囲内で見られた。以上より、区分2(胃)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ブルーギル)の96時間LC50 = 0.0087 mg/L(有害性評価書, 2007)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(難分解性:4週間標準法でBODによる分解度:0%(既存点検, 1990))ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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