GHS分類結果

名称:オルト-テルフェニル
CAS番号:84-15-1

結果:
物質ID: 2-063
分類実施者: 経済産業省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 試験温度の140℃において、液体または気体となる物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - 酸素、フッ素または塩素を含まない有機化合物である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50値1,900 mg/kg(ACGIH(7th, 2001)、PATTY(5th, 2001))から、区分4とした。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分3 危険 H331: 吸入すると有毒 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P311: 医師に連絡すること。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
本物質は、25℃の飽和蒸気圧濃度が0.003 mg/Lの固体である。ACGIH(7th、2001)に記述されているラットを用いた吸入暴露試験についての引用文献(Toxicol. Appl. Pharmacol. 1(1959))を調査した結果、雌雄ラットを用いた2濃度(3.56 mg/L, 0.88 mg/L)による1時間吸入暴露試験で、「死亡動物は、高濃度で4/8匹、低濃度では見られなかった」旨、記述されていた。よって、LC50値は3.56 mg/Lと判断して粉塵基準を適用すると、4時間換算LC50値0.89 mg/Lから、区分3とした。 なお、この引用文献は、本物質を異性体の1つとして含むテルフェニルを対象としている。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - 異性体混合物のテルフェニルはウサギに「moderate」な刺激性あり(ACGIH(7th, 2001))との記述から、引用文献(Toxicol. Appl. Pharmacol. 1(1959))を調査したところ、オルト-テルフェニルのウサギを用いた皮膚刺激性試験(Draize法)で「Draize score=0/8」との記述があるが、区分外の情報はこの情報のみなので、分類できない。 なお、ICSC(2004)の短期暴露の影響の項に「皮膚を刺激する」との記述がある。また、有害性については、本物質を含むテルフェニル(ID847、CAS No.26140-60-3)も参照のこと。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - 異性体混合物のテルフェニルはウサギに対し「結膜に極度の刺激性あり」(ACGIH(7th, 2001))との記述から、引用文献(Toxicol. Appl. Pharmacol. 1(1959))を調査したところ、オルト-テルフェニルのウサギを用いた眼刺激性試験(Draize法)において「影響なし」との記述があるが、区分外の情報はこの情報のみなので、分類できない。 なお、ICSC(2004)の短期暴露の影響の項に「眼を刺激する」との記述がある。また、有害性については、本物質を含むテルフェニル(ID847、CAS No.26140-60-3)も参照のこと。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットに対して異性体混合物のテルフェニルは高い損傷(壊死及び感作性徴候)を示す(ACGIH(7th, 2001))旨の記述があり、引用文献(Toxicol. Appl. Pharmacol. 1(1959))を調査したが、情報不足なので、分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験のデータがないので、分類できない。 なお、in vitro変異原性試験(ネズミチフス菌TM677を用いた変異試験)で「陰性」(HSDB(2005))との記述がある。
6 発がん性 分類できない - - - - 主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データもないので分類できない。
7 生殖毒性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(気道刺激性) P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
List1の情報源に、異性体混合物のテルフェニルについて、ヒトの短期暴露で「頭痛及び喉の痛みが見られたが、24時間以内に回復した」(PATTY(5th, 2001))との記述があり、本物質についても同様の影響が考えられるため、区分3(気道刺激性)とした。 なお、ICSC(2004)の短期暴露の影響として「気道を刺激する」との記述がある。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットを用いた30日間経口投与試験で、「用量250 mg/kgで、わずかな体重減少、体重に対する肝重量及び腎重量の増加」(ACGIH(7th, 2001))、PATTY(2001))、病理組織学的所見は「コントロール群と類似」(ACGIH(7th, 2001))、および「投与に関する影響なし」(USCh(2003))との記述があるが、データ不足のため分類できない。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(メダカ)の96時間LC50 = 0.12 mg/L(環境庁生態影響試験, 1995)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(BIOWIN)ことから、区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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