GHS分類結果

名称:3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-オン
CAS番号:77-09-8

結果:
物質ID: 2-074
分類実施者: 経済産業省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データがなく分類できない。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性、あるいは自己反応性に関わる原子団を含まない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 空気中で安定(HSDB,2004)。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データがなく分類できない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 分類できない - - - - ラットの経口致死量は>1,000 mg/kg(RTECS(2007))との記述があるが、区分を特定できないので分類できない。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - ヒト症例として、「フェノールフタレインによるアレルギー症状は皮膚炎反応か固定薬疹であり、同じ場所に繰り返し発症するのが特徴で、色素過剰となる」(IARC 76(2000))との記述があるが、データが不十分なので分類できない。
5 生殖細胞変異原性 区分2 警告 H341: 遺伝性疾患のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
体細胞in vivo変異原性試験のマウス骨髄を用いた染色体異常試験は「陰性」だが、マウス赤血球を用いた6つの小核試験では「陽性」(NTP DB(Access on November 2008))との記述がある。染色体異常試験のサンプリング時間は17時間後で、不十分な評価となる。一方、6件の小核試験のうち5件は6週間から26週間の間の複数回混餌投与でいずれもサンプリング時間が28時間後、1件のみ単回投与でサンプリング時間が48時間後の結果である。証拠の重みより小核試験の陽性結果を採用し区分2とした。
6 発がん性 区分2 警告 H351: 発がんのおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
IARCでグループ2B(IARC 76(2000))、NTPでR(NTP RoC(11th, 2005))と評価されているので、区分2とした。
7 生殖毒性 区分1B 危険 H360: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
マウスを用いた混餌投与試験で「1,000 mg/kg以上の濃度で、第2子から第5子まで出産した雌雄組数は有意に低下し、平均一腹産児数も24 %減少した。F0世代の雄では精巣上体の精子数が著しく減少し精細管変性」(IARC 76(2000))との記述があり、この引用文献(Environ. Health Perspect. 105(1997))には「親動物への影響は雌雄ともにわずかな摂餌量低下で体重減少はなし」と記述されているので区分1Bとした。ただし、ヒト疫学データとして「236人の妊娠初期の妊婦と806人の妊婦に処方したが、出産児に催奇形性は見られなかった」(HSDB(2004))との記述があり、またマウスの三世代試験で「催奇形性は見られなかった」(HSDB(2004))との記述がある。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - ヒト症例として「本物質を含む錠剤を不特定量摂取した女性が多臓器不全を生じ、昏睡、肺浮腫、心筋障害、急性腎尿細管壊死、播種性血管内凝固症候群の結果死亡」(HSDB(2004))との記述があるが、生存例での影響が不明なので分類できない。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(腸) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(腸) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ヒト影響として、「治療上の経口投与で、腹部不快感、下痢、嘔吐を発症し、血圧低下、脱力感が見られることがあった」、「主な標的臓器は腸であり、臨床症状は慢性潰瘍性大腸炎と類似している」(IARC 76(2000))との記述がある。ラットとマウスを用いた13週間経口投与試験では、「雌ラットで体重減少と体重増加抑制が有意に見られ、雌雄マウスに骨髄の形成不全が見られた」(NTP TR465(1996))との記述があるが、骨髄への影響は区分2のガイダンス値の範囲外で見られるので、区分1(腸)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 分類できない - - - - データなし。
11 水生環境有害性(長期間) 分類できない - - - - データなし。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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