GHS分類結果

名称:5-ベンジル-3-フリルメチル=(1RS)-シス-トランス-2,2-ジメチル-3-(2-メチルプロパ-1-エニル)シクロプロパンカルボキシラート
CAS番号:10453-86-8

結果:
物質ID: 2-086
分類実施者: 経済産業省、環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含まない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - 固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - 固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - 固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
7 可燃性固体 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告のクラスが区分6.1で容器等級がIII、国連番号が3349(ICSC, 2001)なので区分外とした。
8 自己反応性化学品 区分外 - - - - 不飽和結合を含むが、国連危険物輸送勧告がクラスが区分6.1で容器等級がIII、国連番号が3349(ICSC, 2001)なので区分外とした。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
10 自然発火性固体 区分外 - - - - 国連危険物輸送勧告のクラスが区分6.1で容器等級がIII、国連番号が3349(ICSC, 2001)なので区分外とした。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 試験温度の140℃において、液体または気体となる物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - 固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素および塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分4 警告 H302: 飲み込むと有害 P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P330: 口をすすぐこと。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた経口投与試験のLD50値は>5,000 mg/kg、1,987 mg/kg、960 mg/kg(EHC 92(1989))、>2,500 mg/kg、1,721 mg/kg、1,244 mg/kg(EHC 92(1989)、HSDB(2001))、1,400 mg/kg(HSDB(2001))との記述がある。確定値が全て区分4に該当することから、区分4とした。 なお、EU分類はXn;R22である(EU-Annex I)。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットを用いた経皮投与試験のLD50値 >2,500 mg/kg(EHC 92(1989))、>3,000 mg/kg(HSDB(2001))、ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値 >2,500 mg/kg(EHC 92(1989))から、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データがないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分外 - - - - ラットを用いた4時間エアロゾル吸入暴露試験のLC50値 >9.49 mg/L及び、ラットを用いた1時間エアロゾル吸入暴露試験のLC50値 >12.0 mg/L(4時間換算値:>4.9 mg/L)(EHC 92(1989))との記述がある。LC50値 >9.49 mg/Lから区分外とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ICSC(2001)の短期暴露の影響の項に「皮膚を刺激する」との記述があるが、List1の情報源であるEHC 92(1989)に、工業品レスメトリンは、ウサギの耳を用いた皮膚刺激性試験で「slight irritant」と記述されている。また、本物質の構成成分であるバイオレスメトリンのウサギを用いた皮膚刺激性試験において「皮膚刺激性はない」(EHC 92(1989)、JMPR(1991))旨の記述がある。「slight irritant」は、国連GHS皮膚刺激性区分3に相当すると思われるが、国内では不採用区分につき、区分外とした。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - ICSC(2001)の短期暴露の影響の項に「眼を刺激する」との記述があるが、刺激の程度など詳細については不明である。本物質の構成成分であるバイオレスメトリンについては、ウサギを用いた眼刺激性試験において「眼刺激性はない」(EHC 92(1989)、JMPR(1991))旨の記述があるが、本物質のデータはないので、データ不足のため分類できない。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データがないので分類できない。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - 「モルモットで皮膚感作性を示さなかった」(EHC 92(1989))との記述がある。また、本物質の構成成分であるバイオレスメトリンについて、モルモットを用いた感作性試験で「皮膚感作性を生じなかった」(JMPR(1991))との記述、「わずかに紅斑が見られただけで、感作性の可能性は低い」(EHC 92(1989)、JMPR(1991))旨の記述があるが、本物質については他にデータがないので、データ不足のため分類できない。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験のデータがないので、分類できない。 なお、in vitro変異原性試験として、ネズミチフス菌及び大腸菌を用いた復帰突然変異試験、チャイニーズハムスター培養細胞及びマウス骨髄細胞を用いた染色体異常試験、チャイニーズハムスターV79細胞を用いた突然変異試験で、いずれも「陰性」(EHC 92(1989))との記述がある。
6 発がん性 分類できない - - - - 主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データも不十分なので分類できない。 なお、マウスを用いた85週間経口投与試験及びラットを用いた112週間経口投与試験で「最高用量でも発がん性は見られなかった」(EHC 92(1989))との記述がある。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
NTP DB(Access on November 2008)では「動物に対して生殖毒性はないが、ヒトのデータはない」旨の記述がある。またEHC 92(1989)には、ラット及びマウスを用いた経口投与による催奇形性試験で「催奇形性はみられなかった」旨の記述がある。一方、ラットを用いた混餌投与による3世代試験で「統計学的に明らかな低体重の児数及び死産数の増加が見られた」(EHC 92(1990)、IRIS(2002))旨の記述があるが、同用量での親動物の毒性影響について、一次文献を確認することができず不明であるので、区分2とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分2(中枢神経系) 警告 H371: 臓器の障害のおそれ(中枢神経系) P309+P311: 暴露したとき、又は気分が悪いとき:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
レスメトリン類に暴露された動物は、急性症状として「振戦、興奮、痙攣性の筋収縮、虚脱及び昏睡を示す」(EHC 92(1989))旨の記述がある。また、HSDB(2001)に記述されている試験データの引用文献(Environ. Health Perspect. 14(1976))を調査したところ、レスメトリンのラット及びマウスを用いた経口投与試験で「暴露の30分〜3時間後に過敏反応、振戦、運動失調が見られた」旨の記述、(+)-Trans & Cis-レスメトリンのラット及びマウスを用いた4時間ミスト吸入暴露試験で「高濃度暴露時、運動失調、失禁が見られた」旨の記述がある。本物質は、4種異性体混合物で構成されており、配合比により毒性の程度も異なることを考慮し、これらの所見から、中枢神経系が標的臓器と考えられた。また、影響が区分2のガイダンス値の範囲内で見られているので、区分2(中枢神経系)とした。 なお、本物質の構成成分のひとつであるシスメトリンについて、ICSC(2002)の短期暴露の影響の項に「神経系に影響を与えることがある」との記述がある。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分2(中枢神経系) 警告 H373: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害のおそれ(中枢神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットを用いた2年間の経口投与による発がん性試験で「肝細胞肥大、雌ラットの脾臓重量の減少が見られた」(IRIS(2002))旨の記述がある。また、EHC 92(1989)に、ラットを用いた90日間吸入暴露試験において「暴露濃度0.3 mg/Lで、微細な臨床学的所見及び刺激性所見が見られたが、投与による病理組織学的所見は肺や他の臓器にも見られなかった」旨の記述、ラットを用いた112週間経口投与試験で「肝細胞肥大が見られたが、明確な毒性応答とは考えられなかった」旨の記述がある。また、複数のラットを用いた経口投与試験において「体重減少、摂餌量減少、肝重量増加、振戦」が共通所見として記述されており、振戦症状が区分2のガイダンス値の範囲内で見られているので、区分2(中枢神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データがないので分類できない。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ニジマス)の96時間LC50 = 0.000275 mg/L(EHC 92, 1989)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(難分解性:4週間標準法でBODによる分解度:-4%(既存点検, 2007))ことから、区分1とした。


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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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