名称:ホスホロチオ酸O‐(3‐クロロ‐4‐メチル‐2‐オキソ‐2H‐1‐ベンゾピラン‐7‐イル)O,O‐ジエチル(別名クマホス)
CAS番号:56-72-4
物質ID: | 20A2001 |
分類実施者: | 厚生労働省、環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に爆発性に関連する原子団を含まない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性、あるいは自己反応性に関する原子団を含まない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 「可燃性ではあるが、容易には着火しない(HSDB(2003))」と記されていることから、常温の空気と接触しても着火源がなければ発火しない、と判定した。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | 水中で安定である(HSDB(2003))、Merck(14th, 2006))との記述に基づき区分外とした。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義による固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類できない | - | - | - | - | データがなく分類できない。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を有していない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分2 | 危険 | H300: 飲み込むと生命に危険 |
P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P330: 口をすすぐこと。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
得られたラットの LD50 は、すべての試験において雄よりも雌の毒性値が低かった。よって、判定には雌のデータのみを採用することとした。ラットの雌に限定すると LD50値の範囲は、13-37 mg/kg(ACGIH(2007); PATTY, 5th(2001); JMPR(1990))となり、上限下限とも区分2の範囲におさまった。よって、区分2とした。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分3 | 危険 | H311: 皮膚に接触すると有毒 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。 P322: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P361: 汚染された衣類を直ちに全て脱ぐこと。 P363: 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラット LD50 については 860mg/kg(ACGIH(2007); PATTY, 5th(2001))、>2400mg/kg(ACGIH(2007); PATTY, 5th(2001))、ウサギについては 500mg/kg(ACGIH(2007))とのデータが得られた。値が低いウサギのデータに基づき、区分3とした。 | |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 区分2 | 危険 | H330: 吸入すると生命に危険 |
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 P284: 呼吸用保護具を着用すること。 P310: 直ちに医師に連絡すること。 P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットの1時間 LC50 = 1081mg/m3(雄)(PATTY, 5th(2001))、341mg/m3(雌)(PATTY, 5th(2001))より、値が小さい雌のデータについて、4時間の推定値を求め単位を変換すると、0.08525mg/L となる。これより区分2とした。 | |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分外 | - | - | - | - | 「not irritating to the skin(皮膚刺激性でない)」(ACGIH(2007); PATTY, 5th(2001))の記述に基づき区分外とした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
「a mild eye irritant(軽度の眼刺激性)」(ACGIH(2007); PATTY, 5th(2001))、「may cause irritation or burns of the skin, eyes, and mucous membranes(皮膚、眼、粘膜に刺激や熱傷を引き起こすことがある)」の記述に基づき区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | 「not a skin sensitizer(皮膚感作性がない)」(ACGIH(2007); PATTY, 5th(2001))の記述に基づき区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 区分外 | - | - | - | - | 体細胞を用いる in vivo 変異原性試験(マウス小核試験)において陰性(ACGIH(2007); PATTY, 5th(2001))である。よって、区分外とした。なお、微生物を用いたin vitro変異原性試験でも陰性結果が得られている。 |
6 | 発がん性 | 区分外 | - | - | - | - | ACGIH(2007)で A4 と判定されていること、ラット、マウスに対する2年間の発がん性試験の結果がいずれも陰性であること(NTP(1979); ACGIH(2007); PATTY, 5th(2001); JMPR(1990))から、区分外とした。 |
7 | 生殖毒性 | 区分外 | - | - | - | - | ラットの2世代にわたる試験で、コリンエステラーゼ活性の阻害が認められたが、性機能または生殖能に対する悪影響、子の発生に対する悪影響は観察されなかった(ACGIH(2007); PATTY, 5th(2001))。ラット、ウサギの妊娠期間中の試験においても、同様に悪影響は観察されなかった。なお、ウサギでは、親動物の死亡が認められた投与量群でのみ、流産が認められた(ACGIH(2007); PATTY, 5th(2001))。またマウスでは、親動物の生存率が著しく低下した投与量でのみ、妊娠動物数の減少、産仔数の減少、仔の生存日数の短縮が認められた(JMPR(1969))。すなわち、これらの所見は母動物の死亡に至るような高い用量段階でのみ認められた有害影響のため、分類の根拠とはしなかった。以上より、ラット、ウサギ、マウスの3種について生殖発生毒性が認められないので、区分外とした。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 区分1(神経系) | 危険 | H370: 臓器の障害(神経系) |
P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。 P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトへの暴露例で、「嘔気、嘔吐、腹痛」、「発汗、排尿、縮瞳、気管支漏、過流涎」(ACGIH(2007); PATTY, 5th(2001))、等の典型的な有機リン剤中毒の症状が報告されている。同様に、ICSC, ICSC(J)には、急性症状として、「痙攣、めまい、発汗、呼吸困難、吐気、意識喪失、縮瞳、筋痙攣、流涎」、「胃痙攣、下痢、嘔吐」と記されている。 ラットについて、「コリン作動性の毒性」、「遅発性神経毒性」、「下痢」、「赤血球、血しょう、脳のコリンエステラーゼ活性の低下」が観察されている。この影響は、ガイダンス値から判断すると区分1相当である(ラットの経口投与で250mg/kg以下)。 以上より、ヒトへの毒性症状を誘発する証拠があり、ヒト、実験動物への毒性症状、作用機序から、区分1(神経系)とした。 | |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 区分1(神経系) | 危険 | H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系) |
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ヒトに対しては、「コリンエステラーゼ阻害剤」(ICSC(1997); ICSC(J)(1997))との記述がある。ラット、イヌに対しては、「赤血球、血漿、脳、眼筋のコリンエステラーゼ活性の阻害」、「コリン作動性毒性の兆候」(ACGIH(2007))、「筋肉のけいれん、震戦」(PATTY, 5th(2001))等の記述がある。これら、神経系に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲(ラット、イヌの90日以上の経口投与で 10 mg/kg 以下)で観察された。よって、区分1(神経系)とした。 | |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
甲殻類(オオミジンコ)の48h-LC50=0.001mg/Lである(HSDB 2003)ことから、区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分1 | 警告 | H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(推定値:SRC: BioWin V4.10)と推定されることから、区分1とした。 |
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