GHS分類結果

名称:2,2'‐メチレンビス(3,4,6‐トリクロロフェノール)(別名ヘキサクロロフェン)
CAS番号:70-30-4

結果:
物質ID: 20A2003
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品ではない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性及び自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素を含まず、酸素と塩素を含むが炭素・水素以外と結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - -O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - 固体状物質に適した試験方法が確立していない。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分3 危険 H301: 飲み込むと有毒 P301+P310: 飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P330: 口をすすぐこと。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット(雄)LD50=66mg/kg(IARC vol.20(1979))およびラット(雌)LD50=56mg/kg(IARC vol.20(1979))により区分3に分類した。
1 急性毒性(経皮) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHS定義による固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - データなし。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 分類できない - - - - データなし。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - データなし。
5 生殖細胞変異原性 区分外 - - - - マウスを用いた優性致死試験(in vivo経世代変異原性試験)で陰性(IARC vol. 20(1979))の結果に基づき区分外とした。なお、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験で陰性の結果が得られている(IARC(1979))
6 発がん性 区分外 - - - - IARCの分類区分3であること、また、ラットによる発がん性試験において、いずれの臓器に対しても統計学的に有意な腫瘍発生の増加はなかった(NTP TR40(1978))ので、区分外とした。
7 生殖毒性 区分2 警告 H361: 生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。
P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P281: 指定された個人用保護具を使用すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに経口ばく露(一部は膣内投与)により母体毒性を示す用量で口蓋裂、小眼球/無眼球、波状肋骨などの奇形の発生があり(IARC vol. 20(1979)、Catalog of teratogenic Agents)、ウサギでも器官形成期に経口ばく露により低頻度ながら肋骨奇形が報告されている(IARC vol. 20(1979)、Catalog of teratogenic Agents)ことに基づき区分2とした。なお、ヒトでヘキサクロロフェンのばく露を受けた母親から生まれた子供の眼や中枢神経系の欠損などの重篤な奇形の報告(IARC vol. 20(1979)、Catalog of teratogenic Agents)があるが、へキサクロロフェンとの関連は再評価され、否定されている。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分1(神経系・視覚系) 危険 H370: 臓器の障害(神経系・視覚系) P307+P311: 暴露した場合:医師に連絡すること。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
子供が事故により重篤な状態に至った複数のケースが報告されている(HSDB(2003))。症状として視覚喪失、傾眠、痙攣などを発現し、剖検で重度の脳水腫を認め、顕著な場合には死亡児でミエリン鞘および視覚神経軸索の崩壊と壊死を伴っていた(HSDB(2003))。さらに、急性ばく露後の新生児の神経症状はおそらく脳水腫に起因するとも記述されている(HSDB(2003))。以上のように、ヒトで神経系への影響が明らかであることから区分1(神経系・視覚系)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 区分1(神経系) 危険 H372: 長期にわたる、又は反復暴露による臓器の障害(神経系) P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P314: 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
イヌに0.75〜3.0 mg/kg/dayを13週間経口ばく露により、全用量で脳、視神経、脊髄および坐骨神経の海綿状化が(IRIS(2002))報告され、また、ラットに5 mg/kg/day を16週間経口ばく露で神経毒性が認められた報告がある(IRIS(2002))。一方、ヒトのばく露でも神経毒性を誘発した新生児、あるいは無制限な使用により頭痛、攣縮、痙攣などの中枢神経症状を引き起こした熱傷患者や新生児の例が報告され、死亡した新生児では脳の海綿状化が観察されている(IRIS(2002)、HSDB(2003))。以上のように、ヒトでの重篤な神経毒性に加え、イヌおよびラットで神経症状がガイダンス値範囲区分1に相当する用量で認められていることから、区分1(神経系)とした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
甲殻類(オオミジンコ)の24時間EC50が0.008 mg/L(AQUIRE, 2008)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性が無い(難分解性、BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ, 1987))ことから区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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