名称:5‐ターシャリ‐ブチル‐2,4,6‐トリニトロ‐メタ‐キシレン(別名ムスクキシレン)
CAS番号:81-15-2
物質ID: | 20A2011 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 爆発物 | 区分外 | - | - | - | - | 国連分類に従うと等級4.1III「可燃性物質類、可燃性物質」であるため、火薬類には当てはまらず「区分外」に該当する。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品でない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分2 | 警告 | H228: 可燃性固体 |
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。 P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。 P240: 容器を接地すること/アースをとること。 P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
従来の分類システムとの比較によると、UNRTDG 4.1IIIであり、区分2とした。 | |
8 | 自己反応性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | タイプがわからないので分類できない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | UNRTDG 4.1であり、区分外とした。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 区分外 | - | - | - | - | UNRTDG 4.1であり、区分外とした。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含まない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 規定試験法によるデータはないが、EU-RAR(2005)に「not oxidizing」となっており、または国連輸送分類で等級4.1であるので「区分外」とした。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 分子内に-O-O-構造を有していない。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 急性毒性(経口) | 区分外 | - | - | - | - | ラットのLD50>10000 mg/kg(IARC(1996), EU-RAR(2005))であることより、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(経皮) | 区分外 | - | - | - | - | ウサギのLD50>15000 mg/kg(IARC(1996), EU-RAR(2005))であることより、区分外とした。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHS定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 分類できない | - | - | - | - | EU-RARにおいてウサギを用いた試験においては皮膚刺激性はない(EU-RAR, 2005)と結論付けているが、急性経皮毒性試験の結果である、ヒトにおいては軽い刺激性を示した(EU-RAR, 2005)とあるが、刺激スコアや試験の詳細が不明であることより、データ不足で分類できないとした。 |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2B | - | 警告 | H320: 眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 |
ウサギのOECD guideline405試験において虹彩炎および結膜炎を認めたが、虹彩炎の3匹全てのスコアは1で48時間以内に回復している、結膜炎の3匹全てのスコアは1で10日以内に完全に回復ている(EU-RAR, 2005)ことからから区分2Bとした。 |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 区分外 | - | - | - | - | 実施済みのモルモットを用いたOpen epicutaneous testおよびphotoallergy testは評価に十分な試験とは言えず、皮膚感作性について結論することはできない(EU-RAR, 2005)。しかし、接触感作性を評価するため25人の健常人を用いて刺激濃度で行った試験で惹起による反応を認めず(EU-RAR, 2005)、さらに192人の皮膚科患者に対するパッチテストでもアレルギー反応が認められなかったこと(EU-RAR, 2005)から、ムスクキシレンは皮膚感作物質ではないと結論されている(EU-RAR, 2005)ので区分外とした。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | ラットの肝細胞を用いたin vivoUDS試験(体細胞in vivo遺伝毒性試験)および複数のin vitro変異原性試験で陰性であった(IARC(1996)、EU-RAR(2005))が、データ不足のため分類できない。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
EUがcat. 3(EU-RAR, 2005), IARC(2001)がグループ3に分類している。IARCに比べEUの評価の方が新しいことから、EUの分類に基づき区分2とした。なお、マウスに80週間経口投与した試験では腫瘍発生頻度の増加(肝臓、ハーダー腺)が見られている(EU-RAR, 2005)。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | 妊娠ラットの器官形成期に経口投与した試験で、親動物の体重および摂餌量の低下などの一般毒性が現れ、生殖に関しては、過剰肋骨、舌骨および指骨の骨化促進が高用量で認められた以外は催奇形性を含む有害影響の報告はない。しかし、親動物の性機能、生殖能に与える影響に関してはデータ不十分であり分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない | - | - | - | - | マウスを用いた急性毒性試験の結果、4000mg/kgにおける振戦と1例の死亡を除き、その他に異常は見出されなかったと記述されている(EU-RAR(2005))のみでデータ不足。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | 発がん性試験の予備試験として、マウスに17週間混餌投与した試験が実施され、最大耐量0.15%(214 mg/kg/day)であった(EU-RAR, 2005)。また、ラットに90日間経皮投与した試験の高用量群240 mg/kg/dayで認められた肝臓重量の増加は、病理組織学的変化を伴わないこと(EU-RAR, 2005)から重大な毒性とはいい難い。両試験ともガイダンス値相当用量で重大な影響は観察されなかったが、予備試験であること、または経皮投与であることなどから、全身毒性評価のためのデータとして不十分であり分類できない。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
11 | 水生環境有害性(急性) | 区分2 | - | - | H401: 水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(ブルーギル)の96時間LC50=1.2 mg/L(EU, 2005)から区分2とした。 |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分2 | - | H411: 長期継続的影響によって水生生物に毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
急性毒性区分2であり、急速分解性がない(難分解性、BODによる分解度:2%(既存点検, 2003))ことから、区分2とした。 |
政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。 |
使用マニュアル |
|
解説・用語集(エクセルファイル) |
|
厚生労働省モデルラベル |
職場のあんぜんサイトへ |
厚生労働省モデルSDS |
職場のあんぜんサイトへ |