名称:2,4,6-トリクロロフェノール
CAS番号:88-06-2
物質ID: | 20A2013 |
分類実施者: | 厚生労働省・環境省 |
分類実施年度: | 平成20年度 |
使用マニュアル: | 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版) |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 爆発物 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団を含んでいない。 |
2 | 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
3 | エアゾール | 分類対象外 | - | - | - | - | エアゾール製品ではない。 |
4 | 支燃性/酸化性ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
5 | 高圧ガス | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
6 | 引火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
7 | 可燃性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ICSC(J)(1998))。 |
8 | 自己反応性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 爆発性に関わる原子団あるいは自己反応性に関連する原子団を含んでいない。 |
9 | 自然発火性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
10 | 自然発火性固体 | 区分外 | - | - | - | - | 不燃性(ICSC(J)(1998))。 |
11 | 自己発熱性化学品 | 分類できない | - | - | - | - | 融点が140℃以下の固体に適した試験法がない。 |
12 | 水反応可燃性化学品 | 分類対象外 | - | - | - | - | 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。 |
13 | 酸化性液体 | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
14 | 酸化性固体 | 分類対象外 | - | - | - | - | フッ素を含まず、酸素または塩素を含むが、これらの元素が、炭素、水素にだけ化学結合している有機化合物である。 |
15 | 有機過酸化物 | 分類対象外 | - | - | - | - | -O-O-構造を含まない有機化合物である。 |
16 | 金属腐食性物質 | 分類できない | - | - | - | - | 固体状の物質に適した試験方法が確立していない。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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1 | 急性毒性(経口) | 区分4 | 警告 | H302: 飲み込むと有害 |
P301+P312: 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P270: この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 P330: 口をすすぐこと。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットのLD50値820mg/kg(EHC 93(1989)、PATTY 5th(2001))より区分4に分類する。 | |
1 | 急性毒性(経皮) | 分類できない | - | - | - | - | データが不足。 |
1 | 急性毒性(吸入:ガス) | 分類対象外 | - | - | - | - | GHSの定義における固体である。 |
1 | 急性毒性(吸入:蒸気) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
1 | 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
2 | 皮膚腐食性/刺激性 | 区分2 | 警告 | H315: 皮膚刺激 |
P302+P352: 皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。 P332+P313: 皮膚刺激が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 P321: 特別な処置が必要である(このラベルの...を見よ)。 P362: 汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 |
ウサギに24時間適用した皮膚刺激性試験(Draize Test)において、中等度刺激性(moderately irritating)と評価された結果(IUCLID(2000))に基づき「区分2」とした。 | |
3 | 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 | 区分2A | 警告 | H319: 強い眼刺激 |
P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。 P264: 取扱後は...よく洗うこと。 P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 |
ウサギに適用した眼刺激性試験(Draize Test)において、重度の刺激性(highly irritating)と評価された結果(IUCLID(2000))に基づき「区分2A」とした。 | |
4 | 呼吸器感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
4 | 皮膚感作性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
5 | 生殖細胞変異原性 | 分類できない | - | - | - | - | ip投与によるマウススポット試験(体細胞in vivo変異原性試験)での弱い陽性報告があるものの(EHC 93(1989)、ATSDR(1999)、IARC 71(1999))、用量依存性がなく、GENE-TOXでは陰性と評価していることから、「陽性」の証拠として 用いるには不適切である。また、経口投与によるラットのDNA損傷試験は陰性であったが、他に適切なin vivo変異原性試験が 実施されていないことから、区分2とする十分な証拠はなく、分類できないとした。なお、in vitro試験では、Ames試験およびV79 hprt試験で陰性、MLA, 小核試験、染色体異常試験で陽性であった(ATSDR(1999)、IARC 71(1999))。 |
6 | 発がん性 | 区分2 | 警告 | H351: 発がんのおそれの疑い |
P308+P313: 暴露又は暴露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。 P201: 使用前に取扱説明書を入手すること。 P202: 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。 P281: 指定された個人用保護具を使用すること。 P405: 施錠して保管すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
ラットおよびマウスに2年間経口ばく露した試験において、ラット雄でリンパ腫と白血病の発生頻度が有意に増加し(NTP TR155(1979))、またマウスでは雌雄とも肝細胞癌と腺腫の発生頻度が有意に増加したこと(NTP TR155(1979))から、本物質は試験条件下では発がん性を有すると結論されている。そして、IARCは本物質について、実験動物で発がん性の限定された証拠があると評価し、ポリクロロフェノールあるいはそのナトリウム塩の複合ばく露についてはグループ2Bに分類している(IARC 71(1999))。また、本物質自体をEPAはグループB2に分類している(IRIS(2002))。以上のIARCおよびEPAの評価に基づき「区分2」とした。なお、ヒトで軟部肉腫と非ホジキンリンパ腫に関する疫学研究の報告がある(IARC 71(1999))が、本物質ばく露とこれらの腫瘍発生との因果関係は明確ではない。 | |
7 | 生殖毒性 | 分類できない | - | - | - | - | 11週間経口ばく露後のラット雄を無投与の雌と交配し、妊娠成立した雌を18日目に検査の結果、親動物の性機能および生殖能、胎児の発生に悪影響は見られない(EHC 93(1989))。しかし、生殖試験の標準的プロトコールでなされた試験ではなく、また催奇形性を含む仔の発生に及ぼす影響に関してもデータ不足であり分類できない。 |
8 | 特定標的臓器毒性(単回暴露) | 分類できない | - | - | - | - | データ不足。 |
9 | 特定標的臓器毒性(反復暴露) | 分類できない | - | - | - | - | ラット90日間経口投与試験において標的臓器の一つとして肝臓が指摘され、重量増加と臨床検査値の変化に基づきNOAELが80 mg/kg/day、LOAELは240 mg/kg/dayとされた(Bercz JP,et al. 1990. Subchronic toxicity studies of 2,4,6-trichlorophenol in Sprague-Dawley rats. Journal of the American College of Toxicology 9(5):497-506)。なお、240mgでの変化は肝臓、副腎、重量変化であり病理学的変化は認められていない、720mgでALTの変化が観察されているので240mgで影響はないと考えられる。さらにラットとマウスの2年間経口投与(混餌)による発がん性試験、その用量設定のため実施された7週間経口投与試験があり、これらの試験ではラットに4600 ppm(2300 mg/kg/day)を7週間投与での脾の髄外造血と肝小葉中間帯の空胞化、2年間投与での白血球増加と単球増加の他には一般毒性として目立った所見はなかった(NTP TR-155(1979))。その他の複数の試験(IARC vol.71(1999))でも、投与の影響は臓器重量の変化程度で特に記述はない。以上よりガイダンス値範囲内の用量で重大な毒性影響は確認できないことから区分外(経口)に該当するが、他経路でのデータがないことからデータ不足で分類できないとした。 |
10 | 吸引性呼吸器有害性 | 分類できない | - | - | - | - | データなし。 |
危険有害性項目 | 分類結果 | シンボル | 注意喚起語 | 危険有害性情報 | 注意書き | 分類根拠・問題点 | |
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11 | 水生環境有害性(急性) | 区分1 | 警告 | H400: 水生生物に非常に強い毒性 |
P273: 環境への放出を避けること。 P391: 漏出物を回収すること。 P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。 |
魚類(グッピー)の96時間LC50が0.61 mg/L(環境省リスク評価第2巻 , 2003)から区分1とした。 | |
11 | 水生環境有害性(長期間) | 区分外 | - | - | - | - | 急性毒性区分1であるが、急速分解性があり(BODによる分解度:82.5%(既存点検, 1978))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow= 3.69(SRC、2005))ことから、区分外とした。 |
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