GHS分類結果

名称:2‐クロロ‐N‐(4,6‐ジクロロ‐1,3,5‐トリアジン‐2‐イル)アニリン(別名アニラジン)
CAS番号:101-05-3

結果:
物質ID: 20A2029
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
6 引火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
7 可燃性固体 分類できない - - - - データなし。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 分子内に爆発性に関連する原子団、または自己反応性に関わる原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
10 自然発火性固体 分類できない - - - - データなし。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - データなし。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属または半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - フッ素・酸素を含まず、塩素を含むが炭素以外と結合していない。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を有していない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットの LD50値 = 2700mg/kg(HSDB(2003))より、JIS分類基準の区分外(国連分類基準の区分5)とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ラットの LD50 >5000mg/kg(IUCLID(2003), HSDB(2003))より、区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における固体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - データなし。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 区分2 危険 H330: 吸入すると生命に危険 P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P260: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P284: 呼吸用保護具を着用すること。
P310: 直ちに医師に連絡すること。
P320: 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの...を見よ)。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラット LC50 = ca. 0.25 mg/L/4hr(IUCLID(2003))にもとづき、区分2とした。
2 皮膚腐食性/刺激性 分類できない - - - - ウサギを用いた試験においてnot irritating(IUCLID(2003))またはmild skin irritant(HSDB(2003))の報告、および「This product /dyrene/ has caused skin irritation in exposed workers.(この製品にばく露した作業者には皮膚の刺激を引き起こす)」(HSDB(2003))との記述があるが、得られた情報に一貫性が乏しく分類できない。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2A 警告 H319: 強い眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
ウサギを用いた試験で Severe eye irritant(重度な刺激性)(HSDB(2003))およびhighly irritating(高度に刺激性)(IUCLID(2003))の結果に基づき区分2Aとした。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 分類できない - - - - モルモットを用いた試験では、皮膚感作性の証拠が得られたとの記述のみで具体的なデータの記述はない(IUCLID(2003))。また、ばく露を受けたヒト作業者の7人中6人がパッチテストで陽性反応が報告されている(IUCLID(2003))一方で、3人の農作業者の惹起テストで陽性所見はなく、39人の女性農業従事者のパッチテストの結果からは、例えあったとしてもそれほど強い感作性ではないことが記述されている(HSDB(2003))。以上のように、得られた情報に一貫性が乏しく「分類できない」とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vivo試験が実施されておらず、分類できない。なお、in vitro変異原性試験では、MLA(マウスリンパ腫試験)で陽性を示したが、Ames試験および染色体異常試験では陰性であった(NTP、1978)。
6 発がん性 区分外 - - - - ラット、マウスを用いた2年間の経口ばく露による発がん性試験で、腫瘍発生頻度の増加は認められていない(NTP(1978))。既存分類はなされていないが、以上の2種の動物について発がん性はないと結論されている(NTP(1978))ことから「区分外」とした。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットを用いた3世代にわたる経口ばく露による生殖毒性試験で生殖能および発生に悪影響はなく、ラットおよびウサギを用いた妊娠期間中の経口ばく露による試験でも、胎児毒性および催奇形性も認められていないことから「区分外」とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 分類できない - - - - データなし。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - 2年間の長期試験の用量設定のため実施されたラットおよびマウスに250〜16000 ppmを13週間混餌投与した試験では、特に重大な毒性は記述されていない(NTP(1978))。また、ラット、マウス、イヌにおける長期反復投与試験において、明確な毒性症状はの記載はなく(NTP(1978))、ラット、マウス、イヌのNOELとして、それぞれ 2000mg/kg, 1250mg/kg、40 mg/kgとされている(HSDB(2003))。しかしながら、先の13週間の試験は試験法として十分な条件下での試験とは言えず、その他の長期試験の情報についても具体的なデータが示されていないことから、「区分外」とするには不十分と判断した。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分1 警告 H400: 水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
魚類(ニジマス)の96時間LC50=0.14mg/L(ECOTOX, 2008)から区分1とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分1 警告 H410: 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性 P273: 環境への放出を避けること。
P391: 漏出物を回収すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
急性毒性区分1であり、急速分解性がない(SRC: BioWin V4.10)ことから区分1とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
 政府による分類結果は、GHSに基づくSDSやラベル作成の際に自由に引用および複写を行うことができます。ただし、引用および複写をした上で作成されたSDS・ラベルの内容に対する責任は、SDS・ラベル作成者にあることにご留意ください。
 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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