GHS分類結果

名称:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
CAS番号:108-65-6

結果:
物質ID: 20A2040
分類実施者: 厚生労働省・環境省
分類実施年度: 平成20年度
使用マニュアル: 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)

物理化学的危険性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 爆発物 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団を含んでいない。
2 可燃性/引火性ガス(化学的に不安定なガスを含む) 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
3 エアゾール 分類対象外 - - - - エアゾール製品でない。
4 支燃性/酸化性ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
5 高圧ガス 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
6 引火性液体 区分3 警告 H226: 引火性液体及び蒸気 P303+P361+P353: 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと/取り除くこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
P370+P378: 火災の場合:消火するために...を使用すること。
P403+P235: 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
P210: 熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
P233: 容器を密閉しておくこと。
P240: 容器を接地すること/アースをとること。
P241: 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器/...機器を使用すること。
P242: 火花を発生させない工具を使用すること。
P243: 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
P280: 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
引火点が42℃(NFPA(13th, 2006))であり、23℃以上、60℃以下である。
7 可燃性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
8 自己反応性化学品 分類対象外 - - - - 爆発性に関わる原子団、および自己反応性に関連する原子団を含んでいない。
9 自然発火性液体 区分外 - - - - 発火点が354℃(NFPA(13th, 2006))で、70℃以上である。
10 自然発火性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
11 自己発熱性化学品 分類できない - - - - 液体状の物質に適した試験方法が確立していない。
12 水反応可燃性化学品 分類対象外 - - - - 金属又は半金属(B, Si, P, Ge, As, Se, Sn, Sb, Te, Bi, Po, At)を含んでいない。
13 酸化性液体 分類対象外 - - - - フッ素及び塩素を含まず、酸素を含む有機化合物であるが、この酸素が炭素、水素以外の元素と化学結合していない。
14 酸化性固体 分類対象外 - - - - GHSの定義による液体である。
15 有機過酸化物 分類対象外 - - - - 分子内に-O-O-構造を含まない有機化合物である。
16 金属腐食性物質 分類できない - - - - データなし。

健康に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
1 急性毒性(経口) 区分外 - - - - ラットのLD50として得られたデータ(>10000 mg/kg(雄)、>8532 mg/kg(雌)および>13700mg/kg b.w.(雄))(SIDS(access on June 2008))に基づいて区分外とした。
1 急性毒性(経皮) 区分外 - - - - ウサギのLD50(> 5000 mg/kg)(SIDS, access on June 2008)に基づき区分外とした。
1 急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外 - - - - GHSの定義における液体である。
1 急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない - - - - ラットの急性毒性値(ばく露4時間換算値)は LC0 > 31.01 mg/L(5737 ppm)(SIDS(access on June 2008)), LC0 > 9.342 mg/L(1728 ppm)(DFGOT 5(1993)), LD50 > 19.82 mg/L(3667 ppm)(SIDS(access on June 2008))であり、いずれも飽和蒸気圧濃度の90%より低い。したがって、気体の基準値を適用したが、区分を特定できないので分類できない。
1 急性毒性(吸入:粉塵、ミスト) 分類できない - - - - データなし。
2 皮膚腐食性/刺激性 区分外 - - - - ウサギを用いた試験において皮膚一次刺激指数0.0で刺激性なし(not irritating)の結果(SIDS(access on June 2008))が得られ、また、軽度(slight)、あるいは刺激性あり(cutaneous irritation)との報告(DFGOT(1993)、PATTY(5th, 2001))もあるが、それ以上の具体的な記述がない。JISの分類基準により区分外とした(国連GHS分類では区分3に相当)。
3 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性 区分2B - 警告 H320: 眼刺激 P305+P351+P338: 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P337+P313: 眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
P264: 取扱後は...よく洗うこと。
ウサギ眼に適用後中等度の結膜発赤、軽度の結膜浮腫、軽度の虹彩炎と角膜混濁を生じ、平均スコアがそれぞれ0.8, 0.5, 0.1, 0.2であったが、4日後には全て消失、軽度の刺激性(slightly irritating)との結果(SIDS(access on June 2008))に基づく。
4 呼吸器感作性 分類できない - - - - データなし。
4 皮膚感作性 区分外 - - - - モルモットを用いた複数の試験(Magnusson-Kligman maximization testまたはmethod of Maguire)において、いずれも感作性なし"not sensitizing"の結果(SIDS(access on June 2008)、DFGOT vol. 5(1993))に基づき区分外とした。
5 生殖細胞変異原性 分類できない - - - - in vitro変異原性試験(Ames試験および染色体異常試験)で陰性結果(厚生省報告(access on June 2008))が得られているが、in vivoの試験データがなく分類できない。
6 発がん性 分類できない - - - - データなし。
7 生殖毒性 区分外 - - - - ラットを用いた反復経口投与毒性・生殖発生毒性併合試験において、親動物で雌雄とも高用量群で有意な体重増加抑制を認めたが、親動物の性機能、生殖能および児動物の発生に関する各指標に対照群と比べ有意な変化は認められなかった(厚生省報告(access on June 2008))。また、妊娠ラットの器官形成期に経口投与した試験では催奇形性を含め児の発生に及ぼす影響は観察されなかった(SIDS(access on June 2008))。以上の結果から、性機能および生殖能に対する悪影響、および催奇形性を含む児の発生に及ぼす悪影響のいずれも認められていないので区分外とした。
8 特定標的臓器毒性(単回暴露) 区分3(麻酔作用、気道刺激性) 警告 H335: 呼吸器への刺激のおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
H336: 眠気又はめまいのおそれ(麻酔作用、気道刺激性)
P304+P340: 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
P403+P233: 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
P261: 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
P271: 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
P312: 気分が悪いときは医師に連絡すること。
P405: 施錠して保管すること。
P501: 内容物/容器を...に廃棄すること。
ラットに経口投与により500〜10000 mg/kgの全用量で嗜眠が観察され(SIDS(access on June 2008))、ウサギに経皮投与した場合にも、主な症状として麻酔作用が記述されている(DFGOT vol. 5(1993))。また、2週間の吸入ばく露試験ではあるが、急性的な変化としてマウスの鼻腔の嗅上皮の変性が1.62 mg/L(90日補正用量:0.25 mg/L)以上の濃度で発生し、ばく露濃度の上昇とともに病変が重度かつ広範になり、一部の動物の内腔には炎症性分泌物が現れたとある(SIDS(access on June 2008))ことに基づき区分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。
9 特定標的臓器毒性(反復暴露) 分類できない - - - - ラットを用いた反復経口投与毒性・生殖発生毒性併合試験において、1000 mg/kg/dayで体重増加抑制と摂餌量の減少傾向を示したが、300 mg/kg/day以下ではばく露の影響を認めずNOAELは雌雄とも300 mg/kg/day(90日補正用量:約150 mg/kg/day)であり重大な毒性影響は示されていない(厚生省報告(access on June 2008))。一方、2週間の吸入ばく露試験では、5.39 mg/L(90日補正用量:0.83 mg/L)以上で主にラット雄の腎臓の近位曲尿細管に好酸性顆粒の軽度増加が見られた。また、鼻腔の嗅上皮の変性がラットでは16.18 mg/Lで認められたのみであったが、急性的な変化としてマウスでは1.62 mg/L(90日補正用量:0.25 mg/L)以上の濃度で発生し、ばく露濃度の上昇とともに病変が重度かつ広範になり、一部の動物の内腔には炎症性分泌物が現れたとある(SIDS(access on June 2008))が、回復性ともうけとられるため毒性学的意義が不明である(単回暴露において気道刺激性として採用)。以上の結果から、ラット雄の腎臓所見は軽度であり、ラットおよびマウスで見られた鼻腔の組織学的変化は、特にマウスではガイダンス値範囲区分2に相当する濃度で発現しているものの詳細が不明であることから分類できないとした。
10 吸引性呼吸器有害性 分類できない - - - - データなし。

環境に対する有害性
危険有害性項目 分類結果 シンボル 注意喚起語 危険有害性情報 注意書き 分類根拠・問題点
11 水生環境有害性(急性) 区分外 - - - - 藻類(Pseudokirchn eriella subcapitata)での72h-ErC50>1000mg/L、甲殻類(オオミジンコ)での48h-EC50=370mg/L、魚類(メダカ)での96h-LC50>100mg/L(3試験とも環境省生態影響試験, 1997)であることから、区分外とした。
11 水生環境有害性(長期間) 区分外 - - - - 難水溶性でなく(水溶解度>100g/L(EU-RAR, 2006))、急性分類が区分外であることから、区分外とした。


分類結果の利用に関する注意事項:
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 本分類結果は、分類ガイダンス等のマニュアルで定められている情報源と判定方法に基づくものであり、あくまでもSDSやラベル作成の際の参考として公表しているものです。他の文献や試験結果等を根拠として、本内容と異なる分類結果でSDSやラベルを作成することを妨げるものではありません。

参考情報:
使用マニュアル

解説・用語集(エクセルファイル)

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厚生労働省モデルSDS

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